2024 Jリーグ 第3節 札幌ドーム アウェー 北海道コンサドーレ札幌戦
写真は「DAZN」中継映像から引用
開幕から2戦は、1敗1分けと、そろそろ内容はいいから勝利という結果が欲しい状況で迎える今節は、アウェーの札幌戦。
札幌も今シーズン出だしから苦戦していて、しかも主力選手が次々と負傷離脱するっていうあちらも色々と大変な状況。マンマークでガンガンプレスかけてくる感じは、ハマると面倒くさいですが、うまく回避できればスペース自体はあるっていう極端なチームではあるので、相手の状況が良くない今のうちにぶっ叩いておきたい相手。
ここ2試合の、特に攻撃面での停滞した状況については、ヘグモさんの試合前記者会見での下記の言葉が状況を端的に表しているなと思ったんですが、
選手の全ての行動が監督の指示に基づいたものであれば、監督の限界がチームの限界になってしまいます。戦術的なシステムはありますが、その中で選手たちにクリエイティブなプレーを望んでいます。野心的な目標かもしれませんが、将来的に成功したいのであれば、クラブとしてそういったところも重要になってくると思います。
特に外国人監督が課した戦術上のルール的なものが、「言われたことは忠実、勤勉にこなすけど、指示がないことについての独創性に欠ける」と言われがちな日本人の特性に悪い形でハマると、言われたことを愚直にやり遂げようとした結果、提示されたルールに固執しすぎて柔軟性に欠け、バランスを崩したりしがちっていうよくある状況。
つまり、外国人監督さんの感覚では、『選手は基本的に自分たちの好きなようにやりがちなので』、チームとして最低限の規律を求めるという意味でルールを提示するわけですけども、日本人に対してそれをやると、提示されたルールがまるで『絶対に破ってはいけない約束』、みたいに解釈されて思考停止しちゃうみたいな。
ヘグモさんが、いかに優秀な監督さんといえど、初めて指揮を執る国で、初めて日本人を指導するとなると、この辺のギャップにアジャストするのには少し時間がかかるってことでしょう。前任のスコルジャさんもシーズン序盤は同じような状況になって3戦目でやり方を変えたくらいでしたし。
それにしても、これだけ日本人選手が海外でプレーする時代になって、実際にウチにだって海外でのプレー経験がある選手が沢山いるのに、それでもそうなるんですね。それが日本人の血というものか。
まぁとにかく、今節はそういう意味で、選手達が監督の提示する戦術的な部分を自分たちなりに消化して、各自のプレー特性、クリエイティビティと融合させることができるのか、その上で相手を上回るパワーをチームとして発揮できるのか、そこが注目となる試合でした。内容よりも結果が求められる一戦。
スターティングラインナップ
前節は直前に体調不良で離脱してしまった前田さんがスタメンに。1トップは興梠さん、左に関根さんという前線3枚。それ以外はすべて前節から変更無しです。
躍動した前半、後半耐える展開も、粘り強く戦い抜いて初勝利
ウチのボール非保持に関しては 4-5-1 になってる時もありつつ、基本的には 4-3-3、というか、4-3-1-2 みたいな感じで興梠さんが相手のアンカーを消しつつ、両ワイドが相手のビルドアップに対して規制をかけに行くみたいなやり方をしていましたが、これは対札幌として決めていた感じに見えました。後半、サンタナさんが入ってきてからもセットした状態の守備はこのやり方が踏襲されていましたので。
札幌は基本的に後ろが3枚でのビルドアップになるので、ウチの両ワイド2枚で規制しに出ていっても相手が1枚余っちゃうし、1トップまで含めて3枚で出て行くとなると、その背中で相手アンカーにボールが入った時に縦にスイッチが入ってしまうので、それなら前線プレスは程ほどに、アンカーを消しちゃおうぜっていうことでしょう。理にかなっていると思いますし、実際にそれで相手のボール保持についてはかなり停滞させることができていました。
ボール保持時のスムーズさという点では、相手が人に対して強めに出てくる札幌相手なので、広島戦の時みたいにハマっちゃうと嫌だなと思ってたんですが、今節はうまくポジションを動かしながら、かつ動きながらボールを受けることが徹底されていて、的を絞らせなかったこともあり、何度か相手ボランチの背中で小泉さんがうまくフリーになったり、興梠さんが中央でうまくボール収めたりしつつ、興梠さんを追い越す形でインサイドハーフが裏に出ていったり、それによって両ワイドがフリーになれるシチュエーションを作っていて、この辺はよかったんじゃないかなと思います。
