AFCチャンピオンズリーグ2017 準決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 上海上港戦
関東はここのところ秋雨の鬱陶しい天気が続いておりますが、今日は久しぶりに晴れ間もでて、気持ちのよい一日。そんなミッドウィークに行われたナイトゲームは、ACL準決勝の第2戦、ホーム埼スタに上海上港を迎えて。
基本的には勝った方が決勝進出というとてもシンプル、かつ熱い状況で迎えた第2戦。ウチとしてはアウェーゴールの1点があるため、スコアレスでの引き分けなら2戦合計(アウェーゴール差)で勝利、もしくは1-1の引き分けまでは延長戦突入と、条件的には色々とありますけども、そんなことは置いといて、とにかく勝って気持ちよく決勝進出を決めたいところ。
さて、今日のスタメンは最終ラインに遠藤、阿部、マウリシオ、槙野。アンカーに青木、インサイドハーフに柏木、長澤、両ワイドにラファエル・シルバ、武藤。ワントップに興梠。GKは西川。
つまり、アウェーでの第1戦と全く同じスタメンでのスタートとなりました。システム的には継続して4-1-4-1。インサイドハーフにフィジカルに優れ、中盤で前が向ける長澤さん、さらにゲームメーカー兼プレスバック時の運動量も豊富な柏木さんを並べ、右ワイドにはラファさん、左ワイドには武藤さんを配置。
武藤さんは守備時には槙野さんと左サイドで連携して守備のために激しい上下動を90分間できる選手なので特に右サイドに流れてくるであろうフッキ選手をしっかり抑えるためにも重要。最終ラインは遠藤さんを右に、左は槙野さん。中央を阿部ちゃんとマウリシオさんで固める4バックという形になりました。
基本的にはウチは守る、上海上港は攻めるという構図。ウチとしては、試合前の堀さんのインタビューでも語られていた通り、「0-0の引き分けでよい」という入り方をすると相手の勢いに押し込まれてしまう可能性があるので引いて受けることはしたくないものの、一方で過度にリスクをとって先に失点すれば一気に展開が相手に傾いてしまうためそれだけは避けたいところ。
自然、試合としては上海が前からプレスに来る、ウチはそれをうまくいなしながらチャンスとみれば勇気を持って前に出ていくという姿勢が求められる立ち上がりでした。
ただ、前半に関してはこの上海の先に得点したいという気負いというか、勢いがどちらかというとウチにとってはプラスに作用したかと思います。前線がかなり前掛かりになる上海は、最終ラインがそれに対して思ったより押し上げることができておらず、最終ラインの前にかなりスペースを空けてくれました。前半はここをうまく使うことで相手ゴールに迫ることができていて、実際にそこから得たコーナーキックで先制点、相手の出鼻をくじけたことで、前半に関してはウチの理想通りと言っていい試合展開だったと思います。
上海のフッキ選手をはじめとした前線の選手たちは、もちろん個々の能力では素晴らしいのは間違いないものの、上海はちょっとそこに頼りすぎてチームとしての戦術、うまく行かないときの修正能力という点では足りなかったかなと。
例えばフッキ選手が左右にポジションを変えながらプレーしていましたが、それに対してウチが冷静に常に2対1などの数的有利になるように囲い込むことで彼に自由な動きをさせないように対応すると、うまく行かないことにイラついたフッキ選手はより一層個人打開に走ってチームとしての連動性という面では怖さがなくなり、ウチのディフェンスとしても的を絞りやすい状況を作ってくれました。
ウチとしてはリーグ戦のレビューなどでも度々書いているとおり、採用しているシステム的にアンカーの両サイドのスペース、さらにSBがサイドに引っ張られたときのCBとの間のスペースを誰が埋めるのか的なところが、まだイマイチ連動性に欠けるため、そこを使われるようなやり方、例えばウチの両インサイドハーフを同時につり出すような縦方向のポジションチェンジを頻繁にされたり、サイドで引っ張ったところで中央に斜めに入ってくるような2列目の動き(オスカル選手なんかはそういう動きをしてましたけどパスが出てこなかったのは幸い)などをされると結構守りにくかった気がしますけども、上海はそういう動きではなく、とにかく前線に攻撃陣が張って個の力で突っ込んでくる感じの攻撃に終始してくれたので、ポジションもズレにくかったですし、とにかく集中してスペースをしっかり埋めておけば対応しやすかったというのはありがたい。
