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2020 Jリーグ 第17節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦

前節はアウェーで札幌を相手に3失点しながらも4得点という打ち合いを制して勝利。1週間の間隔を経て迎える第17節はホーム埼スタに首位の川崎フロンターレを迎えての一戦。

リーグ戦もこれでちょうど折り返し地点。現在連勝中、得点力も大爆発して首位を独走しつつある川崎さんを相手に、現在のウチがどの程度戦えるのか、注目のキックオフとなりました。

2020 Jリーグ 第17節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第17節 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBは岩波さん、槙野さんのコンビ。右のSBにはトーマス・デンさん、左に山中さん、ボランチのコンビはエヴェルトンさんと柴戸さん、SH右が柏木さん、左が関根さん。2トップにはレオナルドさん、杉本さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

右のSBにはデンさんが札幌戦に続いて起用されました。橋岡さんは2試合連続のベンチ外。コンディションの問題なのか、前半戦フル出場が続いたのでこの辺でお休みさせているのかはわかりませんが、前節結果が出た最終ラインの並びを基本的には踏襲。左SBは山中さんが先発。

川崎の左サイドは齋藤学選手、三笘選手と個で打開できる強烈な選手がそろっているため、長澤さんを先発させて守備面での強度を重視するかなと思ったんですが、恐らくカウンター時の起点を置いておきたいという意図で柏木さんが右のSHで先発。2トップは前節2得点と結果を出した杉本さんが連続起用となりました。

対する川崎は最終ライン左から登里享平選手、谷口彰悟選手、ジェジエウ選手、山根視来選手。守田英正選手をアンカーに、大島僚太選手、脇坂泰斗選手が中盤の逆三角形。左SHに齋藤学選手、右に家長昭博選手、1トップに小林悠選手を配置した 4-1-2-3 のフォーメーション。GKはチョン・ソンリョン選手。

川崎は今さら言うこともないですが左サイドを中心としたドリブラーによるサイドアタックに加え、家長選手(SH)が溜めての山根選手(SB)がイン・アウトから追い越すようなサイドからの崩しの形はもちろん、サイドのスペースを消されれば中央の狭いところでも緩急を付けたワンタッチでのパス交換でラインブレイクできるデザインされた攻撃を有していてその完成度はJリーグでも頭ひとつ抜けている感じ。さらに最前線には小林悠選手、レアンドロ・ダミアン選手といった高さもあるっていう、全方位に攻撃力を持った凶悪なチーム。

もうどうやって守れっていうんじゃってくらい対戦した各チームがことごとく複数失点喰らって撃沈しているわけですが(1試合平均「3.8」ゴールって......)、90分を通してある程度ボールを保持されるのは仕方ないにしても、もたれっぱなしにならず、要所要所でカウンター当てられるかがポイントとなることは戦前からの予想。とにかく早めに失点せず、耐えしのげば得点のチャンスはあると信じてのキックオフでしたが......

前半は守備の約束事がはっきり出せて悪くない流れ。しかし相手のゴラッソで先に失点

前半に関して言えば、ウチはかなり狙い通りの形を出せていました。川崎のSBに対しては基本的に対面のSHがしっかりプレスバックして付いていく(もちろん状況に応じて受け渡しはしていましたが)、CBとボランチ間も距離感を保ってスペースを消し、中央エリアへの縦パスに関してはボランチと2トップ(のうち杉本さん)が素早くボールホルダーにアプローチすることでパスコースを規制するという形で、4-4-2 での守備ブロックがセットできた状況においては川崎に簡単には危険なスペースに侵入させない守り方ができていました。

前線からのプレスは連動性を伴わないと川崎を相手には簡単に外されるため、無理に高い位置からはプレスに行かず、ブロックをセットすることを優先。ボール奪取位置に関してはどうしても自陣深い位置寄りにはなりますが、最終ライン、もしくは西川さんまで戻したところで川崎の前線プレスを引き込んでおいての、インサイドに絞って川崎、アンカーの守田選手の両脇のスペースにポジションをとった関根さん、柏木さんがパスを引き出す形で最前線への中継ポイントとして機能。そこからレオナルドさんを狙っての縦に速い攻撃、もしくは前線で杉本さんあたりが収めて溜めが作れれば、山中さんがいいタイミングでオーバーラップしてサイドからのクロスを狙うなど、攻撃面でも狙いは見えました。

