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2016 Jリーグチャンピオンシップ決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦

アウェーでの第1戦を勝利で折り返し、ホームに戻っての第2戦。引き分け以上、もしくは1失点以内での敗戦ならウチの優勝が決まるという比較的有利な状態で始まった試合ではありましたが、残念ながら今年1年間の集大成といえるような試合にはならず、まさかの2失点敗戦して逆転で優勝を逃すという本当に徒労感だけが残る結果となって今シーズンを終えることになりました。

2016 Jリーグチャンピオンシップ決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦

1年間、34節、コツコツと勝点を積み重ねて掴んだリーグ最多勝点(タイ)の「74」と年間勝点1位の座。勝ち続けて、勝ち続けて本当に最後の1試合負けたことでそのすべてが無駄になるっていうのはなんとも理不尽だとは思いますがこれが今年のレギュレーション。そこは受け入れて鹿島の優勝を称えるべきだとは思いますが、そう簡単に切り替えられるほどこのダメージは小さくないっすね。

サッカーの神様はなんとも意地が悪いというか、指先がかかるところまできていた優勝シャーレが、またも目前で取り上げられるっていう。ここのところ毎年、タイトルに手が届きそうなところで手が届かないという死ぬほど悔しい思いを何度もさせられて、その都度次こそはってやってきた結果、今年はついに念願のタイトルをルヴァンカップで獲得できましたし、年間勝点1位という最もこだわっていた点もクリアできました。

着実にステップアップしていることは結果を見ても間違いないですし、毎年悔しい思いをしているということはそれだけタイトルに一番近いところに常にいるということ。来年は年間勝点1位=Jリーグ王者ですし、来年こそはタイトルを獲れることを信じてサポートするしか我々にできることはないということで気は乗らないけど試合のレビュー簡単に書きます。

2016 Jリーグチャンピオンシップ決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦

さて、スタメンですが、最終ラインに森脇、遠藤、槙野。ボランチは阿部ちゃん、柏木コンビ。両ワイドがウガ、関根。2シャドーに武藤、高木。興梠のワントップ。GKは西川。ということで、第1戦とは、サイドの関根さん、シャドーの高木さんがそれぞれ先発という変更が加えられています。忠成さんは前日練習で体調不良? という情報があり、ベンチには入っていたもののスーパーサブとしての出場は微妙かもという状況でした(2016-12-05 追記: 第1戦で鹿島GK、曽ヶ端選手と接触した際に肋骨を骨折していたそうです...... そりゃ無理だわ)。

まずこの試合のポイントとしては下記のようなことが挙げられます。

  1. ウチが先制点を取ったとしても1点目は鹿島にとっては全くどうでもよい。ウチにとっても全く有利にはならない。なぜなら元々鹿島は2点取らないと意味がない状況だから
  2. 2点先に取ってしまえば鹿島は優勝のために3点必要でこれは相当難しい状況になる
  3. ウチとしては失点しないことがまずは重要。なぜなら先に失点すると鹿島は優勝が現実的に見えて心理的に有利になるから
  4. 上記を踏まえて、この1年間積み重ねた成果、守備の安定や窮地でも慌てず我慢して冷静にチャンスをうかがう賢い試合運びがこの試合でも出せるか

ところが残念なことに(4)が最後の最後に出せなかったですね...... 大一番に弱い、これはウチが去年まで散々言われたことで、それはミシャさんに監督がなってからの話ではなく、Jリーグ開幕以来、ずーっと言われていることです。

それでも今年はルヴァンカップの決勝などでしっかり勝ちきって(PKではありますが)、終盤の重要な試合でもしっかり勝点を積み上げ年間勝点1位。そんな悪いイメージも徐々に払拭する気配がしていましたし、第1戦の雰囲気からも今年は違うぜというところが感じられていたのですが、一番最後の大事な試合でテンパったってのが残念ですし、この試合のプレッシャーの大きさを物語っているかもしれません。

今年は選手の口から良く出た「我慢」という言葉。それが象徴しているように、無理なときは無理せず、焦らずチャンスがくるまで我慢する忍耐力、さらに先制したとして、追加点を取りに行って試合を決めるのか、それとも無理せずつないで試合をコントロールしながら1点を守り切ってでも勝つのかというところの冷静な判断がピッチ内でできるようになっていました。

そしてもう1つは自分たちが今までやってきているサッカーを信じて、厳しい時でもブレずに続けてきたことで、最後の最後に得点チャンスがきた試合もありました。

第1戦もちょっと引きすぎてやばい時間帯もあったものの、それが実行できたことで勝利という結果が付いてきたわけですが、第2戦においては、試合終盤で追加点を取って試合を決めに行くのか、それとも1点を守って終わらせるのかというところでの判断にベンチ、ピッチ内でうまく意思疎通ができていない感が非常に強く感じられました。

そして最後の最後、今までやったことのない槙野さん上げてのパワープレーなんていういつもと違うことやり出して結局得点チャンスを作れないとかもう混乱しているのが明らかで、「テンパった」と書いたのはそういうところからです。

