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AFCチャンピオンズリーグ2017 準々決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦

アウェーで行われた第1戦は、武藤さんが執念のアウェーゴール1点を奪ってくれたものの3失点、内容的にもほぼ完敗といっていい敗戦となりましたが、ホームに戻っての第2戦は、そのアウェーゴールのおかげもあって、2-0 勝利で90分勝ち抜け(ちなみに、もし1失点した場合は 3-1 勝利で延長戦、4-1 勝利で90分勝ち抜けって感じになります)という、簡単ではないけれど、そんな無茶でもないという、応援する方も気合いの入るシチュエーション。

まぁ、ラウンド16の済州戦で、第2戦 3-0 で勝たないと終わるっていう状況よりは若干楽ということで、とにかく2得点以上の無失点勝利を目指してウチがどういう戦い方をするのか注目の対戦。平日夜の開催で来場者数的にはちょっと少ない埼スタではありましたが、秋晴れの空の元、熱気のこもったスタジアムの雰囲気の中で、日本勢同士の生き残りをかけた第2戦の幕が切って落とされました。

AFCチャンピオンズリーグ2017 準々決勝 第2戦 埼玉スタジアム2002 川崎フロンターレ戦

さて、今日のシステムは直近の公式戦(Jリーグ柏戦)同様の 4-1-4-1 を採用。スタメンは最終ラインに森脇、マウリシオ、阿部、槙野、アンカーに青木、インサイドハーフに矢島、柏木、両ワイドに高木、ラファエル・シルバ、ワントップに興梠。GKは西川。

マウリシオさんが負傷から復帰、柏戦でもベンチには入っていましたが、スタメンに戻ってきました。また第1戦のウォーミングアップで負傷、離脱してしまっていた柏木さんも復活してインサイドハーフで矢島さんとともに先発。武藤さんが第1戦に受けたイエローカードの累積によって出場停止となる中、運動量が求められるポジション、攻守にわたる貢献度が重要なこのシステムでのインサイドハーフの人選には不安材料もありましたが、その辺では問題の無い柏木さんが間に合ってくれたことで事なきを得ました。

対する川崎は 4-2-3-1 のフォーメーション。中盤のトライアングルはウチとは逆の3角形を構成する形(ダブルボランチに大島選手、エドゥアルド・ネット選手、トップ下に中村憲剛選手ですね)になりますが、ここでの主導権争いがどちらに傾くかが試合の行方を決める重要なファクターとなるマッチアップ。

ウチとしては90分で勝ち抜ける場合、最低でも 2-0 での勝利が必要。もし川崎にアウェーゴールを1点献上すると、それだけで必要なスコアは 4-1 へと難易度が一気に上がります。2失点以上してしまえば現実的にはほぼ勝ち抜けは難しくなる状況。つまりまずは失点しないことが重要ながらも、最低でも2点は獲りにいかないといけないという難しいタスクが課せられたわけです。

ところが中盤での主導権争いは川崎が一歩上手。なんと19分に川崎中盤のトライアングルに前線から下りてきた家長選手が加わり素早いパス交換でウチの中盤のプレスを外すと、槙野さんが上げ気味になっていてラインがそろっていなかった最終ラインの裏を狙ったエウシーニョ選手に憲剛選手から絶妙な浮き球スルーパス。これで最終ラインをブレイクされるとエウシーニョ選手が西川さんとの1対1を制して試合開始早々にまさかの先制点を献上。

失点の要因のひとつはウチの最終ラインのコントロール。4バックの右半分と左半分でラインそろわずギャップができていたことでそこを突かれる形になってしまいました。槙野さん的にはエウシーニョ選手の飛び出すタイミングがオフサイドに感じたかもしれませんが、逆サイドのマウリシオさん、森脇さんが低いラインを設定していたのでオフサイドにならず。西川さんも一瞬ですが飛び出すのを躊躇してしまったように見えた分、エウシーニョ選手に先に触られてしまいましたが、出たなら身体のどこかにでも当てたかったというのはありますね。

立ち上がりに関してはウチがハイプレスで前からボール奪って一気に攻撃に持って行きたいところで、川崎にうまくプレスを外されてやられるという形でしたので、なんていうか、川崎さんの思惑通りにアウェーゴールを奪われるという試合展開的には最悪の流れになってしまいました。これで90分勝ち抜けには4点が必要な状況に。まさに窮地です。

ただ、1点リードしたことで恐らく川崎さんも少し安心したのか、中盤でのプレスを少し緩めて体力を温存しつつ出てきたウチに対してカウンター当ててやろ的な省エネサッカーに意識が行った感があり、少しづつですがウチがセカンドボールも拾えて、ポゼッションできるようになります。すると35分、ドリブルで持ち上がった矢島さんから最前線で相手ディフェンスに付かれながらも裏に仕掛けた興梠さんに絶妙なロングスルーパス。これを興梠さんが足元でピタッと止めるとそのまま相手GKをあざ笑うかのようなシュートをゴールに流し込んで同点に。

矢島さんのスルーパスは、トップスピードでのドリブル中に右足のアウトサイドからくり出されたものでしたが、とんでもない精度で興梠さんにドンピシャ。パスの出し手にも受け手にも相手マークはしっかり付いている状況ではありましたが、それをもろともせず、2人で獲りきってくれました。素晴らしい。

さらにこの3分後、試合を大きく動かす出来事が。ウチの右サイドで興梠さんとルーズボールを競った、川崎の車屋選手が、スパイクの裏を見せつつ興梠さんの顔面至近に足を振り上げる超危険なプレー。リプレイを見る限り、幸い興梠さんの顔面をかする程度で済みましたが(ガッツリ当たってたら大怪我は免れず、それだけは本当によかった)、この行為が「著しく不正なプレー」ですかね。一発退場となり、川崎は1人少ない状況へ。

