AFCチャンピオンズリーグ2019 ノックアウトステージ 準々決勝 第1戦 上海体育場 アウェー 上海上港戦
先週の金曜日に行われたリーグ戦、松本山雅との対戦ではリードしておきながら逆転されるなど、国内、リーグ戦の方はここのところ勝ちがなく厳しい状況ですが、週が明けたミッドウィークの火曜日はACLの準々決勝。アウェーの地に乗り込んでのまずは第1戦、対戦相手は中国の強豪、上海上港です。
写真は「日テレ」中継映像から引用
テレビ観戦、さらに2戦合計で結果がでる準々決勝の第1戦が終わったのみということでレビューも簡単にまとめます。
さて今日のスタメンは、最終ラインに岩波、マウリシオ、槙野。ディフェンシブハーフに青木、エヴェルトン。両ウィングバック、左に関根、右に橋岡。長澤、ファブリシオのインサイドハーフに興梠ワントップ。GKは西川。
システム的には 3-4-2-1。松本山雅戦をお休みしたマウリシオさん、岩波さん、エヴェルトンさん、青木さんらが先発となりました。
アウェーでの第1戦ということで、まずは負けないことが重要。その上でアウェーゴールの1つでも獲って戻って来られれば上等ってところで、試合的には慎重な入りでしたが、上海上港のシステム、人の配置や特性的にウチにとってはやりやすい入りをしてくれたこともあって前半はほぼ完璧、後半に上海上港がシステムを変更してテンポを上げたところで押し込まれて失点→後半は耐える展開という流れで、前後半で評価の分かれる内容にはなりましたが、結果的には及第点といったところでしょうか。
上海上港のシステムは 3-3-2-2。中国の強豪チームでは典型的な、前線に強力な外国人選手を並べ、後ろは中国代表クラスで守るっていうわかりやすいチーム。2トップにイングランド、ストーク・シティ→ウェストハム・ユナイテッドを経て今年夏に加入した長身FW、マルコ・アルナウトビッチ選手、そしてフッキ選手を並べ、インサイドハーフにオスカル選手、アンカーにオディル・アフメドフ選手を配置。単純明快、前線の2枚が点取り屋さんで、そこにどういう風にボールを入れるのかってところから逆算してビルドアップをしてくるチーム。逆にいえばウチとしてはいかにこの前線の2枚と、後方からサポートしてくるオスカル選手にフリーでボールを入れさせず孤立させて仕事をさせないか、そこが重要な立ち上がり。
で、とにかく前半のウチは相手サイドに深い位置で起点を作らせないように外に追い出してサイドで詰まらせる守備をしつつ、ポジティブトランジション時には相手前線が積極的には守備に参加しないところを突いて中盤で数的優位を作り、そこを起点に相手最終ラインの裏狙いというやり方でペースを握ります。
ウチの最終ラインは裏に駆け引きされて後ろ向きに守備をさせられると脆いですが、逆に前に相手を置いて守備をさせたらJリーグでもトップクラスの対人能力を持つメンツ。上海上港の2トップが裏への仕掛けより足元で受けてからのフィジカルを活かした突破が持ち味ということもあって、守備対応としてはウチの強みが出しやすい相手。結果として前半に関してはほぼ完璧な守備が展開できたかと思います(とはいっても相手前線の個の力はハンパないので1対1で少しでも遅れるとやられる怖さはあります。そこはうまく複数人で囲んで奪ってというのができていました)。
また、試合展開としては前半早々にセットプレーから先制点が奪えたことが大きかった。開始早々の3分、セットプレーのキッカーは長澤さんでしたが、ボールは槙野さんと相手GKが競るような形に。相手GKがキャッチしたかに見えたボールでしたがラッキーなことにファンブル。そこに競っていた槙野さんがすかさず触って押し込む形で先制。早い時間帯にアウェーゴールを奪えたことで心理的には有利に試合をコントロールできる状況に。
さらに30分には長澤さんからの絶妙なロングフィードに相手ディフェンスラインの裏をとった興梠さんが相手GKの股を抜く技ありゴールで追加点。前半のうちに2点リードという文句なしの流れに。惜しむらくは何回かあったチャンスで3点目を奪い切れていれば...... というところですが、前半に関してはほぼ完璧という展開で試合は後半へ折り返し。
