2018 Jリーグ 第2節 埼玉スタジアム2002 サンフレッチェ広島戦(ホーム開幕戦)
アウェーでの開幕となった2018シーズンですが、今週はホーム開幕戦となる第2節。サンフレッチェ広島をホーム埼スタに迎えて。
前節はアウェーで 1-1 の引き分けスタートとなりましたが、ホーム開幕戦はぜひ勝点3をゲットして前半戦の勢いをつけたい戦い。冬の寒さもそろそろ終わりを告げ、少しだけ春っぽくなってきた晴天の埼スタで夕方16時のキックオフとなりました。
さて、今日のスタメンは最終ラインに遠藤、マウリシオ、槙野、ウガ。アンカーに阿部、インサイドハーフに長澤、青木、両ワイドにマルティノス、武藤。ワントップに興梠。GKは西川。
前節、FC東京戦から変更されたのは柏木さんがベンチ外(試合後の情報では軽めの故障とのこと)で阿部ちゃんがスタメンに入り、その関係で青木さんを1列上げてインサイドハーフに配置した点。それ以外はFC東京戦と同じメンツです。
基本的には前節のスタメンが恐らくベースメンバーになっていて、あとは都度セカンドチョイスのメンバーを当てはめていくという感じになると思いますが、今回は青木さんがインサイドハーフで使われたのにはちょっと驚きました。まぁインサイドハーフに求められる守備面の能力を考えれば、彼の対応範囲の広さは必要ではありますけども。
ということで、4バックは変わらず、阿部ちゃんをアンカーの位置に置いた 4-1-2-3 (前節のレビューでは 4-1-2-3 っぽいならびの 4-1-4-1 って書いてましたが面倒なのでもう 4-1-2-3 に統一します)でのスタートとなりました。
対するサンフレッチェ広島は、今年から監督がおなじみ城福さんに代わり、チーム再構築の真っ最中。パトリック選手、ティーラシン選手を2トップに置いた、4-4-2 のフォーメーションで、狙い的には再度の柏選手や川辺を中心にした、サイド攻撃に対して中でパト、ティーラシン両選手が合わせる、あるいは2列目から青山選手あたりがマイナスでズドンみたいな感じで、両サイドを縦に速くというのが持ち味のチーム。
それに対してウチはビルドアップ時に阿部ちゃんが最終ラインに落ちる形で両サイドバックを高い位置に張らせ、ワイドとの関係でサイドでの数的優位を狙う形。前節のレビューでも書いた通り、中央での縦の楔などリスクの高いプレーは基本的に行わず、大きめのサイドチェンジを交えてワイドの位置にいかに早くボールを付けるかというやり方。
また、パスも楔からフリックして複数人で連動、みたいなやり方はやめて、確実に味方の足元に入れて行くパスで崩す方法に。全員が動きながらパスを引き出す、そしてその足元に正確なパスが付くという連動性と制度が実現すれば素晴らしい崩しが発動すると思いますが、現時点での修練度、各選手のプレー精度からすると完成には程遠い状態と言わざるを得ないんですが、狙いはそこですね。
ということで、広島と同じサイド攻撃を主軸にしたやり方なので、サイドでどちらが主導権を握れるかという点に注目したい対戦となりました。
今シーズンのポイントを整理
ちょっと余談ぽくなってしまいますけども、中継の解説などを聞いていてもやはり昨年途中まで指揮を執っていたミシャさんが志向したサッカーが5年間で印象強く残っている関係からそれを前提とした話がされているケースが見られますが、ミシャさんの時に是とされていたことと今の堀さんの元で狙っていることが異なるのでその辺は整理しておいた方がよいと思われます(そろそろミシャさんの時は...って話は終わりにしましょう)。
例えばミシャさんのサッカー(攻撃面のみ)では
- 中央、相手にとって一番危険な位置に積極的に楔を入れて行く(ワイドを張らして広さを使うのは相手中央を空けさせるための布石)
- 楔のターゲットは基本的には興梠さんをメインにシャドーの2人
- 興梠さんの近くに2シャドーがどれだけいられるかが重要(この前線トライアングルが攻撃の要)
- 楔が入る前の前線トライアングルの立ち位置重要。楔が入ったところからフリックやスルーで一気に相手中央をブレイク
- ワイドはとにかく突破力。ボール受けたらドリブルでサイドえぐって早いクロスやマイナスクロス。そこに2列目が入ってきてズドンみたいな
この辺がポイントで、逆に言えば上に挙げたようなことができていない試合はミシャさんの怒り爆発というのが常でした。
ミシャさんは西川さんを含めた後方でのビルドアップで引っかかって失点したりみたいな元々狙っていることをやろうとした結果の失敗には一切怒らないですが(それはやるべきことにチャレンジした結果なので問題ないわけです)、消極的になって楔が入らないとか、ワイドで仕掛けられるのに仕掛けないみたいなことやると怒ってましたね。その辺は狙いが明確だからですが、堀さんのサッカーではこの辺がかなり変わっています。
大きく変わった点としては下記の辺り。
- 縦への楔→ 基本的には使わない。中央でリスクの高いプレーはなし
- フリックやスルー→ 基本的には使わない。きちんと正対した状態で足元に正確に付けるパスが基本。本来はこれを動きながらやりたい。
- ワイド→ ここが攻撃のスイッチ。ワイドに張って相手ディフェンスラインを広げる役割はあるが、主な役割は中にカットインすることで相手ディフェンスを中央に集結させ、空けたスペースにサイドバックが入ってくることで効果的なサイド攻撃を発動させる。さらにオプションとしてそのままカットインからフィニッシュに持っていける能力が求められる
