2019 Jリーグ 第20節 エコパスタジアム アウェー ジュビロ磐田戦
前節、アウェーでのマリノス戦はジャッジにまつわるゴタゴタなども色々とありつつも結果的には3失点で敗戦。オリヴェイラさん体制下で対戦したホームゲームの借りを返すこともできずダブルを喰らう形になってしまいましたが、それでも押し込まれて守勢に回った前半から後半はきちんと修正し、マリノスを追い詰めた時間帯もあり、ほぼ何もできず完敗だったホームゲームと比べれば、チームとして少しずつ前に進んで行っていることを感じさせる部分もありました。
とはいえ 19節(1試合未消化)を終えていまだ勝点的には「24」と1試合当たりの勝点も「1.3」程度、得失点差でも「-9」と失点が先行した状態。この状態で迎える第20節は、アウェーでジュビロ磐田との対戦。磐田さんは現状で降格圏の16位に沈み、名波監督も辞任して新体制になったばかり。しかし16位、磐田の19節終了時点での勝点は「17」、実はウチと「7」、たった2勝1分けに相当する勝点しか離れていません(一応ウチが1試合未消化というのはあれど)。
さらに最下位の鳥栖も勝点的には磐田と同じ「17」・・・ 数勝で簡単に降格圏に飲み込まれる状況で、ウチとしては下位を相手に勝点を落とすのは絶対に避けたい状況。アウェーとはいえ、勝点3ゲットが必須となる対戦となりました。
余談ですけども日帰りエコパのナイトゲームが年々辛くなるお年頃でして・・・ いつもエコパは車で行くんですが、試合終わって10時前にエコパ出て、高速に乗るまでの渋滞なんかをくぐり抜けつつ家帰ったらもう日付け変わって夜中の2時とか。途中休憩を入れつつですが静岡は遠いっすね。ということで日が明けてやっとレビュー書いてます。
さて、今日のスタメンは最終ラインに岩波、マウリシオ、槙野。中盤は青木、柴戸、両サイド、ウィングバックの左に関根、右に橋岡を配置。長澤、武藤をインサイドハーフ、興梠の1トップという並び。GKは西川。
ドイツから復帰の関根さんがいきなりのスタメン起用で累積警告によってウガが抜けた左サイドに抜擢。前節は負傷で離脱していた武藤さんがインサイドハーフに復活。長澤さんとコンビを組みます。ディフェンシブハーフは青木さんと柴戸さんコンビという中盤の構成。システム的にはいつも通り、3-4-2-1 を採用し、守備時に 5-4-1 ブロックを作るやり方も同じ。
対する磐田は大久保選手、中山 仁斗選手を最前線に、2列目に森谷選手、上原選手、アンカーの位置に田口選手を置いた 3-5-2(3-3-2-2)。
前半立ち上がり早々は2トップ+インサイドハーフ1枚の計3枚でウチの3バックに合わせる形でプレスをハメに来ましたが、そこはウチも慣れているところ。すぐさま青木さんが最終ラインに落ちてビルドアップ時は疑似的に4バックを形成すると、最終ラインでは数的有利を作りつつ、両ウィングバックが高い位置をとって相手最終ラインを押し込むと同時に、ウチのインサイドハーフが相手アンカー脇に落ちてくることでプレスをハメに出てきた相手インサイドハーフが空けたアンカー(田口選手の)脇のスペースを、大外→ハーフスペースという形で攻略して相手最終ライン前面に起点を作り、そこから裏への仕掛けによって一気にラインブレイクするという崩しを発動。開始早々からチャンスを作って相手ゴールを脅かします。
特に復活した武藤さん、興梠さんが積極的に相手最終ラインに駆け引きすることで相手最終ラインのラインコントロールをけん制して中盤のコンパクトさを保てないようにしておいてからのその前面で起点を作るので、磐田最終ラインとしてはアンカー脇に入ってくる楔に対して潰しに行きたいけれど距離があって行けない、行っても遅れるので潰しきれずに外されるという形になっていて、それがウチの攻撃が比較的スムーズに見えた要因かと思います。
前半立ち上がりに磐田の守備の意図をうまく外したことで、10分過ぎくらいからはインサイドハーフが前プレに出て行けなくなった磐田は、2トップがウチの最終ラインに対してプレスはかけるものの、ウチは青木さんが本来の位置に戻って3バックにしても相手2トップに対して数的優位な状況。
