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2017 Jリーグ 第20節 埼玉スタジアム2002 大宮アルディージャ戦

前節はアウェー札幌の地で退場処分と負傷によってフィールドプレーヤーが8人まで減るっていう状況の中、0-2で負けるっていう踏んだり蹴ったりの結果で帰ってきたわけですが、さらに帰ってきた翌日にはミシャさん(+杉浦コーチ)が解任されるっていうおまけ付き。

まさにチームはどん底状態。ここから堀新体制でどのように立て直していくのかに注目が集まる中、迎えたのは大宮アルディージャさんとのダービーマッチ。堀さんに監督が代わったと言っても就任から試合まではたったの1週間弱。やれることは限られる中で、システムは変えず(変えずというか変えたくても変えられない)要所要所での人の入れ替え、交代策の切り方など、細かいところでどのように状況を好転させるのか...... この試合と続く甲府戦までは試合間隔が詰まっていますが、その中でどこまでできるのか、堀さんの能力が試されるまずは最初の試合となりました。

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さて、今日のスタメンは最終ラインに森脇、遠藤、ウガ。ボランチに阿部ちゃん、柏木。両ワイドに菊池と関根。武藤、ズラタンをシャドーに、興梠のワントップ。GKは西川。

まずは堀さんがどういうスタメンでくるかに注目は集まったともいますが、システムを変更できない以上はそれ程大きな人の入れ替えは起こらないのは当初から予想できたとおり。しかも元々スタメンをはっている選手達の能力が高いのはわかりきっているわけで、あとはコンディションが整っていないとか、万全でない選手をうまく入れ替えながら、チーム全体としてのパフォーマンスを向上させ、同時にチーム内の競争を適切に活性化させるかというところがマネジメント能力を試される点でしょう。

その意味で菊池さん(左ワイド)のスタメンには少し驚きました。今年出場した試合、直近では天皇杯などを見ていても、攻守にわたるポジショニングや周囲とのコンビネーション的にそれ程よいパフォーマンスを見せているとは言えず、さらに試合から遠のくことでボールを止めるといった基本的な部分でもミスが目立ち、正直厳しいなというのが個人的な感想でしたが、いきなりスタメン入り。

堀さん的に何か戦術的な意図があってのことだったのか(試合後のインタビューを見る限り、きちんとトレーニングに取り組んでいれば誰にでもチャンスが来るぞというアピールをチーム内にしたかったという意図が感じられましたが)、天皇杯などで非常によい働きを見せてスタメン奪取も近そうだった長澤さんがベンチにも入れず、一方で期待に反して目立った活躍ができてるようには見えなかった矢島さんがベンチ入りしたことなどと合わせて考えても、ミシャさんから堀さんに監督が代わったことで、選手を評価するポイントにも少し変化があったことはうかがえるメンバー構成でした。

あと、前節退場になって出場停止の槙野さんのところにはウガを投入。これは彼以外だとあとは田村さんしかいないんですが、田村さんは左が本来のポジションではないので選択肢としてはもうウガしかない感じ。

またシャドーの組み合わせはズラタンさんをシャドーに、武藤さんを組ませ、興梠さんをワントップという並び。以前のレビューでも何度かラファさんと興梠さんの(最近の)コンビネーションが希薄になっている点、シャドーにラファさんを入れたときのファーストディフェンスの問題などを書きましたけども、堀さんにどういう意図があったかはわからないものの、一旦そこに手を入れ、ズラタンさんをシャドーで先発させるというやり方に。

この辺の変更がどう功を奏するかが注目ポイントとなる立ち上がり。

前半はとても慎重な立ち上がり

対する大宮は、江坂選手、マルセロ選手をトップに置いた3-5-2で試合に入ったように見えましたが、気がつけば4-4-2に。守備時は最終ラインを5枚にした、5-3-2でウチの前線と最終ラインの人数を合わせ、マンツーマンにするやり方。ウチ対策としてはオーソドックスな、サイドのスペースはそれ程自由に使わせてもらえない守られ方。

また、大宮の攻撃は立ち上がり、比較的早めにゴール前に放り込んでくるやり方をしていて、トップに空中戦に強みのある選手を置いていることと、ここ数試合のウチのゴール前での守備(まぁビックリするくらいマークが簡単に外れるやつ)の弱点を突きたい意図が見えるやり方をしてきました。

対して、ウチの守備陣もゴール前でのポジショニングやマークの確認は恐らく厳しく言われているだろうことから、ここに関しては比較的しっかり守れていたのと、トップの江坂選手に当てて落としたところに2列目からボランチの選手がオーバーラップしてくる大宮の狙いに関しても、江坂選手にボールが入った瞬間に遠藤さんが積極的にぶっ潰しに行く守備(本来前に推進力を持った守備が彼の持ち味ですからね)で相手の攻撃の芽を摘むことができていました。

チーム全体としても最終ラインは過度にラインを高くとらないものの、前線の選手もある程度守備を意識したポジショニングをしつつ、柏木さんあたりがしっかり中盤のスペースを埋めるなど、各ポジションの選手が周りとしっかり連携しながら全体をコンパクトに保つことができていて、前半の守備についてはほぼ及第点と言っていい集中力をキープしていたと思います。中盤からガンガンかけていくようなプレスも封印し、ある程度ブロックを作りつつチャレンジした選手に対してカバーリングできるポジショニングも意識されており、この辺は堀さんになってしっかり改善されたところだと思います。