この退場を受けて、川崎ベンチが動きます。憲剛選手を下げて田坂選手を投入。川崎としては 1-1 とはいえ、2戦トータルスコアでいえばまだ2点リードの状況。しかもアウェーゴールも獲れているわけで、ほぼ前半が終了する時間帯、このあと45分を1失点までなら問題なし、2失点しても延長突入ということで最悪許容できるわけですから、退場になったサイドバックの穴を埋め、中盤を削って多少引き気味に守ろうというのは判断としては間違ってはいなかったと思います。

ところが、この消極的な意識がイケイケムードになった埼スタ、ACLのような厳しいトーナメント慣れしているウチの選手たちを相手にまさに裏目に出ます。

後半立ち上がりから数的有利のウチがボールを支配し、川崎を押し込みますが、63分に堀さんは最終ラインのマウリシオさんを下げてズラタンさん投入。これによってフォーメーションを慣れ親しんだ3バックに変更します。阿部ちゃんをセンターに、森脇さん、槙野さんの3バック。さらに柏木さんをボランチの位置に下げ、青木さんとダブルボランチの形に。投入したズラタンさんは一旦シャドーの位置に入ったように見えましたが、興梠さんとは2トップ気味にも見えたのでその辺は曖昧ですが、矢島さんを含めたトライアングルで前線を構成します。

押し込めたことでカウンターに備えてサイドバックのオーバーラップを控えめにしつつ、両ワイドに高い位置をとらして徐々にワンサイドゲームへと持って行きたい意図、さらにコーナーキックがかなり取れていたので高さのあるズラタンさんを入れることでそこでの得点を狙った交代だと思いますが、結果的にはこの交代策が大当たり。

また、川崎さんが65分にボランチの大島選手を下げてくれたことも、より一層川崎さんが守備的になることでウチが押し込む要因となったと思いますし、この辺の川崎の守備的な采配がウチにとってはプラスに働いてくれたと思います。

そんな中、70分にコーナーキックからズラタンさんが頭で合わせて追加点を奪い、これでトータルスコア 3-4 とします。延長戦に持ち込むのにあと1点、逆転勝利にあと2点という状況に埼スタの熱気も最高潮。

さらに75分には矢島さん→駒井さんとして、ラファさんをシャドーの位置に移動させると、駒井さんによるサイドからの突破で圧力をかけます。これで完全にミシャさん時代の 3-4-2-1 に戻すと、これがさらに功を奏して80分過ぎに攻撃陣が大爆発。84分にラファさんがペナルティエリア内で柏木さんからの縦パスを受けると瞬時にターン→シュート。これが見事にゴールに突き刺さってトータルスコア同点に。

さらにその2分後となる85分、森脇さんからの対角線のフィードに、フリーで抜けた高木さんがダイレクトで合わせたシュート(実際には恐らく中央に折り返そうとしたのが当たり損なったやつ。本人も狙ってないって正直に言ってたし(笑))が相手GKの頭上を越えながらゴールに吸い込まれてこれでトータルスコア 5-4 の大逆転。

マジやべぇ大逆転で圧倒的劣勢だった試合をひっくり返すと、そのまま90分を終えて勝利をつかみ取り、準決勝進出を決めてくれました。これだからサッカーは面白い。

そういえば、ラウンド16で準々決勝進出を決めた森脇さんのゴールは高木さんの逆サイドからのクロスだったと思いますけども、今回は森脇さんからの同質のボールで高木さんが決めましたね。なんていうか運命的なものを感じます。去年はルヴァンカップで覚醒した高木さん、今年はACLで覚醒していただいて、ここからの大活躍に期待したいと思います。

と、試合結果的には最高でしたが、冷静に前半と後半を分析すれば、立ち上がりの 4-1-4-1 は機能したとはいえず、あのまま川崎が数的不利にならずに試合が進んでいた場合、結構厳しかったんじゃないかと思います。例えば決勝ゴールをあげてヒーローになった高木さんも前半は単調なカットインクロスくらいしか手がなく、左サイドでは槙野さんとの連携もそれ程で攻撃が停滞していましたし、インサイドハーフの2人も相手マークが厳しく、バイタルエリアでほとんど前を向かせてもらえていなかったので、狙い通りの攻撃ができたとは言い難かったと思います。

3バックに戻してからの方が選手間の連動性が上がりましたが、川崎が1枚少なくなって押し込めている状況でのことですので、これも相手が11人だった場合、同じ結果になったかはわかりません。その点では相手の退場がかなり試合結果に影響したというのは確かでしょう。

とはいえ、特にトーナメント戦は結果がすべて。熱のこもった埼スタの雰囲気の中、選手たちは最後まで諦めずに闘ってくれましたし、それによってしっかり結果もついてきました。これをポジティブに捉え、続くリーグ戦にも活かして欲しいなと思います。

ということで準決勝に駒を進めたACLですが、準決勝の対戦相手は上海上港。まずは9月27日のアウェー、第1戦からスタートし、第2戦は埼スタで10月18日となります。厳しい戦いは続きますが、アジアの頂点まであと2つ。サポも一体となってチームを後押ししていきましょう。

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試合データ

観客: 26,785人
天候: 晴
試合結果: 浦和 4-1 川崎(前半1-1 / 2戦トータルスコア 5-4)
レッズ得点者: 興梠(35分)、ズラタン(70分)、ラファエル・シルバ(84分)、高木(85分)
警告・退場: 高木(警告×1)
主審: ファハド アルミルダシ 氏

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