これで相手2トップは孤立。今度は青木さんが2トップの中間ポジションでうまく最終ラインからの縦パスを引き出してはそこからサイドに散らしたり、そのまま縦に裏を狙ったりと狙い通りの展開ができており、前半に関していえば磐田の1列目、2列目の守備が整理されていない状況をうまく利用して、ほぼ完璧な試合展開に持って行けました。また、攻守転換に関しても選手の距離感が非常にコンパクトに保てたことでネガティブトランジション時にも素早くボールにアタックして再奪取するという守備が徹底できており、その点も素晴らしかった。
前半の得点は3点。10分の興梠さんの先制ゴールを皮切りに、ほぼ10分間隔で得点して前半のうちにほぼ試合を決めてしまいました。この日は気温こそそれ程高くなかったものの、湿度は非常に高く、観戦している我々としても蒸し蒸しする感じのなんか不快なコンディション。ピッチ上の選手達も90分運動量を保つのが難しそうな状況で、前半のうちに複数得点を決められたことは、後半を楽にするという意味でも大きかったですね。
先制点は10分。橋岡さんが右サイドを持ち上がると、長澤さんがハーフスペースで前を向いてボールを受けます。この瞬間、2列目から完璧なタイミングで裏にスプリントして抜けてきた興梠さんに長澤さんからのスルーパス。一発で相手ディフェンスラインを置き去りにした興梠さんが、これを冷静に右足で流し込んだシュートは、相手GK、カミンスキー選手の股下を抜く技ありゴール。
さらに22分、今度は中央、バイタルエリアでボールを受けた興梠さん、一旦はダイレクトでミドルシュートを放とうとしますがこれは空振り。しかし左サイドをオーバーラップしていた関根さんに素早くパスを通すと、この瞬間中央、ニアサイドに猛然と武藤さんがディフェンスを引っ張って突っ込んできます。これに対して冷静に逆サイドから入ってくる橋岡さんを確認した(多分見えてたと思う)関根さんは、グラウンダーのクロスを丁寧に走り込んでくる橋岡さんの足元へ供給。これを橋岡さんがゴールに叩き込んで追加点。関根さんのクロス、ゴールを決めた橋岡さんももちろん素晴らしかったですが、ゴール前で相手ディフェンスを引っ張りつつ潰れ役になった武藤さんのプレーも素晴らしいものでした。
さらに32分、セカンドボールの回収から左、ハーフスペースで関根さんの縦への仕掛け→1列内側で併走してきた武藤さんが受ける→これは相手ディフェンスと競ったこともあってこぼれますが、ここにさらに内側、ピッチ中央を併走していた長澤さんが突っ込んでくると、相手ディフェンスと交錯して倒れながらも残った足で最後なんとか触って押し込むっていう、泥臭いながらも気合いのゴールで3点目。十分なセーフティリードを築いて後半に折り返します。
逆に3点を追わないといけなくなってしまった磐田は、当然の如くアダイウトン選手を投入して勝負に来ます。磐田はアダイウトン選手を的に前線に積極的にボールを供給することで多少オープンな状況になっても上等っていうスイッチの入れ方。アダイウトン選手が左右に流れながらボールを受けることでウチの両ウィングバックは守備対応で下がるしかなく、しかもアダイウトン選手は身体も強いしキープ力もあるので前線で彼に起点と時間を作られるとその間に磐田の中盤が高い位置に押し上げることでぶ厚い攻撃を喰らうことになり、今度はウチの中盤、青木さんと柴戸さんのところに負荷がかかって押し込まれる厳しい流れ。しかしこれに対して何とか青木さん、柴戸さんが中盤で潰して耐えつつ(間接的にはこれが柴戸さんの退場につながったわけですけども・・・)ウチも虎視眈々と追加点を狙う中、57分に決定機。
最前線、興梠さんへの楔→ 一旦柴戸さんに落として裏へのスルー →武藤さんが絶妙な抜け出しで相手GKと1対1の状況を作ります。武藤さんはカミンスキー選手をドリブルで外しに行きますが、これに対してカミンスキー選手はたまらず武藤さんを倒してPKゲット・・・ と思ったらまさかのノーファール判定。