- 興梠さん→ 前線で収めてタメを作ったりというお仕事は同様ながら、横からのクロスに対してどう入り、どう合わせるか、あるいはインサイドハーフと連動したフィニッシュが求められる
- 2シャドー(インサイドハーフ)→ワイドが絞ってサイドバックが高い位置をとると前線に5枚並ぶので、その後ろでスペースのケアをしつつ、2列目からの攻撃参加が求められる。ネガトラしたときは全力で守備(ファーストディフェンス)
という感じでしょうか。特にワイドやインサイドハーフに求められる役割は大きく変わり、パスは必ず足元へというのが基本になったほか、サイド攻撃が主軸なので最終ラインやアンカーの位置からワントップに楔一発みたいのは基本的になくなりました。
なので、楔が入らないね、とか中央でフリックしてコンビネーション、みたいのがないのは想定内というか、もうそういうサッカーはやってないですで終わる話。個人的には今年は下記の点を注目して見てみたいなと思っています。
- ワイドの選手の個人打開がどの程度成功したか否か
- ワイドとサイドバックの選手の連動性でどの程度サイドを崩せたか
- アタッキングサードでのパス精度(ショートパス成功率)
- 複数人の選手が連動したオフザボールの動きの中でパスを引き出すことができているか
- サイドから入ってくるクロスの種類や質
- サイドから入ってくるクロスに対する中の入り方、人数
この辺を踏まえて試合を観たときに、どの程度うまく行ったのかでその時点でのチームの完成度がわかるかなと。
試合に話を戻します
余談が長くなったので話を今試合に戻しますが、上で挙げたポイントを踏まえて今節を振り返ると、ワイドの選手の個人打開についてはそれ程なかったと思いますし、アタッキングサードでのパス精度もまだまだ低かったのではないでしょうか。
これは現時点ではパスの出し手と受け手、1対1の関係性でしかパス交換がされないため、相手にとっては先読みがしやすく、プレスの的になりやすい点が要因として挙げられます。つまりオフザボールの質が低く、相手にとって怖いスペースでボールを受けられていないことが原因ではないでしょうか。
唯一、ワイドとサイドバックの連携でサイドを崩す動きについては何回かよい形が作れていましたが、問題はそこから上がるクロスの質、さらに中の選手の待ち方もワンパターンで、例えばニアに入ってくるといったバリエーションがないため、クロスまでは行くものの、フィニッシュには至らず終わるというケースが多かったと思います。
この辺は時間が解決する問題もあると思いますし、ワイドの個人打開力なんてのは極論を言ってしまえばすげぇ選手を1人2人獲ってくれば即効で解決しちゃう可能性もありますので、トレーニングでの成果はもちろん、クラブが補強などでどの程度現場をサポートできるかが今年の結果に大きく関わってくるかなと考えます。
少なくとも昨日の試合を見る限り、直近ではワイドに個人打開できる強力な選手がいないと厳しいだろうなというのが個人的な感想です。もちろん、各選手の連動性が向上していくことでワイドの個人打開のみに頼らない崩しが実現するとは思いますが、そこまで行くのにどの程度の時間がかかるのかがポイントでしょう。もうシーズンは始まってしまっていますからね。
前半に関してはチャンスは少ないものの、両サイドバックが高い位置を取れたことで相手の両サイドを押し込む時間帯が長く、広島に狙いのサイド攻撃を発動させなかったことで主導権的にはウチが握ることができました。その中でサイドからの遠藤さんのクロスに中でフリーになっていた青木さんが頭で合わせて先制点をゲットして折り返せたことは素晴らしかった。
しかし、後半の失点は2失点共に川辺選手の突破で最終ラインがごたついたところを詰められて失点という同じ形を繰り返していて、ドリブルで仕掛けられた時にマークの受け渡しや最終ラインの統率が乱れてしまう点は、今季からCBがマウリシオさん、槙野さんという新しいコンビになっていることなども合わせ、その安定までにはまだ少し時間がかかるのかなと。
後半から広島がパトリック選手のワントップに並びを変えてきて、中盤を厚くすることでウチのシステムで空きがちなアンカー前のスペースを使ってきたというのもありますが、ある意味、無茶なドリブルでの仕掛けに対してまんまと崩されて2度にわたってゴールをこじ開けられてしまっているわけで、ちょっとこの2失点の仕方はいただけないなという感じはしました。
さて、ホーム開幕は敗戦という悔しい結果になってしまいましたが、次の試合はすぐにやってきます。
水曜日にはルヴァンカップが始まりますが、初戦はアウェーで名古屋さんと。それが終わるとリーグ戦はアウェーの長崎。戻って水曜日にはルヴァンカップ、ガンバ戦、その週末にはマリノス戦と、週2戦の連戦が続きますから、とにかくまずは1勝して悪い流れを断ち切れるように、我々もサポートしていきましょう。
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試合データ
観客: 41,324人
天候: 晴
試合結果: 浦和 1-2 広島(前半1-0)
レッズ得点者: 青木(43分)
警告・退場: マウリシオ(警告×1/反スポーツ的行為)、阿部(警告×1/ラフプレー)、遠藤(警告×1/反スポーツ的行為)
主審: 木村 博之 氏
順位:13位(0勝1敗1分/勝点1/得失点差-1)
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