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2021 Jリーグ 第9節 埼玉スタジアム2002 徳島ヴォルティス戦

2021 Jリーグ 第9節 埼玉スタジアム2002 徳島ヴォルティス戦

前節はアウェーで清水を2得点、完封しての勝利。今シーズン初の連勝として少しずつ勢いが出てきた状況ですが、前節から中3日で迎える第9節は、ホーム埼スタに徳島ヴォルティスを迎えて。

徳島は今シーズン、J1に昇格してきた所謂昇格組ですが、言わずと知れたリカルド・ロドリゲス監督の古巣。彼が2017年に徳島の監督に就任して以来、4年間にわたってチーム構築を進め、その集大成として昨シーズンのJ2優勝、J1昇格を成し遂げています。

チームが形になってきたと思うと主力選手をJ1クラブに引っこ抜かれるという苦労に耐えつつ作り上げられたチームは戦術的にもかなり洗練されており、J1で戦う今シーズンも前節終了時点で3勝3敗2分の勝点「11」、順位的にもウチの1つ上の9位につけており、十分トップカテゴリーでも戦えることをここまでは示していますし、自分たちの現在の完成度を測る上ではまたとない相手。お互いに手の内がわかりあっているもの同士の対戦、どういった戦いになるのか、注目の一戦となりました。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第9節 埼玉スタジアム2002 徳島ヴォルティス戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、西さん。アンカーに伊藤(敦)さんを配置し、左のSHに明本さん、右に関根さん、トップ下に小泉さんと武田さん、ワントップに武藤さんという並びの 4-1-4-1 スタート。GKは西川さん。サブのメンバーとしてはウガ、柴戸さん、汰木さん、杉本さん、興梠さん、工藤さん(2種登録)、それに彩艶さんが控えます。

ただ、試合開始11分でアクシデントにより武田さんが交代になってしまったため、武田さんと代わる形で急遽入った杉本さんがワントップに、武藤さんが武田さんのいた位置に落ちる形(下記)が実質上のスタートフォーメーションみたいになりました。武田さんはプレスバックしてボールを奪いに相手と競った際、足首をひねった感じに見えましたが重い怪我じゃないことを祈ります。ちょうど私が座ってた席の正面くらいの位置だったのですが、かなり痛そうにしていたのでちょっと心配です。

2021 Jリーグ 第9節 埼玉スタジアム2002 徳島ヴォルティス戦 武田選手交代以降フォーメーション

対する徳島は、最終ライン左からジエゴ選手、福岡 将太選手、鈴木 大誠選手、岸本 武流選手。ダブルボランチに鈴木 徳真選手と藤田 譲瑠チマ選手。2列目に左から藤原 志龍選手、渡井 理己選手、宮代 大聖選手、そして1トップに垣田 裕暉選手を配置した 4-2-3-1 のフォーメーション。GKは上福元 直人選手。

スタートの並びこそ異なりましたが、志向するサッカーは同じ。お互いに相手よりも優位なポジションを先に獲れるかってところや攻守転換速度を含めたインテンシティ、運動量、局面でのクオリティで上回った方が勝つっていうバッチバチのぶつかり合いになりました。

前半の主導権は徳島。受け身に回った浦和

前述したとおり、前半の立ち上がり10分くらいの時点で武田さんがアクシデントで交代して少し並びが変わってしまったため、元々のプランが崩れたというのはあると思いますが、徳島のビルドアップに対して 4-4-2 ブロックで待ち受けるような形をとったウチに対して、立ち上がりからしっかりボールを保持して主導権を握ったのは徳島。

徳島はさすがに完成度が高く、選手の距離感も適切で、ボールロスト時にも素早く囲い込んでくるため、時間と空間を奪われたウチはミスを連発してなかなかボール保持できない状況に追い込まれてしまいました。徳島は、基本、ボランチの1枚が最終ラインに落ちる3枚回しでしたが、そのまま単純にウチの2トップが出ていっても規制がかからないため、もし人数を合わせてハメに行くなら2列目から出て行く必要がありますけども、前半に関しては明本さんも関根さんもそこまで無理に2トップと同じ位置までは出ていかなかったため、徳島的にはビルドアップがやりやすかったんじゃないかなと思います。

結果として前線で規制がかからないので最終ラインも上げることができず、徳島の渡井選手などが伊藤さんの両脇や裏のスペースにうまく立ち位置を獲るのでそこへの縦の楔が結構な割合で入っちゃうっていう、そうすると中盤が一発で裏っ返されるので結構厄介だなという感じでみていました。この辺は途中から(ちょっと細かい時間忘れましたけども)小泉さんと伊藤さんが横並びに2ボランチになるやり方にしていましたので、やはり現場的にも危険という判断だったのでしょう。

実際に前半の30分過ぎから40分くらいの間に2回ほど徳島に決定機を作られていて、西川神が降臨しなければ終わってたシーンがありました。いや本当、この試合に勝利できたのは西川さんのおかげが半分くらいありますよ。

ちなみに無理に前からハメに行かず、ブロックを作ること自体が悪いとは思わないのですが、それなら縦のパスコースはきっちり切れる立ち位置をきちんと獲って外に追い出すような形にしないとちょっと厳しいかなと。ちなみに後半は明本さんがガンガン2トップと同じ位置まで出ていって規制をかけることができていたので、その辺は前半を見て修正したのでしょう。なので後半の方がウチの出来としてはよかったと思います。

