2021 Jリーグ YBC ルヴァンカップ プレーオフステージ 第2戦 浦和駒場スタジアム ヴィッセル神戸戦
ミッドウィークの水曜日には天皇杯を戦って無事勝利、3回戦進出を決めましたが、週末は再び駒場でのルヴァンカップ、プレーオフステージの第2戦はヴィッセル神戸との対戦。週に2回も駒場に来るのは何年ぶりなんですかね。
第1戦はアウェーで2得点1失点の勝利。プライムステージ進出の条件としては、勝利はもちろん、引き分け以上でもOK。万が一敗戦の場合でも、アウェーゴールを 2つ獲られての 2点差負け(要するに 0-2 での負け)、もしくはアウェーゴールを 3つ以上獲られての負けでなければ大丈夫。1-2 で敗戦した場合は延長戦突入ということで、条件的にはかなりこちらに有利な状況。
とはいえ、いざとなれば前線に強力な外国人選手を擁し、攻撃力のある神戸が相手。あちらも先に2点獲らなければ始まらないってことはわかっている状況なので恐らく前から出てくるでしょうし、その勢いに飲み込まれると危険。まずは冷静に、相手の勢いをうまくいなしながら手鼻をくじくような、したたかな戦いがしたいところです。
スターティングラインナップ
さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、トーマス・デンさん、ウガ。ダブルボランチに伊藤(敦)さんと金子さんを配置。左SHに汰木さん、右に関根さん、トップ下に小泉さん、1トップにユンカーさんを置いた 4-2-3-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしては岩波さん、西さん、達也さん、阿部ちゃん、杉本さん、興梠さん、それに塩田さんが控えます。
水曜日の天皇杯でも先発したユンカーさん、小泉さんが引き続きスタメン。ボランチの1枚も天皇杯から引き続き金子さんが起用されましたが、今回は伊藤(敦)さんとのコンビでスタート。
対する神戸は、最終ライン左から初瀬 亮選手、小林 友希選手、菊池 流帆選手、酒井 高徳選手。アンカーにセルジ・サンペール選手。2シャドーに山口 蛍選手とアンドレス・イニエスタ選手を配置し、最前線は左から佐々木 大樹選手、ドウグラス選手、郷家 友太選手を3枚並べた 4-1-2-3 のフォーメーション。GKは前川 黛也選手。
神戸の勢いに押し込まれそうになるも、カウンターから先手をとって優位な展開に
第1戦では3バックを採用する神戸に立ち上がりからペースを握られ苦しみましたが、今回は4バックに戻してのスタート。冒頭にも書いたとおり神戸としてはまず2点獲ることが必須であり、ある程度リスクをとってでもハイテンションな入りをしてくることが予想されますが、スタメンを観てもセルジ・サンペール選手、山口 蛍選手、アンドレス・イニエスタ選手を中盤でトライアングルに配置した上で最前線はドウグラス選手を頂点に、両サイドにスピードと技術、さらに高さもある郷家選手、佐々木選手を並べてくるあたり、スタートから得点奪う気満々の前掛かりな布陣となりました。
実際に神戸は立ち上がりからインサイドに絞ってプレーする両SHが空けた大外のスペースに両SBが積極的なオーバーラップを仕掛け、最終ラインは2CBにアンカーのセルジ・サンペール選手が残るだけみたいな超攻撃的な入り。前に人数をかける分、やばいときは対人で気合いの守備みたいなやり方で、神戸としてはリスクをとりつつ、落ち着いた試合にはさせないぞ、ガチャガチャした展開にウチを巻き込んでやる、という意図が見えました。
神戸の中盤はイニエスタ選手が攻撃面での基点。山口蛍選手が積極的に前線に出て行くことで縦関係を作りつつ、ウチのディフェンスラインに捕まらない絶妙な位置に立ち位置をとるイニエスタ選手からの配球は非常に厄介。ウチのディフェンス、2ラインの間に人数をかけてくる神戸に対して当然ウチはそこを圧縮しようとするわけですが、それによって下がりがちになる2列目の前面でイニエスタ選手が前を向いてボール受けるので、なかなかイニエスタ選手のプレーを制限できない。