もちろん、個の力で突っ込んでくると言ったって、あのデカくて速いのが突っ込んでくるわけですから、こちらのフィジカルや対人能力も求められるわけで簡単ではないですが、そこは対人能力に優れた槙野さん、長澤さん(長澤さんの中盤での強さは圧巻でした)、さらに圧倒的に空中戦強かった遠藤さんなどの個人能力に加え、マウリシオさんや阿部ちゃんがしっかりスペースカバーしつつサポートしてくれたので、ほとんどヤバイ崩され方はしなかったです。何分だったか忘れましたけど、1回、アフメドフ選手にフリーでシュート打たれた場面はやばかったですけど(西川さんが正面でナイスキャッチしてくれた)、崩されてヤバイと思ったのはそれくらいだった記憶。
ウチの守備陣は、見ている限り、基本的には4-5-1のブロックを作る形で守っていたと思いますが、一時的に興梠さんとインサイドハーフの1人(長澤さんが多かった気がします)が並んだ4-4-2のブロックを作っている時間帯もあって、この辺は状況に応じてやっていたと思いますけども、前述したとおりあまり守備ブロックのポジションを動かされるような攻撃をされなかったこともあってこの試合ではきちんとオーガナイズされ、安定したブロックが作れていました。
また、各選手も守備面で与えられたタスクしっかり果たしていました。インサイドハーフはしっかりプレスバックしてアンカー脇のスペースを埋める、ワイドの選手もしっかりサイドバックと連携してサイドの守備をするといったことが90分を通してできていたと思います。さすがにラファさんは後半スタミナ終了して動けなくなっていましたけど、そのタイミングで適切にズラタンさんを投入したベンチの判断も素晴らしかったです。
先制点は12分。コーナーキックからラファさんが頭で合わせてのもの。柏木さんの蹴ったボールの質も素晴らしかったですし、ニアサイドに興梠さんが走って相手ディフェンスを引っ張り、その後ろで遠藤さんが競った裏にラファさんがうまく入ってきた形ですが、完璧なゴールだったと思います。また、早い時間帯に先制できたことも大きかった。
後半は上海も全体的に押し上げてきたこと、ウチもさすがにボール奪取しても前線で収める時間を作れなくなる時間帯があって、押し込まれますが、それでも何度かカウンターからチャンスを作りつつ時間を進めると、残り20分くらいはアホみたいにFWばっか投入してくる上海に対して気合いではじき返し続け、ラファさんが奪ってくれた1点を守り切って10年ぶりのACL決勝進出を決めてくれました。
いやー途中から雨降ってきたりで、ただでさえ寒いのに気温はどんどん下がる水曜の夜ではありましたが、埼スタに駆けつけた4万人越のサポーターの熱気は凄まじく、試合中は寒さを全く忘れる熱い試合になりました。
とはいえ、まだ決勝に駒を進めただけ。大事なのは決勝で勝ってタイトルを奪取することですから、次の決勝戦、第2戦が埼スタでできるという利点をしっかり活かせる戦いをしてもらいたいですし、我々もしっかりサポートして、来月、アジアの頂点に立ちましょう。
ということで、続くリーグ戦は日曜日のガンバ戦です。あとACL決勝に進出したことで日程が保留になっていた、第32節の鹿島戦(11月5日(日)開催)と第33節の川崎戦(11月29日(水)開催)が確定しました。鹿島戦のチケット一般発売がガンバ戦の日、22日になっていますので参戦する方はお忘れなく。
このレビュー記事について浦和レッズサポーター向けFacebookグループでメンバーの方々との意見交換などもしています。詳しくはこちらをご覧ください。
試合データ
観客: 44,357人
天候: 晴(一時雨)
試合結果: 浦和 1-0 上海上港(前半1-0)
レッズ得点者: ラファエル・シルバ(12分)
警告・退場: 槙野(警告×1)、マウリシオ(警告×1/決勝戦 第1戦出場停止)
主審: クリストファー ビー 氏
この記事が気に入ったらサポートしてみませんか?
スタジアムでのビール代にさせて頂きます。