一方で徳島の守備ブロックは 4-3-3 になっていて、前線 3枚が積極的にウチのビルドアップに対して出てくる形をとっていましたが、徳島は前線のプレスと最終ラインのコントロールがしっかり連動していたため、うまく相手を引き込んでもそこから中盤に付けたときにはしっかり徳島のプレッシャーがかかっている状態になってしまっていて、この辺は素直にやりにくいなというか、徳島さんさすがだぜという感想。

ブロックを作る際も2トップと2列目がきちんと縦に楔入ってくるコースを切って立つので、ウチは縦にスイッチを入れることができず、サイドに迂回させられたところで一気にボールサイドに圧縮されるのでそこで詰まってボールロスト。あの辺の守備の仕方はお手本になるかもですよ。

ウチには西川さんがいるので、あの時間帯は割り切って相手がライン上げたところで裏に一発蹴り込むみたいなのを繰り返してみてもよかったかもしれません。一発で裏狙われる恐怖を植え付けられれば相手もそう簡単にライン上げられなくなったかもしれませんが、そういう相手の出足をうまくいなすような狡猾さは少し足りなかったかもしれませんね。

ただ、前半に関してもやられっぱなしだったかというとそんなこともなく、40分過ぎから前半終了までの約5分間はそこまでの劣勢を跳ね返し、逆にウチが決定機を2発連発します。1発目は西さんのクロスに武藤さんが頭であわせてクロスバーに当てたシーン、2発目は西さんとのワンツーでうまくニアゾーンを獲った関根さんからのクロスのこぼれ球を武藤さんシュート→跳ね返りを明本さんが左足一閃するも徳島のGK、上福元選手にセーブされたシーンですが、後半に期待させるに十分な得点の匂いをさせつつ前半終了。

後半は前線プレスを改善、セットプレーからのチャンスをものにして手堅く勝利

前述した、前半に少し受けてしまった守備の仕方を後半は立ち上がりからしっかり修正。特に明本さんが最前線2枚と横並びに前からしっかり相手のビルドアップを規制しに出ていくことができたため、これに連動して中盤以降も高い位置をとれるようになると選手の距離感も改善。徐々にウチがリズムを掴んでいく展開に。

60分の先制点はセットプレーから。左サイドからのコーナーキックにキッカーは小泉さん。すぐ側にサポートした山中さんへのショートコーナーをダイレクトで蹴り込んだクロスに、中央でうまくマーカーの渡井選手を外した関根さんが頭であわせて技ありのゴール。最も警戒される槙野さんや岩波さんではなく、ヘディングのイメージがほぼない関根さんが頭で決めるとはね。試合後インタビューでも関根さんが「練習していた形」と言っていましたが、あえて通常はターゲットとなるデカい選手(相手がしっかりマークに付いてくる選手)をニアとファーで囮にしつつ、マークがゆるめの選手に中央であわせるっていう策でしたが、見事にはまりました。

後半、ウチのコーナーキックは結局この1本だけだったと思いますので、まさにワンチャンスを狙い通り決めきったということで、素晴らしい。マークを外した関根さんの動きも素晴らしかったですし、ゴールから離れながらのヘディングシュートをキーパーの手が届かないコースに飛ばしたヘディングの技術も最高でした。鹿島戦では素晴らしいダイビングヘッドがなかったことになっちゃった関根さんでしたが取り返しましたね。

先制後も両チーム共に運動量とインテンシティの高いプレーを連発し、非常に見応えのある、締まった試合でした。先制したとは言え、決してウチが主導権を握って相手からボールを取り上げることが出来ていたかというとそんなことはなく、中盤で伊藤さんを中心に最前線では杉本さんや明本さんが激しくボールを奪いに行くなど最後まで集中したプレーをみせたウチが1点を追って出てくる徳島の攻撃を抑え込み、鹿島戦から続く連勝を3に伸ばすウノゼロ勝利。

選手交代も85分に武藤さん→柴戸さん、90+5分の関根さん→ウガと、試合終了間際に守備の強化を目的とした交代でしたので、リカさんもかなり慎重に試合の状況を見ながら判断したように思います。逆に先発(+開始10分で急遽出場した杉本さん)したメンバーも非常に集中して運動量も強度も落ちなかったので、下手にいじりにくい状態だったというのもあるかもしれません。

清水戦もそうでしたが、自分たちの理想通りの展開にならなくても、焦れずにやれることを積み重ねてワンチャンス決めきる、そういう自信につながりそうな勝利ということで、この勝利は次節以降につながる大きな勝利だったのではないでしょうか。

2021 Jリーグ 第9節 埼玉スタジアム2002 徳島ヴォルティス戦

さて、リーグ戦はこれでひと息つける1週間のインターバル。次節は今週末、アウェーでのセレッソ大阪戦。そして翌週からはルヴァンカップを絡めた週2試合の日程がまた続きます。少しずつ勢いがついてきた感はありますので、この勢いのまま序盤戦を駆け抜けたいものです。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 9,972人(上限10,000人)
天候: 晴 / 気温 17.3℃ / 湿度 36%
試合結果: 浦和 1-0 徳島(前半0-0)
レッズ得点者:関根(60分)
警告・退場: 関根(警告×1/反スポーツ的行為)、山中(警告×1/ラフプレー)
主審: 今村 義朗 氏
順位: (暫定)9位(4勝3敗2分/勝点14/得失点差-4)

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Yoshiki Kato / burnworks
Yoshiki Kato
埼玉県出身。サッカー、フットサル (観戦 / プレー)、モータースポーツ観戦、格闘技 (主にボクシング) 観戦、インターネット、音楽鑑賞、筋トレ、腕時計収集が趣味。サッカー 4 級審判員、ウオッチコーディネーター(上級 CWC)資格認定者。好物はゼリー、グミ、お酒、ラーメン。