立ち上がりからは素晴らしかった浦和

とはいっても、この試合の立ち上がりはとても良かったのは確か。開始早々の7分にはスローインでうまく抜け出した高木さんのクロスを、ニアにディフェンス2枚を引っ張りながら入っていった武藤さんの裏でフリーになった興梠さんが素晴らしいボレーシュートをたたき込んで先制点を奪うことができましたし、立ち上がりとしてはホームの圧倒的な雰囲気の中、最高の入り方ができました。

鹿島の中盤でのプレッシャーが強いのは第1戦から引き続き同じでしたし、この試合では2点取らなければならない状況の鹿島はさらに中盤でのプレッシャー、球際の強度を上げてきていました。

ですから、最終ラインからつないで行くいつものやり方が難しいだろうなというのは予測できましたけど、その状況でも危ないときは無理にリスクをとらずに中盤を飛ばしてロングボール蹴る。つなげそうだとみたら、しっかりつないで、相手ゴール前までボールを運ぶといういつもの戦い方ができていて、ちょっとラインが下がって受けてしまった感はあるものの、武藤さんが決定機を2回作るなど、悪くない流れが作れていました。たらればですがここできっちり追加点が取れていればウチが圧倒して終わる試合内容だったと思います。

ところが40分に同点ゴールを食らってしまいます。失点自体は単純なミスからのもので、相手の何でもないロングボールにウガが対応を間違って当たり負けするとフリーで抜け出した遠藤選手のクロスをファーサイドで金崎選手に合わされてのもの。最重要の試合でこういう軽いプレーがでるというのは非常に残念。

ただ、この時点ではまだまだ選手も冷静で、リードしていたときと同じように試合を進めることができていました。

流れが変わったかなというのは1枚目の交代カードが切られたところから。この辺から1-1のまま試合を進めるのか、それとも追加点を取って試合を決めに行くのかという点でベンチ、さらにピッチ内での意思統一に乱れが生じた気がします。

ベンチの采配は完全に2点目を取りに行けという采配。59分には高木さん→青木さんとして柏木さんを1列上げる策を取ったのに続いて61分には関根さん→駒井さんとサイドをリフレッシュ。鹿島よりも先に交代カードを切っていることからもわかるように、相手の状況に反応してというのではなく、あくまでウチのやり方を貫いて追加点を取ろうというメッセージ。

ところがピッチ上ではその思惑は外れ、シャドーにポジションを上げた柏木さんは相手の執拗なマークにあって全く機能しなくなり、中盤を制圧することを託された青木さんも思ったようにボールを奪えないし奪ってもつなげないしでこの辺から徐々に鹿島のペースに試合が傾いてしまいます。

結局その悪い流れが失点につながります。79分に中盤でのミスからボールロストすると鹿島のカウンターが発動。山本選手からの素晴らしいスルーパスに抜け出した鈴木優磨選手を、後追いになった槙野選手が倒してPK献上。これを金崎選手に決められて与えてはいけない2失点目を喫します。

PKについては完全に槙野さんの判断ミスだと思います。まず鈴木選手に裏抜けされた時点での槙野さんの対応が1つめのミス。さらに2つめのミスは当たり前ですが後ろからのチャージ。

西川さんの1対1でのシュートストップ能力を考えれば、あのシーン、槙野さんはインサイド側からきっちり身体寄せてコースだけ切っておいて、あとは西川さんに任せておけば十分ストップできる可能性がありました。ところがあの状況から手を使って押すとか、ちょっと考えられないプレーです。

今年の2ndステージ開幕戦となったアウェーでの福岡戦でも彼は同じようなシチュエーションでPKを献上していて、何度やったら学習するんでしょうか。折角守備面で良いものを持っている選手なのに、手を使う癖が抜けないというのは残念です。

終盤はもう大混乱でまさかのパワープレー

で、1点ビハインドになってからのウチのテンパり具合は前述したとおり。槙野さんを前線に上げてのまさかのパワープレー。元々パワープレーで点が取れるようなサッカーやってないじゃないですか。なんであの状況でいきなり普段と違うことをやり始めるのか理解不能です。

もちろん、普段通りパスをつなぐやり方を貫いていたら得点できたとは限りません。しかし、1年間を通して自分たちのサッカーを信じて貫いてきたことで手に入れた年間1位の座を持って掴んだチャンピオンシップの舞台で、自分たちからそれを否定するようなことをやるというのは結果以上に残念です。

結局1点が遠くそのまま試合終了のホイッスルを聞くはめになってしまいました。

この2年間、理不尽なレギュレーションに振り回される形で2ステージ制の被害者筆頭のような感じになってしまいましたが、悲しいけれどこれが現実だし、今の浦和の実力。レギュレーションに文句を言ってもはじまりませんし、ましてそのレギュレーションによって優勝した鹿島を腐したところで何も変わりません。

とにかくこの現実を受け止めて、来シーズンのバネにして欲しいところ。選手もどんどんお年を召していきますし、今のメンバーでタイトルを取るために残された時間はどんどん減っていますが、次こそは浦和の歴史にもう一度Jリーグチャンピオンの称号を刻めるように、またサポを含めみんなで出直しです。

試合データ

観客: 59,837人
天候: 晴れ
試合結果: 浦和1-2鹿島(前半1-1)
2試合トータルスコア: 浦和2-2鹿島
レッズ得点者: 興梠(7分)
警告・退場: 槙野(警告×1/ラフプレー)、ズラタン(警告×1/異議)
主審: 佐藤 隆治氏

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