特にボール奪取の瞬間、川崎、アンカーの左右、あるいはCBとSBの間のスペースというのは明確に狙っている感はあり、リアクションではありますが、奪って縦に速くという意図はチームとして共有されていたと思います(まぁアンカー横のスペースは大島選手が落ちることで早めにケアされちゃってはいたんですけども)。

ウチの決定機としては前半立ち上がり早々の3分過ぎ、右サイドで柴戸さんのキープから中央の杉本さんが中央で受けて溜めを作ったところを左サイドいいタイミングでオーバーラップした山中さんが縦にペナルティエリアの角を獲ったところから中央に速いクロス→中央で関根さんがフィニッシュ(惜しくも川崎、谷口選手にクリアされますが)未遂というシーンが最大のビッグチャンス。14分過ぎにもインサイドでボールを引き出した関根さんからのスルーパスに裏に抜けたレオナルドさんがシュートまで持っていったシーンがありましたが、得点までには至らず。

しかしうまく守れていたところを攻守転換の一瞬の遅れを突かれて失点します。37分、西川さんからのフィードが相手最終ラインにはじき返されたところで、セカンドボールを回収した大島選手に対して柏木さん、エヴェルトンさんが寄せに行きますがうまく外されてドリブルで前線へと運ばれ、ボールは一旦、左サイドの齋藤学選手へ。デンさんとの距離感的に仕掛けるのを諦めた齋藤選手から大島選手にボールが戻ったところで、帰陣が遅れていた関根さんが空けたスペースで脇坂選手がフリー。

バイタルエリアに起点を作られると、ボールは右サイドでペナルティエリア内にポジションを獲った家長選手へ。家長選手は、ウチのディフェンスを引きつけつつインナーラップしてきた山根選手へフワッと浮き球のお洒落パス。これを山根選手がダイレクトボレーで右足一閃。放たれた強烈な弾丸シュートはさすがの西川さんもノーチャンスのゴラッソ。そこそこうまく守れていたと思ってたらあっさりそれをぶち破られる川崎さんのクオリティ...... 脱帽です。

バイタルエリアで脇坂選手に起点作られたところで槙野さんはそこへの対応で引っ張り出されていて、家長選手には戻りながら対応、岩波さんは家長選手からのパスを受けられるニアサイドにそのまま走り込んでいた脇坂選手と、ペナルティエリア中央にポジションを獲った小林悠選手の2人に対応しなければならない状況に対してプレスバックしてきた柴戸さんがそこをサポートしようと頑張って最終ラインまでカバーに入ったんですけども、結果的にはそれで空けたバイタルエリアに山根選手が入ってきてフィニッシュされるっていう。

これはたまたまではなく、川崎は家長選手がサイドで起点を作ったときにSBがインナーラップしてスペースを獲りに来るみたいなのがきちんとデザインされているため、再現性のある形なんですよね。それに対して付け焼き刃のディフェンスではなかなか守り切れるものではないと。

致命的だった後半立ち上がりの失点、終盤は交代策も実らず川崎にボールをまわされ続けて完敗

失点としては後半立ち上がりの50分に喰らった2失点目が致命的でした。(川崎の)右サイド、ペナルティエリア角でボールを持った家長選手からファーサイド、ペナルティエリア内に侵入したSB、登里選手への柔らかいクロス。これはしっかりマークについていった柴戸さんがはじき返しますが、セカンドボールをペナルティエリア内で齋藤選手に再奪取されると、ここへの寄せが甘くなったところでフリーでクロスを上げられると、ファーサイド、ポスト際にポジションを獲った小林悠選手に頭で合わせられて失点。

