2021 Jリーグ 第30節 味の素スタジアム アウェー FC東京戦
9月も終わりかけている今日この頃。リーグ戦の方も第30節を迎え、終盤戦だなという雰囲気になってまいりました。
ここにきてリーグ戦、直近の6試合では負けなしの5勝1分け、さらに素晴らしいことにその間、失点が「1」のみ。奪った得点は「8」と、好守に安定感が出てきた印象。前節のレビューでも書きましたが、得点の形に再現性もでてきて今年から取り組んでいることが、的確な補強と監督の手腕、そして選手たちの能力によってひとつの完成に迫っていることを感じさせます。
このよい流れの中で迎えるのは、FC東京、神戸と続くアウェー2連戦。FC東京は前節終了時点で勝点「46」の8位、神戸は勝点「54」の3位と、混戦の上位争いの中で直接的に競っている相手。当然アウェーとはいえ、確実に勝点3を奪っていかなければならない相手となります。
今節対戦するFC東京は長谷川健太監督体制で4シーズン目。おなじみ強力な外国人による前線。ハードワークできる中盤、デカいCBの組み合わせでカウンターがハマってしまう状況に持って行かれると非常に面倒くさい相手。一方でGKはほぼビルドアップに参加せず、各ポジションでも配置で優位を取ってくるようなチームではないため、ここ数試合ハマっているウチの前線プレスに対してプレス回避できるような仕組みもなさそう。なので、前線からハメて蹴らせたあと、相手前線の外国人選手にうまく収められたりしなければウチがボールを保持して押し込むことはできそうというのが個人的な試合前予想です。
写真は「DAZN」中継映像から引用
あとまぁ完全に余談ですが、メディア含め世間は今回の対戦で、酒井さん vs 長友選手、注目のマッチアップ!みたいな煽りが多かったですけども、個人的に酒井さんと長友選手を同レベルで並べるのやめていただきたいというのがありましてね。直近までリーグ・アンでも屈指の右サイドバックとしてバリバリに活躍していた人とイタリア時代でキャリアのピークを終えてる人を同列で比べんじゃ(ゲフン...... あまり言うと悪口になりそうだからやめときましょう。
スターティングラインナップ
さて今日のスタメンは、最終ライン、左から明本さん、ショルツさん、岩波さん、酒井さん。ダブルボランチに柴戸さんと平野さんを配置。左SHに汰木さん、右に関根さん、トップ下に小泉さん、1トップに江坂さんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては槙野さん、西さん、敦樹さん、達也さん、大久保さん、ユンカーさん、それに彩艶さんが控えます。
スタメンの人選としてはここ数試合の結果を見てもベストと考えられる形。よって前節から特に入れ替えは行われていません。ただし、リカさんの前日記者会見を見ている時にちょっと気になることをおっしゃっていて(下記引用)、あぁ確かにそういうことも考えないといけないんだよなと再認識。
累積警告が3枚の選手も多くいますし、いつケガ人や出場停止の選手が出たとしても、入ってプレーできる状態にしておくことが重要です。今の状態はいいかもしれませんが、10月に入れば3日ごとにゲームがあるようなタイミングもありますので、選手を入れ替えながら戦う形になると思います。チームとして目標に向かっていきたいと思っています。今は先発出場していない選手たちが11月、12月の決定的な試合でキープレーヤーになることは確実です。
累積警告が3枚の選手というのは、具体的には関根さんや柴戸さん、岩波さん、明本さん、それに山中さんなんですけども、しばらくメンバーから離脱している山中さん以外は紛れもなく現時点での主力、スタメン候補なわけで、特に最終ラインの選手となると警告を覚悟でプレーを止めに行かないといけないシチュエーションもあり、近いうちにこの中からサスペンションとなる選手が出てきてもおかしくない。さらに西さん、敦樹さんも現在累積警告2枚で、1枚もらえばリーチと終盤戦、怪我やコンディション以外の部分で選手を入れ替えなければならない状況も生まれるでしょう。
