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2020 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦

前節は神戸を相手にデンさんの強烈ミドルシュートで一時は同点に追いつくも終盤に失点して悔しい敗戦。そこから中5日で迎える第13節は、ホーム埼スタに大分トリニータを迎えて。

今シーズン、大分との対戦は初ですが、昨シーズンはホーム、アウェー共に敗戦。所謂ダブル喰らっていますので、苦手意識というほどのものではないと思いますが、相性的にはそれ程よいとはいえない相手。4バックでのぞむウチに対して3バックの大分がサイドでの優位性を活かす展開になるような予感はしますけども、その辺に対してウチがどの程度対策を取れるのかが気になる一戦となりました。

2020 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBはトーマス・デンさんに、槙野さんのコンビ。右のSBには橋岡さん、左に前節から引き続きスタメンの山中さん、ボランチのコンビは柴戸さんとエヴェルトンさん、SH右が長澤さん、左が関根さん。2トップには興梠さん、レオナルドさんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

興梠さんはアウェーでの横浜FC戦で腰を打撲して一時的に戦線離脱していましたが、前節途中出場するなどコンディションを整えて、満を持してのスタメン復帰。興梠さんが前線にいてくれることは非常にプラス材料なのでその辺がどう変化をもたらすかに注目。

対する大分は、3バック左から三竿雄斗選手、鈴木義宜選手、岩田智輝選手。ダブルボランチに島川俊郎選手、長谷川雄志選手のコンビ。WB左が香川勇気選手、右が松本怜選手。2シャドーに三平和司選手と小塚和季選手、ワントップに伊佐耕平選手を配置した 3-4-2-1 のフォーメーション。

皆さんもご存じの通り、所謂ミシャ式可変スタイルを採用し、守備時には 5-4-1 or 5-3-2 でブロックを作るやり方。攻撃に関しては中央への楔→ショートパスでの崩し、もしくはピッチ幅を最大限に使ったWBによるサイド攻略ということで、4バックでスライドディフェンスを採用するウチとしては高い位置をとってくる相手WBへの対応をどうするのかがカギ。

サイドは捨てて中央締める&中央突破戦術で対抗

前節のレビューでもちらっと書きましたが、現状のウチの守備はペナルティエリア幅でブロックを作りつつ、SBはなるべくワイドに引っ張られない形を基本にしています。これはSBーCBの間、最も危険なハーフスペースを攻略されることを嫌ってのことだと思いますが、逆に言えばサイドはある程度捨てて、中ではじき返すっていうことを念頭に置いたやり方(まぁそれ程今のウチに中央での強さがあるとは思えないので賛否はあると思いますが)。

あとはSHへの負荷が大変なことになりますけども、SHが守備時は相手ワイドにしっかり付いていく、攻撃時は即座に押し上げて攻撃面での起点を作るみたいなハードワークができるならそれなりになんとかなりそうなやり方。とはいえSHにそこまで攻守でのハードワークを90分強いるのは無理というのもありますので、多少はそこがルーズになってしまう時間帯もあるかなと。

なので、大分に対してある程度サイドを使われて押し込まれる時間帯があるっていうのは試合開始前から予想していたわけですが、実際には後述する攻撃面での狙いがある程度ハマってリアクション一辺倒ではなく、ボールを握れる時間をしっかり作れたことでポゼッション的にはそこまで悪化することなく、それなりの戦い方はできたんじゃないかなと思います。

これもここ最近のレビューで何度か書いていますが、開幕当初にストロングポイントとみていた左サイドに関しては山中さんを使ってはいるんですけどもそれ程高い位置に彼を侵入させようという意図はもはや感じられず、逆にインサイドに絞ったSH(特に関根さんですね)を中央でトップ下の位置に落ちてきた興梠さんと合わせて楔の的を作り、そこからのワンタッチパス、フリック等で縦関係になるレオナルドさんを裏に抜け出させようという意図がここ数試合はある程度狙いとしてはっきり見えてきました(前節のレビューではこれを「サイドでのストロングポイントは消滅し、2トップ-前節でいえば武藤さん-への楔しかビルドアップの出口がない状態」と書いたわけですが、もうこれが明確にチームとしての狙いになったってことですね)。

