第97回天皇杯 2回戦 浦和駒場スタジアム グルージャ盛岡戦
今年も天皇杯が始まりました。去年はACL出場チームに対するシード処置によって4回戦からの参戦となりましたが、今年は2回戦からスタート。リーグ戦の合間となるミッドウィーク、水曜日に駒場スタジアムでグルージャ盛岡(J3リーグ)との対戦となりました。
リーグ戦との日程もありますし、相手が2カテゴリー下ということもあって、メンバーについては大幅な入れ替えが予想されましたが、その予想通り、基本的には普段サブに回っているメンバーがスタメンに名を連ねることになりました。
ということで今日のスタメンは最終ラインは長澤、那須、田村、ボランチに矢島、青木、両ワイドに菊池、ヒラ、シャドーに高木、ウメを置いて1トップはズラタン。GKは榎本。
前日練習を含めたトレーニングマッチなどではヒラさんが最終ラインに入っている事が多かったので、それを予想しましたが、長澤さんを最終ラインに入れてというちょっとそこは驚きの配置。その他は概ね予想通りといったところ。
盛岡さんの試合は普段見ていないので正直あまりよくわからないのですが、基本的には3バックシステム(3-6-1)を採用していると言うことで、ウチとはシステム的にマッチアップする形。攻撃面では中盤で丁寧にパスをつないで崩しにくる、難易度の高いサッカーを目指していることがわかりました。個々の能力、プレー精度の問題で高いレベルを相手にすると難しいんだろうなというのは感じましたが、全体的にバランスの取れた良いチームという印象(何か上から目線っぽくてあれですけど)。
守備時5-4-1でラインを作り、最終ラインを高く設定して中盤をコンパクトに、ウチの5トップに入る縦パスのコースを切るというセオリー通りの守り方をしてきましたが、相手の守備がどうこうよりも、このレベル(大変失礼ながら)を相手に5-4でブロック作られた状態で中央で作れない、縦に楔も入らないというウチのビルドアップがかなりやべぇという印象しか残らない立ち上がりとなりました。
恐らく多くのサポーターが期待していたのは、中盤でボールを受けて前向いて、バンバン縦に付けてく、攻撃のタクトを振るう矢島さんの姿だったと思うんですが、正直完全な期待外れ。相手のプレスが激しい中盤でボール受けられない、前向けない、縦に付けるようなパスもほぼなしと、さすがに厳しい出来。
15分くらいだったと思うんですが、中盤でボール受けてそこから思い切ってドリブルで持ち出し、裏に抜けた味方に縦にスルーパス通した(実際には相手GKのところまで行ってしまってシュートシーンにはならなかったですけど)プレーが私が見ていて唯一良かったなと思えるようなプレーで、それ以外はほぼ存在感を示せず、前半で交代させられるのも致し方ないかなという印象。
中盤で作れないのでズラさんに楔が入るシーンも多くなく、サイドチェンジによる本来の幅を使った攻撃もほぼなし。最終ラインから縦に裏へのボールという単調な攻撃に終始し、相手のラインコントロールにあって決定機もそれ程作れず、29分に相手のハンドで得たPKをズラさんが決めて1-0としますが、それ以外は決定機もほぼなく、前半は終了。
後半は、ハーフタイムに矢島さん→駒井さん、菊池さん→ラファさんという2枚替え。ヒラさんを最終ラインに下げて長澤さんをボランチに、駒井さんを右ワイド、ウメを左ワイドに、ラファさんトップ下という変更を加えます。
矢島さんについては前述の通り。同じく前半のみで交代となった菊池さんですが、盛岡のサイド、対面でマッチアップした鈴木達也選手に、攻撃面ではほぼ封じ込まれ、守備面では後手を踏んで何度かピンチを作られるなど、正直厳しい出来(私、この試合はバックスタンドから見ていたのでちょうどこの2人のマッチアップは目の前でしたからよく見えました)。
前に出て行くタイミング、攻守転換時の切り替えスピードやポジショニング、周囲との連携など、ポジションを争っているのがウガ、駒井さん、あるいは関根さん、さらにサイドができるウメも復帰してきたということを考えると、結構厳しいなと思わせる状態でした。3回戦もチャンスはあると思いますので、がんばって欲しいんですが今のままだとやべぇかも。
