2019 JリーグYBCルヴァンカップ プライムステージ 準々決勝 第1戦 埼玉スタジアム2002 鹿島アントラーズ戦
リーグ戦の方は代表戦ウィークということで一時中断。この間にYBCルヴァンカップの準々決勝が2試合続きます。まずはミッドウィーク、水曜日にホーム埼スタでの第1戦。続く週末の日曜日に第2戦。この2試合のトータルをもって準決勝進出チームが決まります。
ACLに出場している各クラブは、ルヴァンカップのグループステージ、およびプレーオフステージは免除。ベスト8となるプライムステージ、準々決勝からの出場となります。対戦カードは7月28日に行われたオープンドローにて決定しましたが、我々の準々決勝の対戦相手は鹿島アントラーズに決定。勝ち抜けると準決勝は川崎×名古屋の勝者との対戦。
ちなみにルヴァンカップのトピックとして、この準々決勝第1戦から、Jリーグでの本格導入を見越したVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の導入実験が行われています。VARのお世話になるシーンがあるかはわかりませんが、これがどういう変化をもたらすのかには注目。
リーグ戦での現状を考えれば、ルヴァンカップは疲労の溜まっている主力を休ませつつ、普段出場機会があまりもらえていない選手を試し、あわよくば主力組との組み合わせを見てみたりと再開後のリーグ戦につながる調整の場として使いたいというのが本音でしょうが、相手が鹿島ということもあって勝ちにこだわりたいという心情も捨てきれない...... 大槻さんがどういうスタンスでこの試合にのぞむのかちょっと注目していましたが、スタメン的にはリーグ戦からかなり入れ替えての第1戦となりました。
今日のスタメンは最終ラインにマウリシオ、鈴木、槙野。ディフェンシブハーフに阿部、柴戸。ウィングバック、右にウガ、左に関根。インサイドハーフに武藤、汰木。ファブリシオのワントップ。GKは西川。
3バックは当初マウリシオさんが真ん中かなと思ったんですが、鈴木さんが真ん中でマウリシオさんは3バックの右という配置。ウガと関根の左右は本来は逆だと思いますが、よくやる配置ですね。汰木さん、武藤さん、ファブリシオさんの前線トライアングルがどのように機能するのかについても少し注目。ベンチには興梠さん、長澤さん、杉本さんなども控え、状況に応じて投入も考えられますが、まぁできれば特に興梠さんあたりはお休みさせてあげられるとベストかなと。
対する鹿島は 4-4-2 のフォーメーション。前線2トップに伊藤翔選手と土居選手。右のサイドハーフが昨年の特別指定選手から今シーズン新加入した名古選手、左が白崎選手。ダブルボランチにレオ・シルバ選手と永木選手。CBはチョン・スンヒョン選手、ブエノ選手という外国籍選手コンビ。
相手はオーソドックスな4バックということで、ウチとしては中央で作っておいてのサイド、もしくは一方のサイドに寄せておいてのサイドチェンジがうまく使えれば、フリーのサイドからフィニッシュへとつなげる道筋が見えます。3バックの右にロングフィードもある程度正確に蹴れるマウリシオさんを配置した点や、縦に積極的に楔を付けるメンタルを持った鈴木さんをリベロに配置したのはこの辺を見越してのことかと思いますが、前半に関しては攻守にわたって完全に鹿島に流れを持っていかれました。
守備面では前線から積極的にプレスに打って出たものの、これは以前から何度も指摘しているとおり組織として連動したプレスというよりは各自が単独で仕掛けに行くプレス。結果として前が出ていくもののパスコースを限定できていないので簡単にプレスを裏っ返えされて中盤で起点を作られると、相手サイドバックとサイドハーフに高い位置をとられてサイドで数的優位を作られブレイクされるシーンが何度かありました。この辺は鹿島のいつものやり方で、サイドバックがワイドに張ったときにその内側にサイドハーフが入ってきて数的優位を作ろうとするので、ウガ、関根さんのところにどこから誰がサポートに行くのかがはっきりしないとウチのウィングバックが2対1を強いられて押し込まれることになります。
また攻撃面でもこの日の前線トライアングルは鹿島のディフェンスラインに対して裏への駆け引きをほとんどせず、全員が足元でもらいに落ちてきちゃって互いの連動もなしという状況だったので、鹿島の最終ラインは終始前向きに守備ができていて、ゴールを向いて守備を強いられるシーンがほとんどなく、これだと対応しやすいだろうなという展開。
左右に動かしておいて中央に楔という形で何度か柴戸さんや武藤さんがよいボールの受け方をしていましたが、鹿島最終ラインは動かされていないので待ち構えて潰せばオッケーという状況。アウェーで無理に先手を打つ必要がない鹿島にどちらかというと持たされてる感が強く、最終ラインではボールを保持できるもののアタッキングサードでは効果的なボールの持ち方をさせてもらえなかった印象が強いです。
