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2024 Jリーグ 第19節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦

2024 Jリーグ 第19節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦

前節は、中断期間でしっかり準備できてるという期待のもとに楽しみにしていたアウェーセレッソ戦でしたが、あっさり負けて磐田戦以降、勝ちなしの状況。ただでさえ勝てないのに、ケガ人も非常に多く、戦力がそろっていない状態という踏んだり蹴ったりですが、そんな状況で迎える今節は、ホームでの鹿島戦。今節でリーグ前半戦も終了し、後半戦に折り返すという節目でもあります。

鹿島は今節開始時点で勝点36の2位。首位の町田を勝点2差で追っている状況。ウチとしては上位チームとの対戦になりますし、これ以上勝点を失うともう後半戦がぜーんぶ消化試合(前節のレビューで書いた通り4位とか5位とかみたいなどうでもいい順位で終わる流れ)になってしまう我々にとっては、勝点3が必須の試合。

こういう重要な試合でどういう戦いをするのか、結果はもちろん、内容的にも鹿島に対してどんだけやれんのか、ってところを見せられなければ、後半戦に向けて大きな傷を残す可能性もある、気の抜けない一戦となりました。

スターティングラインナップ

2024 Jリーグ 第19節 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦 スターティングラインナップ

ショルツさんがイエローカード累積によるサスペンションから復帰、さらにソルバッケンさんが戻ってきて右ウィングで先発。グスタフソンさん、中島翔哉さんは間に合わず。さらに松尾さんや関根さんは練習には合流しているという噂は聞くものの今だベンチ外と、相変わらず陣容的には潤沢とは言えない状態が続きます。

ベンチには前節結果を出したリンセンさん、武田さんが控えていますし、後半ギアを上げる状況で彼らをどう使うかにも注目です。

対する鹿島は、鈴木優磨選手をワントップに置いた 4-2-3-1 スタート。両サイドのスピードと鈴木優磨選手の強さを活かしたカウンターは強力なので、変なボールの失い方をして鹿島の狙いを出させてしまうと厄介。上手に戦いたいところです。

前半低調なプレーをして自分たちから難しい試合に。後半、システム変更と武田選手の爆発で2点を追いついたことは高評価も、試合運びの下手さは課題

もうなんでしょう、前半の内容のまま試合が終わってたらレビュー書く気も失せて埼スタから帰って速攻で寝てたわ。

鹿島のボール非保持は鈴木優磨選手とトップ下の名古選手を最前線に置いた 4-4-2 ブロックですが、基本的には無理に前からプレスには出てこず、ミドルレンジでしっかり守備ブロックのコンパクトネスを維持したまま中央のスペースを消し、サイドに追い出しつつ、奪ったらウチのSB裏のスペースを狙ってのカウンターという狙い。

特に鈴木優磨選手は、守備時の運動量はもちろん、攻守転換時には最前線、もしくはポジションを動かしながら要所要所でそのフィジカルを活かして起点を作り、味方が押し上げる時間を作りつつ配球する役割を高いレベルでこなしていて、この辺はさすがだなという印象。むかつくけど。

相手がコンパクトにブロックを作っているのであれば、まずは相手の狙いを外すような戦い方を選択したいところでしたが、どうも最近のウチにはそういう部分が足りていない。相手が明らかに強固な守備ブロックと素早いスライドでカウンターを狙いにきているにもかかわらずバカ正直にそのブロックに突っ込んでいって、相手の狙い通りに引っかかって被カウンターするっていう。

あれだけ強固なディフェンスブロックを正面から崩すのであれば、相当な連動性と、ワンタッチでのダイレクトプレーを織り交ぜて相手の対応を後手に回らせなければ難しいですが、パスはほぼ各駅停車の足元パスばかり、味方の動き出しに対する周囲の連動性も乏しく、パスの出し手と受け手のみの関係性でしかボールが動かないので、あれだと相手の想定を越えない。だから簡単に対応されてしまう。

アンカーのところを消されたことで中盤で前向きにボールを受けられる人がいなくなり、敦樹さんも落ちてきて何とかしようとするけど、結局それだとボール受ける位置が相手2列目の前になってしまうのでほぼ意味なし。サンタナさんは最前線で孤立し、前後分断して結局ボールは相手守備ブロックの外側を回っているだけ。で、そこから無理に斜めに付けようとして引っかかったり、苦し紛れの中途半端なクロスをはじき返されて相手カウンターが発動するみたいな流れ。

昨シーズンもそうでしたが、相手密集地帯での連動した崩しなんてチームとして構築されてないんだからいきなりできるわけねーだろと。相手がハイラインでコンパクトな陣形で待ち構えているなら、まずはその密集をすっ飛ばすように裏に蹴って相手のコンパクトネスを少しでも間延びさせるような餌をまくとか、相手が元気なうちは多少遠目からでもいいからシュートで終わるように心がけて被カウンターリスクを下げようとか、相手との駆け引きとかがまずあると思うんだけど、そういう工夫というか、インテリジェンスが感じられない。

今年のレビューでも何度も書いている気がするけれど、内容悪いなっていう試合はいつもこれだ。相手が何やってるかを考えず、とにかく自分たちのやりたいことに固執する感じで停滞し、そんなことやってるうちに先に失点して試合を難しくする。良く言えば自分たちのサッカーとやらに忠実。悪く言えば相手を出し抜く知恵が足りない。

今日の前半もこのパターンで、相手の狙い通りのカウンターから試合開始直後に失点、その後も状況は改善せず、前半終了が近いところで2失点目を食らってほぼ一方的な流れに。