簡単にいえば中央に枚数を増やしておいてそこを起点にショートパスで中央ぶち抜きを狙った攻撃の構築ですが、大分のようにボランチや最終ラインの守備強度がそれ程高くない相手にはこのやり方が効果的に出たかなと思います。守備的にも中央固めてそこで引っかける→そのまま中央レーンを最短で相手ゴールに向かうってのはまぁ合理的ですし、「縦に速いサッカー」みたいのが目指すところなのであればこのやり方で再現性を高めて行ければよいのかもしれません。

失点は捨てたサイドから。しかし前半で逆転して流れを掴む

この試合、先にスコアを動かしたのは大分。前半9分と、試合開始早々に失点しますが、これは前述したとおり、ワイドにSBは出ていかないという暗黙の了解の中でSHがどこまで守備的に頑張れるかって部分での徹底が立ち上がりに少し曖昧だったところを突かれたもの。

ちと、DAZNさんの中継画像を使わせて頂いて簡単に。

2020 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦 浦和失点シーン振り返り その1

上記が大分のビルドアップで、左WBの香川選手に対してサイドチェンジが入る直前の状況ですが、ウチの最終ラインはペナ幅でしっかりライン自体は整っています。しかし、大外で香川選手はフリー。

この時、画像上の赤丸で囲んでいるのが長澤さんですが、本来は彼が香川選手のポジションを把握した上で、早めにディフェンスライン寄りのポジションを獲っておくべきでした。まぁそれも結果論なのでなかなか難しいと思いますが。

2020 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦 浦和失点シーン振り返り その2

で、上記が香川選手にボールが渡って縦に持ち出されたシーンですけども、長澤さんは完全に遅れていてノーチャンスなポジションにいますし、この状況で橋岡さんが香川選手に対して寄せるにも、柴戸さんも少し遅れているので自分のマークを受け渡す人が至近におらず、あとはマークを捨てて一か八かで出ていくしかない状況になってしまっています。

もちろん、マーク捨ててでも香川選手に対して出ていけばというのはたらればとしてはありますが、出ていった瞬間に自分のマーカーにGKとディフェンスラインの間にスプリントされ、合わせられる可能性もあるわけで、なかなかそのリスクをとってまで香川選手に寄せるっていうのは難しかったんじゃないかなと(実際、一瞬橋岡さんは香川選手に寄せようとしてるんですけども、自分がマークしていた小塚選手が裏にスプリントしそうな気配を感じてかポジション戻してますし)。

で、結果として香川選手はフリー。グラウンダーで入れられたクロスを戻りながら橋岡さんが触りますが、クリアしきれなかったこぼれ球を小塚選手に触られたところに逆サイドから長い距離をスプリントしてきた三平選手に押し込まれたという形。大分にとっては狙い通り。ウチとしてもこの状況を作られることはわかっていた中でやられたのでちょっともったいなかった感はあります。

とはいえ、先にも書いた中央突破戦術で前半の早いうちにまずは同点に追いつきます。30分、槙野さんからの楔をいい位置で引き出した興梠さんがフリック→レオナルドさんがうまく身体を使ってキープするとインサイドに絞った長澤さんへ。バイタルエリアで溜めたところに右サイドからサポートに入った橋岡さんへとボールが渡ると、橋岡さんのクロスにレオナルドさんが頭で強烈なヘディングシュートを合わせてゴール。

レオナルドさんのヘディング、体勢的には真上にジャンプしながらだったので普通はそんなに強いシュート打てないんですけども、体幹がやっぱ強いんでしょうね、予想外の強いシュートに相手GKのムン・キョンゴン選手はキャッチにいったところで痛恨のファンブル。そのままボールはゴールに吸い込まれました。GKの感覚としては正面でしたし、あの体勢からくるヘディングシュートなら威力的にも十分キャッチできると判断したんでしょうけども、それが裏目に出ましたね。

