2019 Jリーグ 第3節 サンプロ アルウィン アウェー 松本山雅FC戦
ミッドウィークのACLに関しては3得点で快勝し、今シーズン公式戦初勝利で、少しだけ気持ちも上向いてきたところではありますが、Jリーグではまだ勝利なしと油断できない状況。しかも、アウェーでの今節が終われば翌週水曜日にはまたアウェーでACL(北京国安戦)、さらに日本に戻ってきて週末にはまたまたアウェーでJリーグ(セレッソ大阪戦)と、移動距離を伴う連戦が続く状況で、苦しいながらも勝点を積んでいく必要がある中、今節の対戦相手は久しぶりのJ1復帰となった松本山雅。
前線からの守備、90分に渡って全員でハードワークしてくる松本山雅は、各選手の特性や戦術的なディテールにはもちろん違いはあるものの、「ハードワーク」「プレー強度」に重きを置くという点では、スタイルが似ているチーム同士。そういうチーム相手にしっかり球際、運動量で上回って勝利をつかめるかは、チームの状況を見極める意味でも興味深い対戦となりました。
写真は「DAZN」中継映像から引用
さて、今日のスタメンは最終ラインに森脇、岩波、槙野。中盤は柴戸、柏木、長澤を並べた3ボランチ。ウィングバック、右に橋岡、左にウガ。ナバウト、興梠の2トップという並び。GKは西川。
ACLでしっかり結果を出した橋岡さん、いい動きで攻撃面の組み立てに貢献した森脇さん、前線で献身的に動き回り、影ながらよい働きをしてくれたナバウトさんがJリーグでもスタメンを奪取。最終ラインは岩波さんをセンターに、森脇さん、槙野さんが両翼を固めます。柴戸さんはアンカー起用でのスタートとなりました。システム的にはいつも通り、3-5-2(3-3-2-2)。
守備時には、こちらもいつも通り、5-3-2 でブロックを作っていましたが、山雅のポジショニングによっては、最終ラインに橋岡さんだけが落ちる形でウガが最終ラインまで落ちない、4-4-2 の形も何度か見えたので、必要以上に後ろ重心にならないようにという意識は強かったのかもしれません。
ちなみに、マウリシオさん、エヴェルトンさんは、ACLでのプレーがどうこうという話ではなく、単純にコンディション不良で休養ということで2人とも今節は帯同せず、次のACLに備える形。とはいえ、特に柴戸さんのアンカー起用はスタートから見てみたかった人も多いんじゃないでしょうかというところで、私もそのひとりでした。
そして、この試合、気になったのはやはり風の強さ。今節は日曜日に朝早くから遠出する予定が入ったために現地参戦は控えて DAZN での観戦でしたが、映像で見ていてもたまにカメラがゆれるくらいピッチレベルで風が吹いていて、この強風が試合に影響を与えるだろうなというのは想像に難くないところ。特に大きな展開や、縦に裏を狙う際にロングボールを多用するウチとしてはどう影響するのか気になる試合前のコンディションでした。
一方の松本山雅はスピードに定評のある永井龍選手をワントップに、運動量、スピードのあるセルジーニョ、前田大然 両選手を2シャドーに置いた 3-4-2-1。守備時には1トップ2シャドーの前3枚でウチの3バックに人数を合わせる形でガンガンプレスかけてきますが、それに連動して中盤以降の押し上げも素早いため、なかなかウチのビルドアップでこのプレスを剥がすことができず、前半は完全にペースを持っていかれた形になりました。
相手のアタッキングサード、もしくは中盤でボール奪っても、ウチのポジティブトランジションと同時に、前からのプレスだけでなく1トップ、2シャドーが猛然とプレスバックして後ろからも囲い込んでくるため、ボールを保持する時間が作れず、ミスから失ったり、とりあえず蹴るしかない状況に持っていかれてウチが落ち着いてゲームをコントロールするという状況とは程遠い感じに。
また、前述した強風の影響もあって、対角線上に飛ばすようなロングボールが蹴りにくかったこともあり、サイドでボールを保持しても、山雅の鋭いプレスと激しいチャージにあってアタッキングサードまでボールを運べないシーンも目立ち、かなり難しい、我慢の展開を強いられました。
それでも風に苦しんだのは両チーム同じ。山雅もその運動量でウチを押し込むことには成功しても、フィニッシュのところまで持っていくのには難儀していて、前半に関してはお互いインテンシティも高く、中盤で激しい主導権争いを繰り広げたものの、シュート、決定機自体はそれ程多くない堅い試合になりました。ウチとしては立ち上がり早々に興梠さんが相手GKに鋭いプレッシャーをかけたことでボール奪取→ナバウトさんが惜しいシュートを放ったシーンくらいが決定機と呼べるシーンだったでしょうか。
