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2020 Jリーグ 第14節 ヤンマースタジアム長居 アウェー セレッソ大阪戦

前節はホームで大分を相手に先制を許しながらも前半のうちに逆転して勝利。ここ数試合狙いとして明確になってきた中央突破戦術に関しても大分との守備的なミスマッチをうまく突いた形で機能し、これが続く試合でも再現性を持てるのかに注目の中、迎える第14節はアウェーでのセレッソ大阪戦。

セレッソさんとは先月、8月にルヴァンカップのグループステージで対戦していて、その時はセレッソの守備ブロックを効果的に動かすことができず攻め手が作れないまま終盤にワンチャンス決められて敗戦となりましたが、先の経験をどの程度活かせるのか、その辺に期待しつつのキックオフ。

2020 Jリーグ 第14節 ヤンマースタジアム長居 アウェー セレッソ大阪戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第14節 ヤンマースタジアム長居 アウェー セレッソ大阪戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBはトーマス・デンさんに、槙野さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左に山中さん、ボランチのコンビは柴戸さんとエヴェルトンさん、SH右が長澤さん、左が関根さん。2トップには興梠さん、レオナルドさんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

スターティングラインナップは前節の大分戦から変更なし。前節結果も出たことですし、同じラインナップでのスタートは妥当かなという気もします。

対するセレッソ大阪は、最終ライン、4バックの左から片山瑛一選手、瀬古歩夢選手、マテイ・ヨニッチ選手、松田陸選手。ボランチに木本恭生選手と藤田直之選手。SH左に清武弘嗣選手、右に坂元達裕選手を配置し、2トップに柿谷曜一朗選手と都倉賢選手を置いた 4-4-2 のフォーメーション。GKはキム・ジンヒョン選手。

セレッソは堅守遅攻。特に守備時の 4-4-2 ブロックは各選手が大きくポジションを外すようなこともなくプレスのスイッチを入れるにしても相手の横パスなど、縦に長距離出ていかなくてはならないようなパスではなく、ブロックの形状をきちんと保てる場合のみに整理されているなど、なかなかスペースを与えてくれないのと、アタッキングサードに侵入された場合は中央をきっちり締めて人数をかけてくるので、単純な放り込みやごり押しの中央突破、個人打開に頼るやり方ではそう簡単には崩せません。

一方で現在のウチはSH(関根さんと長澤さん)をインサイドに絞って配置したところ or 2トップのうちの1枚が2列目に落ちたところに対して縦、もしくは斜めに楔パス付ける→そこからのワンタッチパスやフリックで 2トップ or SHがフィニッシュという狙い、中央に人数をかけた上での中央打開をある程度明確にしていますが、縦に楔を付けるにしてもその布石として相手守備ブロックを動かすという部分での連動性は見られないため、その辺がセレッソ相手にどうなるのか、というのは戦前から注目していたところでした。

中央締めてる相手に果敢に中央突破仕掛けた結果・・・

立ち上がりから予想通りウチはSH、特に関根さんがインサイドに絞った上で、2列目に落ちてパスコースを作る興梠さんに対して柴戸さん、エヴェルトンさんから積極的に縦に付けていくことでアタッキングサードに侵入することはできました。

とはいえ、セレッソもそこは織り込み済みというか、まぁアタッキングサードまで入られても最終的にシュートをフリーで打たれなければ大丈夫という対応をされたため、ウチがボールを保持して相手ゴールに迫っているように見えても、実際にはゴール前でフリーの状況はゼロ。さすがのレオナルドさんもあれだけディフェンスに囲まれて複数人で対応されてはシュートコースを作る時間も作れないし(それでも例えば後半64分のシーンとか、狭い空間でトラップ→ターンからシュートまで持っていくんで化け物なんですけども)、実際に前半、決定機と呼べるようなシーンは皆無といっていい状況。

セレッソ守備陣はウチの2トップ、およびSHに対する中央へのパスコースをしっかり切るようにポジションをとって無闇にボール保持者に食いついたりするような動きもしないし、最終ラインは常にウチの攻撃陣を前面の視野の範囲内に置いて対応していることもあってゴール方向に戻らされながら難しい対応を強いられるような状況にならず、無闇にハイラインを設定したりもしないので、ウチとしては攻略の糸口が掴みにくいままボールを「保持させられる」時間帯が続きます。