ただ、守備面でのポジショニングにかなり気を使って慎重に入ったのは見てとれる一方で、攻撃面ではそれ程バリエーションが出せたとはいえない前半。まぁこれは先に失点しないようにってことを重視した入りなので別によいとは思いますが、森脇さん、ウガの両ストッパー、および菊池さん、関根さんの両ワイドはミシャさんが指揮を執っていた頃に比べてかなりポジションを自重気味に。これによってサイドからの攻撃は活性化せず。

柏木さんが落ちて空けたスペースに、武藤さんやズラタンさんが引いてきたところに対する最終ラインからの楔で2,3回よい崩しを発動させてはいましたが、それ以外は最終ラインから裏に向けてのロングボールくらいしか引き出しがなかったですし、柏木さんが守備のバランスをとる方に注力した結果、彼を経由するビルドアップも減って、守備面でのリスクは負わないかわりに攻撃面での迫力も限定的な前半になりました。

この辺は人によって評価が別れるところだと思いますが、個人的には今日はとにかく失点しないことと、1-0でよいので勝点3を獲ることが重要と思っていましたし、恐らくチームもそういう考えだったと思いますので、その意味では中盤をある程度省略して裏のスペースを狙うやり方は、リスクマネジメントという点では別に悪くはないかなと。だからこそ、後半の1失点目は心底イラッとしたんですけどね。

安い失点...... 直らず

先制点は前半の26分。相手ペナルティエリア内でハンドの判定。これによってゲットしたPKを興梠さんが冷静に決めて久しぶりの先制点。決定機は多くなかったものの、辛抱強く守りながら得たチャンスを、しっかりものにして先制できたことは素晴らしかったと思います。前述の通り、前半は堅い試合運びでそのまま1点リードして折り返し。大宮に決定機を作らせず、その点では非常によい前半だったと思います。

後半は大宮が早々に人を入れ替えてくる中、ウチは前半同様に落ち着いた入り方をしましたが、ここで守備陣が痛恨のミス。

66分、自陣からのリスタートでウガがボールをセットしますが、大きく蹴るとみせかけて、すぐ横にいた遠藤さんにクイックリスタート。そこまでは別に間違っていないと思いますが、ビックリすることにこの状況で遠藤さんがボールから完全に目を離している(遠藤さん的にはウガがロングボール蹴ると思い込んでたんだと思いますが、完全に見ていないというのはさすがにないっす)という意味のわからない状態になっていたためウガの蹴ったボールは味方が誰も触ることなく大宮、マルセロ選手に奪われると、サポートしてきたマテウス選手にパス。これをマテウス選手が冷静に、うまく巻いたミドルシュートを放つと、西川さんも反応できずゴール右隅に突き刺さって同点に。

それでもそのわずか3分後の69分、左サイドで1対1とみるや思い切って仕掛けた菊池さんのグラウンダーのクロスは、一旦は大宮GKの順大さんに弾かれますが、これにしっかり詰めていた柏木さんが押し込んで勝ち越し。ミスからの失点の直後で、ヘタをすると悪い流れに行ってしまいそうなところででた柏木さんのゴールは値千金の勝ち越しゴールでした。

あとはこのままうまく交代カードを切りながら終わらせてくれればと思っていたのですが、試合終了間際に痛恨の失点。

2失点目はウチが苦手なハイボールでやられたわけですが、マーク自体はズレておらず、バックステップした分一瞬遅れたものの遠藤さんがゴールした瀬川選手にはしっかり付けていました。ところがこの一瞬のズレで相手に先に触られてしまったことでやられましたと。しかも運悪く叩きつけるようなボールになってしまったので西川さんの頭の上を越える絶妙なコースにボールが飛んでしまったため、流石の西川さんもノーチャンスという失点でした。

もちろん、マークに着いていた遠藤さんの問題もありますが、その前のクロスを上げられたところで、(大宮の)右サイドに張った岩上選手がフリーになっていて、そこに気がついた武藤さんが慌ててアプローチには行ったものの、対応が遅れたためにほぼフリーでクロスを上げられてしまったのが厳しかったなと。ちょっとしたことなんですが、そういう細かいところのマークまでは完全に改善できていない(まぁ時間がないので当たり前ですが)点が見られ、しかもそれが失点につながってしまったのは残念でした。

柏木さんのゴールでいい時間帯に勝ち越しできて、流れ的には勝利で終われる試合だっただけに、ラスト数分でのああいう形での失点は本当にもったいなかったなと思います。

さて、結果的には2-2で引き分けとなり、内容的にもウチから見れば勝点2を落としたと言われても仕方ない結果になってしまいましたが、新体制での初陣であまり多くを求めても仕方ないというのも同時にあります。

守備から逆算したポジショニング修正など、改善の兆しともいえる変化もありましたし、ここはポジティブに捉えて、しばらくはチームの変化を見守ってあげるのがよさげ。とはいえ、良く言えば慎重、悪く言えば消極的になった戦い方が、チーム状況のよろしくない大宮さん相手にはともかく、今後、上位チーム相手にどういう結果になるのかはまだわかりませんし、リスクをとらなくなって守備が多少安定しましたというのを手放しで喜んでいいとも思えず、その点は注意深く見守りたいところかなと思いました。

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試合データ

観客: 45,411人
天候: 晴
試合結果: 浦和 2-2 大宮(前半1-0)
レッズ得点者: 興梠(26分)、柏木(69分)
警告・退場: -
主審: 山本 雄大 氏
順位(第20節終了時点/暫定):8位(9勝9敗3分/勝点30/得失点差+9)

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