それでも最初の失点をするまでは 5-4-1 ブロックをコンパクトに保って鹿島の侵入を何とか防ぎ、こちらも攻撃面では前述の通りなかなか効果的に危険なエリアに侵入することはできなかったため、お互いにチャンスの少ない低調なゲームにはなりつつも慎重な試合運びはできていたと思ったのですが、35分に永木選手が蹴ったフリーキックをファーサイドでどフリーになっていたブエノ選手に頭で合わせられて失点すると、これで前に出て行かなければならなくなったウチはバランスを崩し、38分にはマウリシオさんが潰しに出ていったところをレオ・シルバ選手に外されてタメを作られたところからファーサイドへのクロスに土居選手の頭。43分には右サイドをワンタッチのパス交換でガッツリ崩されると、裏に抜けた小池選手からのマイナスの戻し→土居選手に合わせられたのは何とかシュートブロックするものの、セカンドボールを名古選手に詰められて失点。最初の失点からわずか8分間に立て続けに3ゴールを叩き込まれてどん底へ。
後半は3点を追う展開になってしまいましたが、先に動いたのは浦和ベンチ。52分にウガ→興梠さんとして、興梠さんをワントップ。ファブリシオさんをインサイドハーフに下げると同時に汰木さんを左のウィングバックに移動。これに伴い関根さんを右に移動させます。交代で入った興梠さんはさすがにどういう動きが今必要かがわかっていらっしゃる。積極的に相手最終ラインの裏に仕掛けて相手ディフェンスを縦に引っ張ると、これで生じた中盤のスペースをうまく使うことでウチに流れを引き寄せます。相手ディフェンスのコンパクトネスを破壊したことでウチのセカンドボール回収も活発になり、一気に押し込んだ状況で58分にはマウリシオさんからの縦パスを受けて反転しつつ半ば強引にぶちかました武藤さんのシュートを鹿島GK、クォン・スンテ選手が弾いたところに興梠さんが詰めて1点。
さらに60分のコーキック、キッカーは武藤さん。これを鈴木さんががヘディングシュートぶちかましますが相手に阻まれてゴールとはならず。しかしこのこぼれ球が浮いたところを混戦の中、槙野さんが頭で押し込んでこれで1点差。後半立ち上がりから怒濤の攻撃で一気に2点を返し、一時は終わった感が出てしまっていたスタジアムの空気を一変、追いつけるんじゃねーかという空気に。
鹿島がしたたかに時計の針を進めてくる中、86分には武藤さん→杉本さん、さらに汰木さん→荻原さんとしてサイドと最前線をリフレッシュ。荻原さんが左サイドでガンガン仕掛けまくってボールを運ぶと、何度か惜しいシーンを作りますが得点には至らず...... 結局ホームでの第1戦は鹿島の1点リードで終了となりました。
興梠さんの投入後、一気に流れが変わったことをみるに、やはり今のウチのサッカーは属人性が高く、チーム全体というより個々人の能力でなんとかしている状況。後半の異常なハイペースも、あんなの毎試合90分できるわけもなく再現性に乏しい。スコア以上に色々と心配になる内容の試合ではありましたが、3点のビハインドから1点差まで鹿島を追い詰めたことは素直に評価したいと思います。
さて、ルヴァンカップのレギュレーション上、プライムステージの勝利チームは下記の優先順位で確定するため、
- 2試合の勝利数
- 2試合の得失点差
- 2試合におけるアウェイゴール数
ウチが勝ち抜く第2戦の条件としては、
- 2点差以上勝利(例えば 0-2 とか 1-3 とか)
- 1点差勝利の場合は4得点以上(例えば 3-4 とか)
上記なら文句なしに勝ち抜け。
1点差でアウェーゴール数が3になる勝利、要するに 2-3 でウチの勝利みたいになると、延長戦(前後半各15分)突入→PK戦という感じですね。
ということで、まず確実に獲らないといけない得点数としては「2」得点以上。リーグ戦、25節で24得点(1試合平均得点 0.96点)しかしていないウチにとって、2得点以上が必須(しかも無失点の場合で)というのはかなりハードルが高いですが、最終的な結果はどうあれ、次につながる内容の試合をしてもらいたいなと思います。
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試合データ
観客: 21,148人
天候: 晴
試合結果: 浦和 2-3 鹿島(前半0-3)
レッズ得点者: 興梠(58分)、槙野(60分)
警告・退場: 関根(警告×1/異議)
主審: 木村 博之 氏
試合ハイライト
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