ただ相手もさすがの上海上港。ハーフタイムに3バックのセンターに入っていたフー・フアン選手をFW、リュ・ウェンジュン選手と交代させると、システムを 4-3-3 に変更。さらにオスカル選手が中盤の深い位置まで下がってボールを引き出しつつ、前半はうまく孤立させていた前線2トップにいい形でボールを運ぶリンクマンとして機能しはじめます。
外から斜めに中央入ってくるようになっちった。インサイドハーフをボランチ横にしっかりプレスバックさせるとか修正しないとやられる
— Yoshiki Kato (@burnworks) August 27, 2019
これ先週、松本山雅にやられたのと同じ対策なんですが、中盤の人数を増やしてウチのディフェンシブハーフ両脇を使うやり方。サイドバックがウチのインサイドハーフとディフェンシブハーフをサイドに引っ張っておいて、薄くなった青木さんの両脇を起点に最終ラインの裏を狙ってくる形で一気にギアを上げた上海上港に対し、完全に受けに回ってしまったウチは後半開始早々の49分にPK献上。
きっかけは自陣右サイドの深いところでボール奪取した興梠さんが前線にパスを通そうとしたところでミスしてボールロスト。オスカル選手にドリブルを許し、ペナルティエリア内に侵入されたところで最初に寄せた興梠さんとエヴェルトンさんがペナルティエリア内なのを気にしてか寄せが中途半端になったところでかわされると、後ろからカバーしたマウリシオさんがアタックに行くも少し遅れたことでオスカル選手を引っかける形に。これがPK判定となって1点を失います。
その後も相手に持っていかれた流れを押し返せず、流れの中からポスト直撃のシュートを喰らうなどやばいシーンを作られますが、そこをなんとか耐えしのいだかと思った71分、ハーフタイムに途中交代で入ったリュ・ウェンジュン選手がペナルティエリア中央で放ったシュートがシュートブロックに入ったマウリシオさんの手に当たったところでハンド→PKの判定。この日2つ目のPKもフッキ選手に決められるとこれで試合は 2-2(ちなみにマウリシオさん、PKはまぁ仕方ないとはいえその後の異議でイエローカード→第2戦出場停止っていうのは残念でした。もうちょっと冷静に......)。
もったいない形で2点を失い、スコア的には振り出しに戻りましたが、とはいえ、ウチとしてはアウェーで 2-2 のドローであれば十分な結果。
この失点直後の72分、エヴェルトンさん→柴戸さんとして青木さんをアンカーに、その前面に柴戸さんと長澤さんと並べる 3-5-2 にシステムを変更。これも松本山雅戦でやった対策ですね。これで中盤の人数を増やすと、さらに守備時にはファブリシオさんを1トップに残す形で興梠さんをしっかりプレスバックさせることで対応。上海上港の猛攻を何とか抑えて一方的になりかけていた試合のペースを少し取り戻します。欲をいえばこの交代をもう少し早くできればというのはありましたが。
試合が落ち着いたところで残り時間的にはもう守り切りを考える時間帯。88分にはファブリシオさん→阿部ちゃんとして守備の人数を増やすと、アディショナルタイムには興梠さん→武藤さんで時間稼ぎ、かつ前線の運動量を上げて、あとは試合を終わらせるだけ。何とか失点を2にとどめ、2-2 で第1戦は終了。相変わらず上海では勝てないですよねというジンクスは置いておいて、とにかくドローでアウェーゴールを2つ持ち帰るという、ホームでの第2戦につなげるには十分な結果を残してくれました。
ということで、あとはホームを真っ赤に染めて、第2戦で勝てばいいっていうわかりやすい状況に(1-1 までの引き分けでももちろん突破ですが)。ホームでの第2戦は9月17日ですので少し間が空きます。その前にリーグ戦で湘南(アウェー)戦、セレッソ(ホーム)戦があるのと、ルヴァンカップで鹿島との2連戦もあるんですよね。一旦はそちらに集中という形ですが、今日の2得点がリーグ戦にプラスに働いてくれればいいんですけども。
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試合データ
観客: 24,573人
天候: 晴
試合結果: 上海上港 2-2 浦和(前半0-2)
レッズ得点者: 槙野(3分)、興梠(30分)
警告・退場: マウリシオ(警告×1/第2戦出場停止)
主審: モハンメド・アブドゥラ・ハッサン 氏
試合ハイライト
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