その中でも興梠さんの2列目に落ちたり、サイドに流れたりしつつボールを引き出す動きやポジショニング、そしてボールを収めてからの時間の作り方、さらに関根さんがそれを追い越すようにハーフスペースを縦に相手ディフェンスライン裏へと仕掛ける動きなど、選手個々のセンスで「おぉ」っと思わせるようなプレーが何度かあったのは確かですが(特に興梠さんはいつも「ここに人がいてくれたらありがたいよね」ってところにポジションとるんですよね。超絶気が利く男、それが興梠さん。まぁ興梠さんがそうやって動き回ってる時って、大体前線で起点が作れない時なのでよい傾向ではないんですけども)、あくまで個人、あるいは数人の間での閃きみたいなプレーであって、組織的な共通理解という点ではとにかく中央に楔入れて、という部分以外に二の手、三の手は見えなかったのは残念。

後半立ち上がりに弱点のサイドを突かれて失点

前半はウチが53%のボール支配率、プレーエリアも約30%をウチのアタッキングサードで終えましたが、前述したとおりボールは保持するもののチャンス創出という点ではほぼ沈黙させられた状態で後半へ折り返し。

前半から何度か気になっていたのは。セレッソの中盤でフリーマンのようにアウトサイドからインサイドへと大きくポジションを動かしながら要所要所でセレッソ攻撃の起点となっている清武選手を誰が捕まえるのかという部分。特にウチが前からプレスのスイッチ入れたときに彼が毎度インサイドに絞っては絶妙なポジショニングでボールを引き出すので、ウチの前線プレスがことごとく無効化されていて、ここをフリーに起点を作られると面倒だなと思っていたところで後半立ち上がり早々にその清武選手を起点にしたサイドチェンジから失点します。

48分、自陣、相手スローインでのリスタートからうまくボールを奪ってカウンター発動。中央でうまく相手のプレスをかいくぐり右サイドの橋岡さんへとボールが渡ると一気に相手陣へ侵入。しかし橋岡さんがレオナルドさんに付けようとした縦パスを相手ディフェンスにカットされると前掛かりになっていた裏をハーフタイムに途中交代していたセレッソの奥埜選手に獲られてボール保持されると、ボールはフリーの清武選手に。

この瞬間、逆サイドでフリーになっていた坂元選手へと清武選手から絶妙なサイドチェンジ、これには山中さんが対応しますが、寄せが甘い部分を突かれてファーサイドにクロスを上げられると、これを橋岡さんの裏で都倉選手に頭で合わせられて失点。

後ろに下がりつつの難しい体勢から、逆サイドネットにヘディングシュートを流し込んだ都倉選手のうまさと軸の強さを褒めた方がよいようなシュートではありましたけども、サイドチェンジにスライドが遅れてクロス→逆サイドの裏で失点、というのはウチの失点パターンとしてはよくある形ですので、その構造的欠陥をうまく突かれたなという形。

1点を追いかけつつも状況が好転しないウチは63分に興梠さん→武藤さん、関根さん→杉本さんとトップ、およびSHを刷新。武藤さんを関根さんの位置、杉本さんを興梠さんの位置に投入します。さらに73分には長澤さん→汰木さんとして、汰木さんを左のSHにして山中さんと縦関係。これによって武藤さんが右、長澤さんがいた位置に移動します。

中央エリアの打開が難しいと考えたか、後半最初の交代が行われた以降は武藤さんがサイドに流れて山中さんとのパス交換でサイドを起点に崩しの形を見せるなど、セレッソのカタイ中央守備を少し外して攻略しようという意図は見られましたが、根本的に相手ディフェンスを動かす、特に相手最終ラインの選手がポジションを逸脱しなければならない状況を作り出して相手守備陣形にスペースを創出するという部分での連動性がないため、起点がサイドに移ったところで個人打開しか道がないというのが難しいところ。

結局セレッソの守備を崩せないままという状況は変わらず、逆に致命的な追加点を喰らってほぼ試合が決まります。

74分、中央でボールを保持した藤田選手からウチの左サイドでワイドに張った坂元選手へとサイドチェンジ。これに対して山中さんとさらにサポートとして汰木さんが2枚で対応しますが、坂元選手の鋭い切り返しに山中さんがチンチンにされて中に突破され、そのままペナルティエリア内、ゴールエリア角の深い位置までドリブルで侵入されると、中央に入ってきた奥埜選手を狙ったと思われるクロスが、マークに突いていたデンさんに当たってオウンゴール。