そう考えると、ここ数試合は少しメンバー固定っぽくなってはいるものの、リカさん的には人が入れ替わらないといけない状況になったとしても対応可能なように各選手のコンディションやモチベーションを保つ努力をしていることがわかります。また、ここまで特定の個人に依存せず、ある程度人が入れ替わってもほぼ同じようなサッカーができるような状態を作ってくれていることは心強い。
さて、試合の話に戻りましょう。
対するFC東京は、最終ライン左から長友 佑都選手、ジョアン・オマリ選手、森重 真人選手、鈴木 準弥選手。ダブルボランチに安部 柊斗選手と青木 拓矢選手。左のSHに田川 亨介選手、右に渡邊 凌磨選手。トップ下に高萩 洋次郎選手を配置し、ワントップが永井 謙佑選手という並びの 4-2-3-1。GKは波多野 豪選手。
FC東京は前節から中2日での試合。前節、名古屋戦では最前線ブラジル人トリオの一角、レアンドロ選手がレッドカード喰らって今節出場停止。この件や、過密日程を考慮してか、先発5人を入れ替える策。ただ、最前線に守備の意識が低いブラジル人が並んでいてくれる方が正直やりやすいってのはあって、スピードのある永井選手をはじめ、前からハメに出てこられてビルドアップを制限され、中盤の変な位置で引っかかってカウンターみたいな流れになると、スピード面では相手に対して大きなアドバンテージのないウチの最終ラインにとって、このFC東京の前線は結構面倒くさい。
一方で冒頭にも書いたとおり、FC東京は配置でズラして高度なプレス回避をする術などは持っていないため、うまくプレスはめて蹴らせるなり、高い位置で引っかけるなりすればウチがボール保持する時間帯は長くなることも予想されます。押し込んで先制できれば相手のカウンター狙いが活きるシチュエーションも生まれにくいですし、あとは終盤にブラジル人そろい踏みみたいになった時にごり押しで事故さえ起こされなければ十分勝機ありというのが戦前の想定でした。
開始1分の失点でゲームプランが崩れかけるも
冷静に反撃して価値のある逆転勝利
ここ数試合のクリーンシート、そしてそこに至るチーム全体での守備意識、切り替えの速さ、インテンシティの高さから、観ている方としても少し油断してたのかもしれませんが、札幌戦以来、久しぶりの失点はまさかの試合開始1分(正確には45秒くらい)。FC東京の最終ラインで森重選手がボール保持したところから、右足で斜めに左サイドの田川選手にロングフィードをビタッと合わせられて裏を獲られると、そのまま西川さんとの1対1を作られて失点。
直接的には酒井さんのところで田川選手に完全に裏を獲られて置き去りにされてしまったことが大きかったですが、森重選手のところにも江坂さんのアプローチがゆるく、規制も何もない状態で完全にフリーで蹴らせてしまったことも重なりました。森重選手のフィードは完璧だったのでそこを褒めるのが精神安定的には良い気もしますが、立ち上がりにしっかりブロックを作ったところでそれをすっ飛ばされて縦1発でやられてしまったので、あれがFC東京の狙いだったのかはわかりませんけどもウチにとってはゲームプランをぶっ壊される失点だったのは確かです。
ただ、ここで崩れないのが今のウチの強さ。失点が早かったこともあってか、チームとしては慌てることなく、冷静に反撃に出ます。
現状のウチのビルドアップは各ポジションの動き直し、連動性も高いレベルにまで成熟してきてオートマチックに相手守備ブロックのスペースを見つけてはそこでパスを引き出し、相手を翻弄します。最前線から落ちてくる小泉さんや江坂さん、そして2人が空けたスペースを即座に埋める適切なポジショニングができる両SH、中央でボールを引き出しては縦にガンガンスイッチを入れていく平野さん。
最後のところではゴール前を固めるFC東京にゴールまでは一歩届かないものの、まさに配置で殴る展開でほぼ一方的に試合を進めます。
