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2017 Jリーグ 第27節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦

水曜日は熊谷での天皇杯 鹿島戦で敗戦、残る戦いはACLとリーグ戦に絞られた状況ですが、週末はリーグ戦、ホーム埼スタにサガン鳥栖を迎えて。

鳥栖は前節、第26節終了時点で勝点「37」の9位、順位的には勝点「40」、8位のウチのすぐ下に位置するチーム。ウチとしても上にいる6位の磐田まで勝点差は「3」ということで、ここはしっかり勝ちきって、上の順位を狙って行きたい中位直接対決となりました。

2017 Jリーグ 第27節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦

さて、今日のスタメンは最終ラインに森脇、マウリシオ、遠藤、槙野。アンカーに阿部、インサイドハーフに矢島、武藤、両ワイドに高木、駒井。ワントップに興梠。GKは西川。

システム的には引き続き 4-1-4-1、警告の累積によって今節出場停止の青木さんの代わりに阿部ちゃんをアンカーに、最終ラインはマウリシオさんと遠藤さんを中央に置く形。インサイドハーフでは矢島さん、武藤さんがリーグ戦では引き続き先発。右のワイドに天皇杯 鹿島戦から引き続き駒井さんが抜擢され、左の高木さんと両翼を担います。ワントップは不動の興梠さんというメンツでのスタート。あとベンチですがウガが久しぶりに復帰となりました。

対する鳥栖は 4-3-1-2 でのスタート。守備時には最前線にイバルボ選手のみを残し、4-5-1 のような形でブロックを作る守り方。最終ラインをかなり低めに設定し、裏のスペースを消した上で、サイドについてはスライドで対応しつつも、基本的には中央に人数をかけて真ん中でやられないという守り方。

鳥栖は最終ライン中央にキム・ミンヒョク選手、鄭選手という両者ともに190cm近い身長を誇る大型CBがいるので、サイドをある程度捨てても単純なクロスならそこではじき返せる自信があるのでしょう。その強みをうまく活かしつつ中盤でのハードワークでボールを奪ってからのカウンターという非常にシンプルな戦い方をしてきました。

それに対して特に前半はもろにハマったのがウチ。とりあえず開始1分も経たないうちに失点喰らうっていうのは想定外だったとしても、その後の攻撃は単調で、相手ディフェンスラインの前でパスをつないでいるものの相手にとって危険なエリアにはほぼ入らせてもらえず、遠目からのクロスをはじき返されては鳥栖の前線に張ったイバルボ選手にボールを収められてカウンター喰らうみたいなのの繰り返し。

4バック時のウチの攻撃はほぼすべてのパスが足元へのもので、各選手がボールを受けてから次の出し先を考えているようなプレーが多いため、鳥栖としては対応が容易。相手の最終ラインが高い位置をとってくれれば、インサイドハーフやワントップが裏のスペースに積極的に仕掛けることで相手のラインを下げさせ、バイタルエリアにスペースを作ることでそこを活用した厚みのある攻撃が可能になりますが、今回のように最初から低いラインにセットした上で4-5のラインをコンパクトにされてしまうと、裏に抜けるスペースもないため興梠さんもインサイドハーフの2人も窮屈なプレーを強いられることに。

無理に縦に突っ込んでも中央にはたくさんのディフェンスがいるのでそこで引っかかってボールロストするし、両ワイドの選手も縦に仕掛けようにもスペースがないのでカットインするしか方法がなく、特に駒井さんのサイドなんかは手詰まり感がハンパない感じでした。ただでさえこのシステムでは持ち味が出しにくい感じになってしまっている駒井さんですが、さらに相手が引いて守るチームだとほぼ消えちゃう状態に。この日も結局60分で交代となってしまいました。

さて、最初の失点ですが、この失点も天皇杯 鹿島戦、あるいは勝ちはしたもののACL 川崎と2ndレグで最初に喰らった失点などと同じ、4バックのラインコントロールの不備を突かれる形での失点でした。これ、修正する気あるんですかね......

大きな問題点としては2つ。まずこのシステムのネックとも言えるアンカーの両脇のスペース。インサイドハーフが前目にポジションをとった攻撃時から守備への転換(ネガティブトランジション)時に、ボールの奪われ方が悪くてこのエリアで数的不利を作られると、中盤で相手ボールホルダーに対してプレスがまったく効かなくなる点。

もう1つがその瞬間の最終ラインのコントロール。中盤でボールホルダーに対してプレスがかかっていない状態、かつ最終ラインが高い位置をとっている場合、これは攻撃側にとって裏のスペースを狙う絶好機なわけですが、そこに加えて今のウチのように最終ラインの連携が稚拙でギャップを作りまくってくれるなら裏抜けはより容易になります。

この時もイバルボ選手に引っ張られて1人だけポジションが低かった遠藤さんによって最終ラインにはビックリするほどのギャップができていましたし、攻撃参加した森脇さんが高い位置をとっていたことで、右SB(森脇さん)と右CB(遠藤さん)の間には広大なスペースが広がっていて、まぁそこのスペース使ってくださいと言わんばかりの状況でした。