この時のサイドの対応はかなり致命的で、汰木さんは山中さんのサポートにあの位置から入ったので普通に中をケアしに行きますね。なので山中さんは汰木さんがサポートに入ったことがわかった時点で「縦だけ」警戒するべきでした(もちろん汰木さんのコーチングが適切ではなく、サポートに汰木さんが入っていることに山中さんは気がついていなかった可能性もありますけども)。中に行かれる分には後ろに汰木さんのサポートがあるわけで、自分は縦を切ることに集中すればよかったわけですが、1失点目でクロスを上げられて失点した印象が強かったのでしょう。中途半端にクロスを切りにいったところでそのフェイントにガッツリ引っかかってターンからの突破を許す羽目になってしまいました。

汰木さんは中を切る位置にサポートに入っているので縦に行かれてしまってはもう間に合いません。(山中さんはコケてて遅れてるし)懸命に坂元選手に詰めようとしますが時すでに遅し。ペナルティエリア内に侵入されては強く当たりに行くこともできずでした。デンさんに当たってのオウンゴールは不運でしたが、左サイドを崩された時点で勝負ありというような状況でしたので仕方ない。

3失点目はもう何も言うまい...... ウチの攻撃終わり、相手の、裏を狙いつつもほぼクリアに近いようなボールに途中交代で入っていた岩武さんが対応。後ろからこちらも途中交代で入っていたセレッソの藤尾選手が追いかけてきていましたが、余裕を持って岩武さんが対応して事なきを得たように見えました。しかし西川さんもペナルティエリア内から出てボールに対応しようとしていたため、一旦は自分が処理しようとした岩武さんでしたが、西川さんにボールの処理を譲ります。

しかしここの判断で少しもたついている間に藤尾選手に詰められて西川さんがボール奪取されると、藤尾選手が冷静に無人のゴールに流し込みやがって失点。西川さん的にはダイレクトで再度相手ゴール前にロングフィード蹴りたかった感じがありましたが、岩武さんが藤尾選手をブロックするためにボールの前にいたため一旦持ち直そうとしたらそこを狙われたって感じで、ちょっと2人の意思疎通がうまく行かなかったんじゃないかなと思いますが、もったいない失点でしたね。

ということで最後の失点は見なかったことにしてもこちらは決定機もほぼなく、完敗という内容。やはり連動性の見られない個人打開に頼ったやり方では、きちんと組織された守備陣形を崩すには至らず、何度も書いていますが戦術的選択肢の少なさも完成度の高いチーム相手にはチャンス創出につながらず難しい試合になってしまいます。

実際に今シーズンの敗戦(現状で5敗)のうち、神戸戦を除く4敗は現在リーグ戦上位にいるチーム(FC東京、柏、名古屋、そして今節のセレッソ大阪)を相手に喫していることからもわかるとおり、勝てる相手と勝てない相手がある程度はっきりしていて、このまま行くと上位には勝てず、下位から勝点を拾って中段あたりの順位、っていう結果がある程度見えてきてしまいました。

戦術的な上積みが見込めないのであれば補強によって前線にタレントを集めるなど、他のアプローチが必要かと思いますが、新型コロナウイルスの影響で資金的に厳しくなり、国を跨いだ選手の移動が難しい状況を考えるとこの夏の移籍ウィンドウで効果的な補強というのも難しいでしょう。この停滞感をどうしたものか......

1年後、あるいは3年後などなんでもいいんですが、ある一定期間の間に到達したいゴールと、そこまでの明確な道筋が見えている中で何カ所かうまくいっていない部分がある、という状況であればその問題点を1つ1つ潰して行ければいいよねと長い目で見る気にもなりますが、現状は単に前にも後ろにも進まず停滞しているだけの状況であり、これが後に何かつながるとは思えない自分がいます。なんとかこの状況を打破する策が出てくることを期待したいんですけどね。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,793人(入場 5,000人以下の制限付きマッチ)
天候: 曇 / 気温 26.6℃ / 湿度 82%
試合結果: C大阪 3-0 浦和(前半0-0)
レッズ得点者: -
警告・退場: 山中(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 村上 伸次 氏
順位: 7位(7勝5敗2分/勝点23/得失点差-5)

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