このイニエスタ選手の立ち位置も神戸が意図して彼をフリーにするやり方をしてきたものと推測しますが、実際に立ち上がりの2分くらいにはその立ち位置をとったイニエスタ選手からのクロスに中央、山口蛍選手の頭→クロスバー直撃という決定機を作られていて、やはりイニエスタ選手に時間を与えてしまうと怖いなという印象。
とはいえ、ウチも中盤で伊藤(敦)さん、金子さんを中心に強度の高い守備ブロックを形成して神戸の前進を阻止。前半10分過ぎ辺りからは、前からハメにくる神戸をうまくいなして逆にアタッキングサードに侵入するなど、徐々に試合の流れを引き戻す、というか神戸のハイテンションに付き合わず、自分たちのペースを取り戻しにいきます。
ちなみにこの時のビルドアップに関して、金子さんの立ち位置やボールの持ち方は非常によかったと個人的には感じました。過去金子さんがボランチにいるときに、ちょっとアグレッシブさが足りないというか、守備の方にバランスを取り過ぎで、もう少し相手にとって危険なところに入っていくプレーが必要なんじゃないかと思って見ていたんですけども(これは直近の天皇杯、富山戦でもそう)、この日の金子さんは神戸のプレスが出てきたところでうまくインサイドでパスコースを作ってボールを引き出すと、そこからの持ち出しや、積極的に縦に付けていくようなプレーも多かったですし、本来はそれができる人だと思っていますので、ここからの巻き返しに期待が高まりました。
で、16分の先制点はその金子さんが神戸のコーナーキックをはじき返したところからのカウンターで奪ったものですが、酒井高徳選手がセカンドボールをダイレクトでシュートしようとして空ぶったのはラッキーとしても、その瞬間にスプリントして酒井選手からボールを奪い取った小泉さん、それに反応して全力でスプリントして小泉さんと併走したユンカーさん、汰木さんで神戸の選手を完全に置き去りにしたカウンターは大迫力。最後まで相手GKと駆け引きしつつフリーの小泉さんに優しいラストパスを出したユンカーさんの冷静さも最高でした。そして小泉さん、浦和での初ゴールおめでとう。
前掛かりに出てくる神戸に対して、相手のミスを見逃さずワンチャンス決めきって先制点。これで神戸は3点が必要になったわけで、ウチとしては理想通りの試合展開。
とはいえ、リスタート直後の18分あたり、西川さんが神戸の佐々木選手に寄せられてボールロストしそうになったところを思いっきりペナルティエリア内で引っかけたシーンなんかはPKを覚悟しましたし(主審はアドバンテージとったみたいですけども、ペナルティエリア内で、かつイニエスタ選手のシュートもゴールまでの距離やウチの選手はシュートブロックに2枚入っている状況ではアドバンテージ判断によるPKと比べた優位性ってなかったように見えましたので、あれは主審の判断ミスじゃないかなと思います)、この辺は運がウチに味方した部分。
なのでその運をうまく味方に付けて無失点で後半に折り返したかったんですけども、22分、中央でボールを受けたセルジ・サンペール選手から神戸右サイド、酒井高徳選手への展開に最終ラインから出た山中さんの寄せが間に合わなかったことで時間を与えると、槙野さんの背中を獲ったドウグラス選手へのピンポイントクロスを合わせられて失点。神戸にアウェーゴール1点を与えることに。
しかし、前半終了間際、ウガのクリアボールを神戸SB、小林選手との競り合いに勝って抜け出したユンカーさんが、興梠さんばりの美しいループシュートでゴールに流し込むとこれが追加点。神戸を再び突き放します。
実はその数分前にもウガ→小泉さん→ユンカーさんと縦に3つ繋いでユンカーさんがGKと1対1の決定機を作っていて、そこでは神戸GK、前川選手の股下を狙ったシュートがブロックされて得点には至らなかったんですけども、2度目のチャンスはのがさんという感じでしたね。ウガもクリアボール蹴る前にユンカーさんをみていましたし、あれは神戸の最終ラインに人が残っていないことを見越して狙ったものだったのでしょう。ただ、ユンカーさんがあんなスピードで相手CBを置き去りにするとは思っていなかったんでちょっとビックリしました。ユンカーさん半端ねぇっす。ゴールと同時に前半終了。