試合後にリプレイをみたところ、カミンスキー選手の腕は明らかに武藤さんの足に接触しているため、PKが妥当だったかと思います。あとは武藤さんがボールをコントロールできた可能性から、「得点の機会阻止」に当たるかどうか、またその接触が「ボールにプレーしようとした結果か」どうかという2点が論点になるかと思いますが、武藤さんは十分ボールをコントロールできたと思われるかわし方をしており、磐田のディフェンス選手もカバーは間に合っていませんから、「得点の機会阻止」は間違いなかったかと。接触が「ボールにプレーしようとした結果かどうか」は観る人によって受け止め方が変わるかとは思いますが、まぁ大目に見てそうだったとして「PK+警告」が妥当なシーンだったかと思います。
PKが必ず成功するわけではないのであれですが、本来なら4点目が入る可能性が高かった状況でしっかりジャッジしてもらえなかった点は残念。しかもこの時間帯からウチの中盤の運動量が落ちたことで、完全に磐田にペースを持っていかれて耐える展開になってしまったため、前半と後半で全く印象が異なる試合になりました。
69分、コーナーキックのこぼれ球を相手右サイドで再度キープされると、そこからマイナスの戻しを上原選手に豪快なミドルシュートで叩き込まれて失点。運悪く岩波さんが直前の接触プレーでピッチ外に出ていて1枚少なかったこと、マイナスに戻された際に、上原選手対する寄せが遅れたことでフリーで打たれてしまったのが悔やまれるところですが、シュート自体はアウトサイドにかけた素晴らしいものでしたし、ゴール前の混戦でほとんどないシュートコースを打ち抜いた上原選手を褒めた方がいいような失点ではありましたが、前半から飛ばし気味に試合に入って、前述の通り湿度80%越の厳しいコンディションの中、運動量が保てない中で磐田に流れを引き戻された挙げ句の失点だったので、少し嫌な予感をさせる失点。とはいえ十分なセーフティリードを前半のうちに築いたおかげでそこまで焦るような状況ではなし。
ウチの選手交代は失点前の64分に武藤さん→柏木さんとして柏木さんをインサイドハーフに(柏木さんお帰りなさい)。終盤、82分に興梠さん→ファブリシオさんとしてファブリシオさんをワントップにしたところで85分に柴戸さんがこの日2枚目のイエローカードをもらってまさかの退場。ひとり少ない状況に。
これを受けて87分に長澤さん→阿部ちゃんとすると、中盤を阿部ちゃん、青木さん、柏木さんの3枚にして、ファブリシオさんを前に1枚だけ残した 5-3-1 でラインを作って残り時間はしのぐ作戦に切り替えます。結果、前半に築いたリードが役立ち、磐田の猛攻を何とかしのいで 3得点、1失点で勝利。アウェーで勝点3をゲットしてくれました。1点を争うようなゲームだったらちょっとヤバかったかもしれません。
ということで、これでリーグ戦は少し休憩。月末の水曜日にホームで鹿島戦っていうキツイ対戦が待ってますが、そこまでは少しリフレッシュの時間が与えられます。8月に入るとACL、天皇杯なども絡んで地獄の連戦がやってきますので、7月最後の鹿島戦はそのスタートとしてもかなり重要な試合。しっかりコンディションを整えて、鹿島戦に備えてもらいたいものです。
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試合データ
観客: 23,060人
天候: 曇
試合結果: 磐田 1-3 浦和(前半0-3)
レッズ得点者: 興梠(10分)、橋岡(22分)、長澤(32分)
警告・退場: 柴戸(警告×2/反スポーツ的行為×2/退場(85分)/次節出場停止)
主審: 福島孝一郎 氏
順位: 9位(暫定)(8勝8敗3分/勝点27/得失点差-7)
試合ハイライト
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