で、鳥栖も恐らく試合前のスカウティングでウチの最終ラインの不備や、このギャップを狙うことは想定済みだったと思いますが、そこを見事に田川選手に使われる形で裏に抜けられると、そのままダイレクトミドル叩き込まれる形で失点。シュート自体が素晴らしかったというのはありますが、あれだけ簡単に裏のスペースを使わせてしまうとさすがにやられますよねと。

ということで、またも先に失点する形。これでリーグ戦では4試合連続、公式戦で言えば6試合連続で先制点叩き込まれてるということで、今のところこの部分については改善の兆しが見えない状況になってしまっています。

そして、失点後の前半の流れについては前述したとおり、ポゼッションはするものの効果的な攻撃を繰り出すことはできず、それどころかあわや2点目、3点目を喰らう可能性のあるくらいヤバイ決定機をカウンターから作られるなど(この日の埼スタのゴールポストさんはグッジョブでした)いまいちパッとしない状況のまま後半へ折り返し。

後半も立ち上がりは相手のコンパクト、かつ強固な守備になかなか攻撃の形を作れず。60分に駒井さん→長澤さんとして長澤さんをインサイドハーフに入れると、武藤さんを駒井さんがいた右のワイドに出す形に。これは天皇杯 鹿島戦でも後半にとったやり方ですね。武藤さんはワイドの位置に出したとしてもそこからゴール前に斜めに入ってきたりする動きがうまいので、その辺を狙ってのもの。

さらに69分に森脇さん→ズラタンさんとして、3バックにシステムを変更します。観ていた限り、阿部ちゃんをアンカーに置き、ズラタンさんと興梠さんを2トップにした 3-1-4-2 のような形にしていましたが、鳥栖がかなり割り切って引いて守っていたこともあってポゼッションはできるため、リスクをとって前線の人数を増やし、さらに押し込む策に。

結果的にはこれがプラスに働きます。74分、コーナーキックからマウリシオさんがヘディングシュート叩き込んで同点に。中央でズラタンさんと槙野さんが相手ディフェンスをうまく引っ張った裏でフリーになったマウリシオさんがうまく合わせてくれました。マウリシオさんは移籍後初ゴールですね。おめでとうございます。高木さんのボールの質も素晴らしかった。

これで流れ的にはこちらにきたかなと思ったんですが、同点ゴールからわずか6分後の80分、ウチのフリーキックを高木さんが直接狙ったボールは惜しくも鳥栖GKの権田選手にキャッチされますが、ここから権田選手の蹴ったロングフィードを守備に残っていた矢島さんが痛恨のクリアミス。

体勢を崩しながら当てたヘディングが味方ゴール方向に流れると、これを猛然と追いかけた田川選手が飛び出した西川さんより一瞬だけ早く触ってボールはそのまま無人のゴールに。同点ゴールから流れ的には完全にウチに来ていた状況で、ワンミスから1点ビハインドの状態に戻ってしまいました。

セットプレー後の出来事だったので、ボールよりもゴール寄りの位置には矢島さんと長澤さんのインサイドハーフ2人のみが残った状態で、ディフェンスラインの選手はみんなゴール前に上がっていました。この状況でリスタートに素早く反応してスプリントした鳥栖の選手に対し、ウチの選手は少し反応が遅れてしまったというのもありましたし、さらに高さ的には最も弱い矢島さんのところを狙われたので仕方ないっちゃ仕方ないんですが、リスタートで少し集中を欠いたと言われても仕方のないような失点でした。

それでも勢い的にはウチ。83分に高木さん→ウメとして右サイドをリフレッシュすると、引き続き鳥栖を押し込んで畳みかけに入ります。85分、右サイドをオーバーラップした遠藤さんのクロスに、ゴール前にうまく入り込んだ武藤さんが頭で合わせると、このシュートは一旦権田選手に弾かれますが、完全に処理できずにこぼれたところを武藤さんが気合いで詰めて押し込むと、これで同点。

その後も相手ゴールに何度か迫りますが、結局そのままタイムオーバー。2-2で引き分け、勝点1を分け合う形となりました。2点奪えたことは評価すべきですが、さすがに失点の仕方が悪すぎる。あれだけ簡単に失点してしまうと追いつくことにパワーを使ってしまって逆転まで持って行くのは容易ではありません。やはりここのところ続く安い失点を減らさないことにはちょっと厳しいかなと思いますので、今後の改善に期待したいなと思います。

さて、週明け水曜日にはACL 上海上港戦が待っています。まずはアウェーでの第1戦からですね。相手は強力な攻撃陣を誇るチーム、そういう相手に今回のような守備面での不備を見せれば、失点は免れないでしょう。ミシャさん体勢ではグループステージで対戦経験がありますが、堀新体制になってからは初対戦となる強敵相手にどこまでやれるのか注目したいところ。

できれば勝点1でも、そしてアウェーゴールの1つでも持って帰ってくれればと思いますが、まずは大量失点しないことを念頭に、しっかり戦ってきて欲しいなと思います。

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試合データ

観客: 29,557人
天候: 晴
試合結果: 浦和 2-2 鳥栖(前半0-1)
レッズ得点者: マウリシオ(74分)、武藤(85分)
警告・退場: -
主審: 廣瀬 格 氏
順位(第27節終了時点):7位(12勝10敗5分/勝点41/得失点差+11)

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