被カウンターではショルツさんとホイブラーテンさんしか残っていない状況だし、スピードよりも味方との連携でうまく的を絞って的確に対処することで強みが出る2人が、局面で誰のサポートもなく1対1の対応をさせられる回数が多ければ、どうしてもファールも増えるしイエローカードが貯まるのもわかる。

さすがにこの状態のまま後半の盛り返しもできずに終わったら最悪の雰囲気になるなと嫌な予感がしていたところでハーフタイムに交代策。前半にちょっと膝を痛めたっぽい大久保さんを下げ、大畑さんを投入。これで渡邊さんを1列上げつつ、さらに中盤を少しいじって、岩尾さんと敦樹さんの並びをダブルボランチに、安居さんをトップ下のような形にする 4-2-3-1 に変更。

前半はアンカーのところを消されて前後分断みたいな形にされ、最前線との距離が遠いことで縦にパスが入らず、相手守備ブロックの外側をなぞるだけで、ほぼ相手の狙い通りでしたが、多少相手の運動量も落ち始める後半、さらに中央を2枚にしたことでこの2枚の上下の連動性が改善したこと、さらに1列上がった渡邊さんとソルバッケンさんがインサイドワークを意識しつつ、トップ下の安居さんがサンタナさんに近い位置でプレーしながらボランチ、両SBとの間でパスコースを作れるようになったことで相手にとって嫌な位置で前向きにボールを受ける回数を増やせたのが大きな改善。

この辺、システム論にはあまりしたくないというか、別に 4-1-2-3 スタートだったとしても、臨機応変にポジションを変えてやりゃいいだけだし、最初から 4-2-3-1 でやればよかったかというとそんなことはあくまで結果論なので意味ないと思うけど、やはり敦樹さんなんかは最初からインサイドハーフの位置にいるより、3列目からタイミング良く最前線に飛び出していくような動きの方がうまいし、彼の良さが活きるのは確か。また守備時の安定感も高い(中央に2枚いるんだからそりゃ1枚の時より安心なのは当然だけど)。

システムがどうこうより、今のウチには、ヘグモさんの求める 4-1-2-3 システムで、インサイドハーフに適任の人がいないってことと、結局グスタフソンありきのアンカーシステムなので、彼(もしくは彼同等の選手)がいないと成り立たないってのが結論になりそう。さらに各選手が新しい 4-1-2-3 というか、ヘグモさんのやり方に忠実すぎるあまり、『与えられた枠組みの中でどう自分を活かそう』というよりも『自分をどう求められる枠に合致させよう』ばかりになる、ある意味日本人らしい特性が悪い方向に働いてる感じがする。

その点、中島翔哉さんが輝いて見えるのは、いい意味で彼、あまり自分を枠にはめようという気がないというか、「チームのコンセプトは尊重する。でも俺は俺」みたいなプレーをするのでその意外性が良いアクセントになってチームが活性化する。全員が全員、思うがままにプレーしたらさすがにチームコンセプトが保てないけれど、こういう選手が1人もいないっていうのも難しくしてしまうってことで、サッカーって面白い。

話がそれたけど、この「意外性」みたいなのもをチームにもたらす存在として今日、爆発したのが武田さん。

76分、最後の交代カードとして足攣った岩尾さんに代わり投入された武田さん。安居さんがボランチに落ちて渡邊さんがトップ下に。武田さんが左のウィングに入る形でしたが、まず交代直後に石原さんからの縦パスにうまくハーフスペースを縦に抜けた敦樹さんからのマイナスクロスを冷静にゴールに流し込んで早々に結果を出すと、試合終了間際のアディショナルタイムに、ゴール左斜め位置からのフリーキックを、まさかの直接叩き込んで同点。

いやぁこの2点目、マジでその角度、コース、ボールスピードともに、お前は中村俊輔か、と言いたくなるようなゴラッソ。あのシチュエーションで直接狙うとか、入ったからすげぇでお祭り騒ぎだったけど、もし相手GKに読まれて簡単に止められてたり、枠を外してたりしたら何言われるかわかんないし、ハート強ぇな。いや、ミラクルを起こすにはこういう意外性が必要なんだけど。

この同点でスタジアムのボルテージは最高潮。これで最後1点押し込んで勝ちとかなったらめちゃ記憶に残る試合になったと思うけど、さすがに鹿島も最後は気合いでゴールを死守して2-2の痛み分け。鹿島にしてみればほぼ掴んでた勝点3から2を失ったという感じだろうし、ウチにしても一度は諦めかけた勝点3に最後は手がかかった感じでどちらも悔しい引き分けという印象でしょう。

この重要な一戦、ホームで勝点1というのは正直物足りないですけども、武田さんの爆発がなければ後半の熱狂もなくただ敗れて何も残らなかっただろうことを考えればわずかながら希望の光は残ったか。

これで次節からはリーグ後半戦に突入ですが、その初戦は平日夜の名古屋戦。ここまで勝ちから遠のいている状況ですし、後半戦での盛り返しを狙うなら、アウェーとはいえ勝利が求められる戦いになります。中3日と日程的にはタイトですが、ここは踏ん張って欲しいところです。

試合ハイライト

試合データ

観客: 48,638人
天候: 曇 / 気温 26.6℃ / 湿度 37%
試合結果: 浦和 2-2 鹿島(前半0-2)
レッズ得点者: 武田(77分)、武田(90+2分)
警告・退場: ホイブラーテン(警告×1/反スポーツ的行為)、ショルツ(警告×1/ラフプレー)
主審: 飯田 淳平 氏
順位: 11位(7勝7敗5分/勝点26/得失点差+3)

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