敦樹さん、小泉さんのインサイドハーフは、前節も立ち位置的には相手ボランチの背中に立ってボールを引き出すポジショニング自体はできていたと思いますが、そこからの動きが足りないために後ろからするとちょっとパスをつけにくい感じになっていたと思います。
しかし今節の敦樹さんなんかはうまくサイドに流れて前田さんとポジションを入れ替えつつパスを引き出して起点になったり、前述の通り、小泉さんも積極的にフリーランニングして相手ボランチの背中でボールを引き出したりと、この2枚の働きは素晴らしかったと思います。
関根さんも時には大胆にポジションを移動させながら攻撃の起点になっていただけでなく、ネガティブトランジション時には猛烈にプレスバックして相手の攻撃を遅らせるなど、非常に大きな働きをしていました。
また、前田さんはさすがというか、立ち上がり早々に相手ディフェンス2枚の間をぶち抜いてきたシーンなんかはすげぇと思いましたけど、期待通り、いいアクセントになりますね。こういう個で局面を打開してくる選手がいてくれるのは重要。もちろん、全部のシチュエーションで勝負してぶち抜いてくる必要はなくて、仕掛けてくるって相手が警戒すればディフェンスが引っ張られて他が空きますし、そういう勢いみたいのが大事。
さらに、攻守転換、特にネガティブトランジション時のプレスバックの速度や強度もチーム全体として高く保たれていて、この試合にかける選手の意気込みみたいのも感じられましたし、それがよい形で攻撃にもつながっていたので、こういう戦いができれば徐々に上向いていきそう。
一方で、90分全部をハイテンション、ハイインテンシティぶっ続けってわけにはいかないので、いい流れの中で先制点が奪えるか、先制後の試合のコントロールみたいな部分が重要になると思いますが、今節の得点タイミングは完璧。いい流れで相手を押し込んだ状況でのコーナーキックからでしたが、相手の意表を突くショートコーナー、2列目、3列目から勢いを持ってゴール前に突っ込んできた選手達の動き、そしてそこにピタッと合わせるグスタフソンさんの精度、色んなものが組み合わさった素晴らしいゴールでした。酒井さんのヘディング滞空時間、異常だろ。
課題があるとすれば後半の戦い方か。もちろん、ショルツさん、前田さんの負傷っていうアクシデントで2枚の交代カードを切らないといけなくなった不運はあるものの、興梠さん、前田さんが抜けてからは前線で全く時間が作れなくなり、2列目からの裏抜けもなくなって前節のような停滞に。
とはいえ、先にも書いたとおり、90分を全部イケイケでいくわけにはいかないので、うまく時間使いながらコントロールすればよいと思いますが、意図してコントロールというよりは、ちょっと受ける形になってしまったことで押し込まれる時間帯が多くなっちゃいました。
サンタナさんは前に1枚単独残しでロングカンターよろしく、って感じの選手でもないので、蹴っても収まらずにボールが帰って来ちゃうってのはちょっと辛かったですね。もちろん、サンタナさんのコンディションがまだベストじゃない可能性もあり、ここから徐々に本領発揮してくれる可能性もありますが、今節に限っていえば、興梠さんが交代後の落差は結構デカかったです。興梠さんが90分やれるなんて最初から思っていないので、どこかで交代するのはわかってましたけど、彼がいる間に追加点欲しかった。
ということで、終盤はちょっと押し込まれて辛かったですけども、強度的には90分しっかり保ちつつ、粘り強く戦い抜いて今シーズン初勝利。冒頭にも書いたとおり、今節は内容云々よりとにかく「勝利」という結果が欲しかった試合なので、しっかりミッションコンプリートした選手達を誇りたいと思います。
試合ハイライト
試合データ
観客: 18,942人
天候: 屋内 / 気温 22.6℃ / 湿度 30%
試合結果: 札幌 0-1 浦和(前半0-1)
レッズ得点者: 酒井(31分)
警告・退場: -
主審: 谷本 涼 氏
順位: 12位(1勝1敗1分/勝点4/得失点差-1)
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