一方で与えられたポジションでいい仕事したなと個人的に感じたのは長澤さん。前半は恐らく本人的には慣れない右ストッパーで先発でしたけど、ウチのストッパーは守備だけでなく攻撃時に思い切って前に出て行けるかがポイントになります。そこをうまくバランスとりながら、思い切ってオーバーラップするシーンも見られ、与えられたタスクをそつなくこなしていました。
後半、ボランチにポジションを移してからは彼の良さがよく出ていて、中盤の底から相手の裏を突くフィードを何本か良いの入れてましたし、ズラさんの2点目をアシスト。途中交代のオナイウさん(61分に高木さんと交代で投入)にも何度か決定機になりそうなパスを通していて、可能性を感じさせてくれました。
とはいっても後半早々に失点して追いつかれてるんですけどね。53分に林勇介選手(お久しぶりです)に見事なシュート叩き込まれますが、一旦ゴール前でボール奪って前に出て行こうとした瞬間、長澤さんに強烈にプレスかけてボールを再奪取した林選手がそのまま味方とのワンツーでウチの最終ラインをぶち抜くと、左足でゴール左隅に突き刺すナイスゴール。相手の得点の方が見事な崩しっていうちょっと笑えないシーンを見せられました......(こういうところが天皇杯の怖さでもあり楽しみでもあるんですけどね)
しかし自力ではやはりこちらが上回り、徐々に運動量が落ちてラインが下がり始めた盛岡を相手に、その後ズラさんがこの日2点目、さらにオナイウさんが浦和加入後初得点となる3点目を加えて3-1とし、ある程度試合を楽にはしますが、試合終了間際に(ウチで言う)左サイドから上げられた速いクロスを中央で谷口選手の頭に合わせられるとそれがゴールに吸い込まれて2失点。スコア的には1点差でなんと勝った感じの試合になってしまいました。
まぁトーナメント戦は勝つということがまずは重要なので、結果オーライでよいのですが、普段出場機会があまりない選手達がこの試合で十分にアピールできたかと言われると、内容的にもちょっと物足りなかったなと。もちろん、盛岡さんはけっして弱いチームではありませんし、J3とJ2、J1の差なんて実はそんな圧倒的に大きくはないですから、楽勝で勝てなんてことは一切思いませんが、思い切ってチャレンジするようなプレーが少なかったことが個人的には残念。
活躍次第でチーム内での立場が変わるかもしれないチャンスなのに、なんか淡々とプレーしている印象が強く、そこは各選手の性格とかもあるから悪いとは思わないんですけど、必死感が伝わってこない。関根さんや駒井さんなど、若くしてレギュラーの座を実力で奪った選手、ウガのように苦労しながらも不動のレギュラーの地位をベテランから奪い取った選手達って、もらったチャンスはぜってーものにしてやるよっていう気迫みたいのがやっぱすごかったんですよ(まぁウガはデビュー戦で気合い入りすぎて空回り感がすごかったですけど)。そう考えるとちょっと今のサブ組(全員ではないですけど)に足りないものが垣間見れた試合でもあったかなと思います。
なんか厳しいことばかり書いてる気がしますが、去年、鹿島戦で途中交代喰らった挙げ句、柏木さんに名指しで全然ダメって言われて凹みまくってた高木さんも、その後のルヴァンカップで気迫のこもったプレーを見せ大復活。その後のブレイクは皆さんご存じの通り。この試合で思い通りの結果が出せなかったからといって、それで今年が終わるわけじゃなし、状況を変えようと思えば変えられるわけですから、各選手がより一層奮起してくれることに期待したいと思います。
ということで、天皇杯は3回戦に進むことが決まりましたが、次の対戦相手は同日行われた水戸×熊本で熊本が勝利したことで、ロアッソ熊本との対戦となります。試合は7月12日の水曜日ですね。会場は6月22日に発表ですが多分熊本になると思われます(基本的に準々決勝までは下位カテゴリーのホーム開催を優先ということなので)。と思ってたら次も駒場でした。ACL出場チームへの配慮、という補足ルールが作用したようです。
試合データ
観客: 5,038人
天候: 曇
試合結果: 浦和 3-2 盛岡(前半1-0)
レッズ得点者: ズラタン(29分/PK)、ズラタン(63分)、オナイウ(79分)
警告・退場: -
主審: 中村 太 氏
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