前半を両チームスコアレスで折り返すと、後半はウチが風下になる形で同様の展開。ウチも山雅のディフェンスラインを下げさせるために、ある程度割り切ってシンプルに裏に蹴ったりと、工夫はしているように見えましたが、やはり決定機は少ない流れ。そんな展開の中、やっと試合が動いたのは後半も半ばに差し掛かった72分。
中盤で興梠さんが非常によいプレスからボール奪取すると、ショートカウンターが発動。長澤さん→ナバウトさんと渡って右サイドペナルティエリア角まで侵入すると、ペナルティエリア内の深い位置に侵入した長澤さんへとつながりこれを長澤さんが中央に折り返し。クロス自体は相手ディフェンスに当たったものの、これが手に当たる形で主審の西村さんのジャッジはハンド。手に当たったのは確実だったので、あとはその手の位置的な判断だと思いますが、リプレイで見てもそこに手があって当たったらまぁほぼ確実にハンドリングでしょうねという感じでしたので、よく見ててくれたなと。
このPKを興梠さんが確実に決めて先制。苦しい試合展開ながらよい時間帯に先制できたことで展開的には少し楽にできました。
先制を許した山雅は、75分に→高崎選手、町田選手という、昨年までJ2で猛威をふるったFWを同時投入。それに対してウチは82分に長澤さん→阿部ちゃんとして、柴戸さんを1列前に、阿部ちゃんをアンカーに入れることで中盤をまずは安定させ、さらに85分には森脇さん→鈴木さんとして最終ラインに高さを加えると、終盤に予想される山雅のパワープレーに備えます。
さらに89分には柏木さん→マルティノスさんとして前線にカウンターの起点となる選手を投入しつつ、後ろはしっかりブロックを作って守り切る姿勢を見せると、山雅が思ったよりもあからさまなパワープレーに来なかったこともあって危なげなく時間を消費。興梠さんのPKでゲットした1点を守り切る形で、今シーズン、Jリーグでの初勝利をもぎ取ってくれました。
今節の3バックの組み合わせ、岩波さんをセンター、森脇さん、槙野さんの両サイドという形については、岩波さんも森脇さんもアグレッシブに前に出て行くタイプの選手ということもあって、その裏のスペースをどうケアするかというのが課題になるなとは思いますが、一方で後ろからの押し上げはある程度できたことで中盤が間延びする事態は避けられたのかなと。
また、アンカーで起用された柴戸さんは阿部ちゃんの投入でポジションを変えながらも90分フル出場。これはひとつ収穫だったと思います。プレー的にはやはり中盤の広大なエリアのスペースカバーから、攻撃時には前に出て行って前線と最終ラインを結合させるという非常に難しいタスクが課せられるアンカーのポジションということもあって、青木さんの代わりとして万全って程の出来ではなかったですけども、それでも90分で計算できる選手があのポジションにいるってのは長いシーズンを考えるととても重要なことだと思います。
チーム全体としては、まだまだ攻守にわたって連動性という部分は微妙で、あくまで個人個人の判断、センスに任せて動いている感が否めず、しばらくはチャンスも少ない展開にやきもきさせられる状況は続くとは思いますが、苦しいながらも勝点を拾ってくれているので、今は焦らず我慢の時期かなと思います。
さて、続いてはミッドウィークの中国アウェー。続くセレッソ戦も予定があわずに現地参戦はできないので(しかもそれが終わると代表戦ウィークで約2週間お休み)、しばらくスタジアムに行けなくてフラストレーション溜まりそうですが、アウェーでしっかり勝って、連勝のままホームに戻ってきてくれることを願いつつ、来週はテレビ観戦しようと思います。
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試合データ
観客: 18,922人
天候: 晴
試合結果: 松本 0-1 浦和(前半0-0)
レッズ得点者: 興梠(72分)
警告・退場: 阿部(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 西村 雄一 氏
順位:9位(暫定)(1勝1敗1分/勝点4/得失点差-1)
試合ハイライト
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