そしてこの猛攻が形になったのが前半アディショナルタイム。右サイドでボールを持った酒井さんが、ハーフスペースに立った柴戸さんに付けるとそのままゴール方向に。その瞬間、ペナルティエリア付近で縦にパスコースを作った平野さんに柴戸さんからの鋭い縦の楔。平野さんがターンしてペナルティエリア内に侵入すると、相手ディフェンスを引きつけておいたところで右側をフリーでサポートした酒井さんへの優しいパス。パスを受けた酒井さんは冷静に相手GKの股下を抜くグラウンダーのシュートをゴールに流し込んで素晴らしい同点ゴール。酒井さんにとっては移籍後初ゴール。
テレビで観ていた側としてはリプレイ観るまでもなく酒井さんのポジションはオンサイドでしたが、なぜか副審が旗を揚げて一旦はオフサイド判定に。でもあってよかったVAR。レビューによって酒井さんの位置がオンサイドと判明するとゴールが認められてそのまま前半終了。前半のうちに試合を振り出しに戻せたのは大きかった。
後半、FC東京はディエゴ・オリヴェイラ選手と東 慶悟選手を投入。ディエゴ・オリヴェイラ選手と永井選手を前線に並べる 4-4-2 に移行。さらに60分には永井選手をアダイウトン選手へと変更し、前線にブラジル人FWを配置。しかし、それによって相手最前線、1列目の守備強度が下がったのを利用し、平野さんと柴戸さんが相手1列目裏でボールを引き出すと、難なくボールを前進させます。
64分には汰木さん→ユンカーさんとして相手ディフェンスライン裏をけん制することで、プレスバックをあまりしない相手前線と、ユンカーさんの駆け引きによって裏のスペースをケアしたい相手最終ラインを前後に広げることで相手守備ブロック中盤を間延びさせる狙いをみせます。
そして66分、インサイドに絞った関根さんがペナルティエリア付近までボールを持ちだして思い切ったミドルシュートを放つと、強烈なシュートはクロスバー直撃。この瞬間、ボールウォッチして足が止まったFc東京ディフェンス陣に対して、ウチはユンカーさんが鋭く反応。少し難しい体勢ながらシュート体勢に入りそうなところで、より良い体勢だった江坂さんが左足を冷静に振り抜き、ゴール右隅に流し込んで逆転。素晴らしい。
その後のFC東京は長友選手を右サイドに移動させて3バックにすると、半ばパワープレーのような状況に移行。こういうゴール前でガチャガチャするような状況をたくさん作られるのはウチにとっては嫌な感じですが、危ないシーンもありつつ、要所ではしっかり身体を張って1点リードのまま試合は進行。
78分には直前の接触プレーで少し痛めたっぽい酒井さんを西さんに、さらに平野さん→伊藤さんとして中盤での守備強度を上げると、87分には関根さん→達也さん、小泉さん→槙野さんとして、クローズ作業。槙野さんを3バックの中央に、明本さんと西さんをWB的な立ち位置にしてスペースを埋めると、残り時間をしっかり守りきってアウェー味スタで勝点3をゲットしてくれました。
これで次は3位、神戸との直接対決。勝点上は同じ「54」ですが、神戸は試合消化が1試合ウチより少ないため、実質は相手が上にいる状態。週明けの水曜日に神戸は川崎と対戦して試合消化が並ぶため、その結果によって勝点差がどうなるかは決まりますが、3位を狙う上では絶対に勝たなければならない試合となります。守備の堅いFC東京を相手に逆転勝利できた今節の結果を自信に、良い戦いを期待したいと思います。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 4,875人
天候:曇 / 気温 23.8℃ / 湿度 61%
試合結果:東京 1-2 浦和(前半1-1)
レッズ得点者: 酒井(45+1分)、江坂(66分)
警告・退場: -
主審: 小屋 幸栄 氏
順位: 5位(16勝8敗6分/勝点54/得失点差+8)
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