齋藤選手に対応したのはデンさんでしたが、再三にわたって仕掛けられた印象からか(それにベンチからも不用意に飛び込むなって指示されてる声が中継に入っていましたしね)飛び込むのを自重して距離をとったところでフリーでクロスを上げさせてしまった形。ペナルティエリア内ですし、ヘタに突っかけて倒したりすると即PKですし、あの対応はある程度仕方なかったかとは思いますが、ちょっと簡単に上げさせすぎたなというのは正直なところ。

失点直後の53分、関根さん→マルティノスさん、杉本さん→興梠さんとしてマルティノスさんを左SH、2トップを興梠さん、レオナルドさんの組み合わせに、さらに72分には守備対応に追われて攻撃面での起点になれなくなっていた柏木さんを武藤さんに、さらにエヴェルトンさん→長澤さんとして長澤さんをボランチに、武藤さんを左SHに配置すると、マルティノスさんを右に移動。中盤のディフェンスを強化しつつ両サイドに個で打開できる駒を投入しますが川崎にボール保持される状況ではなかなかいい形が作れず。

82分には齋藤学選手とマッチアップし続けて足が攣ったデンさんが続行不可能で岩武さんに交代。しかし川崎のゲーム支配は変わらず、パスを回され動かされ続けた疲労から前に出て行くパワーも徐々に減衰。1点でも返して意地を見せるどころか、後半アディショナルタイムの92分には、川崎のカウンターから家長選手→宮代選手のフィニッシュがポストに当たったところをレアンドロ・ダミアン選手に押し込まれる形で無慈悲にトドメを刺されると結局3失点、無得点の完敗。やっぱり川崎は強かったですねという結果になってしまいました。

前半戦を終えての雑感

さて、これでリーグ戦はちょうど日程の半分を消化しました。前半戦の戦績としては8勝6敗3分の勝点「27」。勝利した対戦相手としては下記の通り。

  • 湘南
  • 仙台
  • 鹿島
  • 横浜FC
  • 広島
  • ガンバ大阪
  • 大分
  • 札幌

第14節セレッソ戦のレビューで文末にも同じようなこと書いたんですが、勝利してる8戦の相手って、順位的には鹿島以外全部現在の順位でウチより下位のチームなんですよね。

逆に負けた6敗の相手は下記の通りですが、神戸以外は全部上位のチームです。

  • FC東京
  • 名古屋
  • 神戸
  • セレッソ大阪
  • 川崎

上位との対決ではほぼ負けて、下位から勝点とってる状況で、ちょうど真ん中にあたる「8位」(暫定)ですから、まぁなんて言うか、ある意味分かりやすいと言いますか、後半戦に関しては前半戦同様下位との対戦でしっかり勝つのはもちろん、やはり上位との対戦で勝点3を奪えるようにならないと、順位的には今いる辺りが定位置になってしまいそうです。

一応今年の目標としてはACL圏内(3位以内)らしいので、昨シーズン3位の鹿島が勝点「63」だったことを考えると前半戦での勝点「27」は十分その可能性を残した勝点といえますので、その辺は評価すべきだと思いますが、一方で得点「24」に対して失点「31」の得失点差「-7」という部分に関しては大きな課題として後半戦での改善が望まれます。

特に(自分たちでボールを保持して主導権を握るという理想は途中でどっか行きましたけどもそれは置いておいて)現状のリアクションサッカーをやっておきながらリーグワースト6位の失点数というのは例えるならボクシングでカウンター狙ってるけどクリーンヒット喰らってダウンしている回数が多いみたいなことなので本末転倒。サッカーにおいて攻守はそれぞれ別々に語れるものではないですが、良い攻撃のためにも良い守備が必要ですので、まずは守備面での改善が後半戦でどの程度進められるのか、その辺は注目したいポイントです。

ということで次節は水曜日の清水戦。連敗を避けるためにも、後半戦最初の試合でアウェーとはいえきっちり勝ちたいところです。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 6,357人(入場 7,000人以下の制限付きマッチ)
天候: 晴 / 気温 22.4℃ / 湿度 65%
試合結果: 浦和 0-3 川崎(前半0-1)
レッズ得点者: -
警告・退場: 柴戸(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 佐藤 隆治 氏
順位: 8位(8勝6敗3分/勝点27/得失点差-7)

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