イニエスタ選手のゴラッソ喰らって際どい展開になるも最後は守り切って勝ち抜け
2-1 にしたことでウチの交代策としてはどちらかというと守備的な調整が主になりました。61分にはユンカーさん→興梠さん、山中さん→西さんとして一旦そのまま西さんを山中さんがいた左SBの位置に(交代直後はウガを左サイドに移動。西さんを右のSBにしていましたが、セットプレーの守備の流れからかすぐに左右を入れ替えて、そのまましばらく西さんが左SBやってましたね)、後半飲水タイムの前後には西さんとウガの位置が再度入れ替わってウガ左、西さん右という並びに。
対する神戸は58分に佐々木選手→リンコン選手。さらに71分にドウグラス選手→藤本選手、初瀬選手→アユブ・マシカ選手と攻撃的な選手を連続投入すると3バックに移行。これに対してウチは73分には小泉さん→杉本さん、金子さん→阿部ちゃんとすると、中央ラインにフレッシュな選手を入れて守備の強度を確保。圧力を高めてくる神戸に対して対抗策をとりますが、77分、ゴール前で郷家選手の仕掛け対して関根さんが思わずファールで止めると、このフリーキックをイニエスタ選手に直接叩き込まれて同点。
もうね、これはイニエスタ選手褒めた方がいいっすよ。壁の作り方に関しても、西川さんの立ち位置についても大きな問題はなかったと思いますが、ファーサイドにあの速度、あの角度で叩き込まれたら無理。失点自体は悔しいんですけども、なんていうか、勝ったから言えるんですけどもいいもの見せてもらったなと。しかしこれで神戸はあと1点獲れば2戦合計で逆転(アウェーゴール数)、ウチは敗退という一気に神戸が息を吹き返す状況に。
しかしウチの冷静さを失わず、ブロックを作った状態では汰木さんを最終ラインまで下げる5バックにすることで中央に人数を集めつつ、集中した守備を続けて 2-2 のまま試合は終盤へ。90分にはウガ→岩波さんとして、3バックに。3バックの両サイドに西さんと汰木さんを落とす形で興梠さんだけをトップに残した 5-4-1 ブロックを作るとアディショナルタイムを締めにいきます。
ちなみに、この時左サイドは汰木さんが最終ラインに落ちてその前面に関根さんがいる形でしたが、ベンチからはこれに対してかははっきりわからないんですけども「逆なんだよな~」っていう声が出ていたのと、その直後に汰木さんと関根さんが縦関係を入れ替えていたので、ベンチの意図としてはこの並びにしたかったんでしょうね。
5バックにした意図として、試合後の記者会見でリカさんが、「足が攣った選手が出たのでディフェンスラインを5枚にしたけど、できればやりたくなかったんだよね」的な事をおっしゃっていたので、苦肉の策という感じだったのでしょう。しかし、あの時間帯に1点奪われれば終わりという状況で、選手たちは最後までしっかり戦ってくれました。
ということで、しんどい戦いではありましたが、客観的に見れば非常に白熱して面白い試合。そして 2-2 で試合を終えたことで2戦トータルスコアでは1勝1分け、神戸を 4-3 と上回り、見事にプライムステージ進出が決定しました。素晴らしい。
さて、次は1週間のインターバルを経て、リーグ戦が再開。ホームでの湘南戦です。リーグ戦、カップ戦含めてここのところ10試合負けなしと調子は上がってきていますが、リーグ前半戦も次の湘南戦を入れて残り2試合。しっかり勝って後半戦への勢いをつけたいですね。
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試合ハイライト
試合データ
観客: 4,892人
天候: 雨のち曇 / 気温 26℃ / 湿度 57%
試合結果:浦和 2-2 神戸(前半2-1) / 2戦トータル:浦和 4-3 神戸
レッズ得点者: 小泉(16分)、ユンカー(45+3分)
警告・退場: 阿部(警告×1/遅延行為)
主審: 池内 明彦 氏
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