さらにこの同点ゴールの3分後となる33分、相手ペナルティエリア左角の位置で直接フリーキックのチャンス。キッカーは山中さん。左利きの山中さんにとっては絶好のポジションからのセットプレーでしたが、これを速い弾道でファーサイドネットを狙ったシュートは途中橋岡さんが頭で触ってコースが少し変わったこともあってゴールへ。記録的には橋岡さんのゴールですが、90% 以上は山中さんの直接ゴールといってもいいくらい素晴らしいコースとスピードを持ったフリーキックでした。

終盤は引いて守って6バック

大分はハーフタイムに町田也真人選手を投入。左のシャドーポジションに投入されたこの町田選手が後半立ち上がりからハーフスペース、最終ラインとボランチ脇の中間で結構いやらしいポジションを獲ってきたのに対してウチは誰がマークに付くのかがちょっとはっきりしない時間帯が5分くらいあって、大分に数回チャンスを作られます。

例えば下記のシーンなんかは後半立ち上がり早々のシーン。黄色の丸で囲んだのが町田選手ですけども、こういう中間ポジションに立たれたときにウチのディフェンスラインはそこまでオーガナイズされていないため、どうしても対応が遅れがちになります。

2020 Jリーグ 第13節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦 後半立ち上がり 大分 町田選手のポジショニング例

プレー的にはここを基点にサイドを縦に崩されてクロス→ペナルティエリア内、中央での三平選手のヘディングまで持って行かれるわけですけども、この辺は以前から課題になっている、SBがサイドに引っ張られてしまったときのCBとの間のスペースを誰が埋めるのか(基本はボランチの1枚が対応するかたちになると思いますが)の部分。

この時間帯に失点しなかったことでその後の修正と、60分過ぎあたりの交代で町田選手がポジションを1列下げてくれたこともあって後半立ち上がり以外はそれ程顕著にここを突かれることはなかったですが、4バック守備の永遠の課題という感じで、多少の不安は残りますね。

ウチの交代策は全て後半。まず60分に興梠さん→杉本さん、さらに70分には長澤さん→武藤さん、関根さん→汰木さんとして攻守にわたり負担の多いSHをリフレッシュ。60分過ぎから大分が知念選手、渡選手、田中達也選手と攻撃的な選手を立て続けに投入して前線にパワーをかけてくると、78分にはデンさん(シュートブロックで少し足首を痛めたっぽい)→岩波さん、山中さん→岩武さんとしてディフェンスラインを強化。

当初、ここ数試合やっているCBを3枚並べた5バックにして閉店作業かなと思ったら、今回はデンさんを下げたこともあってか、4バックのまま、SHの両翼が最終ラインに落ちる形の6バックを形成(SHは守備で下がって攻撃で出ていってで超大変そうでしたけども)。レオナルドさんは最前線に残しつつも、杉本さんもボランチ横に落とした 6-3-1 のブロックで大分のパスコースを人で埋める、所謂バスを並べる策で逃げ切り勝点3をゲットとなりました。

終盤の守備策も含め、リードして試合を進められれば1点を守って勝ちきることができるというのはここ数試合見ていてもある程度はっきりしました。あとは「リードして試合を進められるか」の部分で、今節見せた中央突破戦術を中心とした攻撃面での狙いがどの程度出せるのかというところだと思います。その辺に注目しつつ、次節を楽しみに待ちましょう。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,316人(入場 5,000人以下の制限付きマッチ)
天候: 晴 / 気温 30.6℃ / 湿度 57%
試合結果: 浦和 2-1 大分(前半2-1)
レッズ得点者: レオナルド(30分)、橋岡(33分)
警告・退場: -
主審: 家本 政明 氏
順位: 5位(7勝4敗2分/勝点23/得失点差-2)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。