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2020 Jリーグ 第16節 札幌ドーム アウェー 北海道コンサドーレ札幌戦

前節は鳥栖を相手に2得点するものの、2失点して引き分け。セレッソ戦での3失点完敗からひとまず連敗は回避し、ここでなんとしても勝利が欲しい状況で迎えるのは、アウェーでの札幌戦。札幌もここ8試合勝ちなしという状況からホームで是が非でも勝ちたい状況だと思いますが、アウェーとはいえウチも結果を出して次につなげたい大切な一戦。

今シーズンは低迷しているとはいえ、札幌のようなきちんとしたコンセプトをもった相手にウチがどのような戦い方ができるのか、注目しつつのキックオフとなりました。

2020 Jリーグ 第16節 札幌ドーム アウェー 北海道コンサドーレ札幌戦

写真は「DAZN」中継映像から引用

スターティングラインナップ

2020 Jリーグ 第16節 札幌ドーム アウェー 北海道コンサドーレ札幌戦 スターティングラインナップ

さて、今日のスタメンは最終ライン、CBは久々先発の岩波さんに、槙野さんのコンビ。右のSBにはトーマス・デンさん、左に岩武さん、ボランチのコンビはエヴェルトンさんと青木さん、SH右が武藤さん、左が関根さん。2トップには興梠さん、杉本さんを配置した 4-4-2。GKは西川さん。

スタメンと配置に関しては、当然連戦による入れ替え(前節からは4人の入れ替え)も考慮しているとは思いますが、札幌の中央攻略→ワイド展開を考えたときに、中央に対人能力に優れた選手の数を増やしておきたい、かつ現状のウチの課題、サイドでの守備強度不足からクロスでの被弾を防ぐためのデンさんのSB起用みたいなところも考慮したのではないかなと予想。札幌は最前線にジェイ選手が起用されることが予想できたため、高さをそろえるという意味もあったのかなと。

当然、今シーズン初めての並びでチャレンジしているわけで、リスクはありますし、結局ジェイ選手に2発喰らってることを考えると今回のスタメンチョイスと並び変更が守備面で大きく何かを改善したとはなりませんでしたけども。

対する札幌はおなじみの 3-4-2-1 ...... だと思ったらスターティングポジション自体は 4-1-4-1 でスタート。

最終ライン、左から福森晃斗選手、田中駿汰選手、宮澤裕樹選手、進藤亮佑選手。荒野拓馬選手をアンカーに左ワイド菅大輝選手、右がルーカス・フェルナンデス選手。チャナティップ選手と駒井善成選手をシャドーポジションに、ジェイ選手のワントップという並び。GKはベテランの菅野孝憲選手。

ビルドアップでは荒野選手が最終ライン、2CBの間、もしくは福森選手のインサイドに落ちて両SBを押し上げる形、ディフェンス時には菅選手が左SB、福森選手のアウトサイドに落ちる形で5バックになっていて、守備のやり方としてはミシャさんのサッカーではオーソドックスな 5-4-1 ブロックでしたが、少し変化を付けてきたのは札幌もここ8試合勝ちなしという状況で何かを変えたいという気持ちの表れでしょうか。

前半20分までは完璧。札幌の構造的弱点をうまく突いて2得点

前半、立ち上がりのウチは札幌の構造的弱点と相手のプレー強度の低さをうまく突いて立て続けに2得点、ほぼ完璧な試合運びを見せます。前半の20分までに限定すれば、ウチは狙い通りの形を何度か作っていて、これは得失点差を改善するチャンスだぜと思ったくらいですから。

札幌は 4-1-4-1 システムのアンカーに位置する荒野選手の両脇にスペースが生まれますが、ウチの興梠さん、杉本さんがうまくここの両脇、もしくは裏でポジションを獲ってパスを引き出すことに成功していて、立ち上がり、コンディションなのか、あるいはここのところ勝てていないことからの自信のなさなのかわかりませんけども、攻守転換時に札幌のネガティブトランジションが遅く、球際の強度も低いこともあって、ウチは最終ラインからでも比較的容易にその興梠さん、杉本さんに正確なフィードを当てることができていました。

通常、ビッグチャンスになるカウンターというのは高い位置でポジティブトランジションできた場合、所謂ショートカウンターのシーンになるわけですけども、今節のウチは別に高い位置でボール奪取できていたわけでもなく、最終ラインで回収してのロングカウンター。しかし、札幌の中盤がウチの最終ラインに対して規制をかけるようなディフェンスをしてこなかったことと、にもかかわらず最終ラインが高い位置をとってくれたことで裏抜けがうまい興梠さんなんかにとっては仕掛け放題になっていてました。

実際に9分過ぎの岩波さんからのロングフィード一発で興梠さんが裏に抜けたシーンなんかは、興梠さんの最後のシュート精度が低かったことで得点には至りませんでしたけども、ほぼ完璧に裏をとってGKと1対1の状況でしたし、早い時間帯での先制点を予感させる流れでした。

で、その1分後、10分過ぎには左サイドを強引にドリブルでペナルティエリアに侵入した関根さんを、札幌、チャナティップ選手が後ろから倒してPKゲット。これを杉本さんがきっちり沈めて前半13分に先制。

さらに20分には自陣深い位置、青木さんからのロングフィード一発で裏に抜けた杉本さんが進藤選手に身体を当てられながらもフィジカルを活かした倒れ込みながらのシュートでGK菅野選手の股下を抜く技ありゴール。杉本選手の2得点で一気に試合の流れをかっさらいます。

正直、客観的に内容を見れば、ウチはボール保持した状態では相手の守備ブロックを崩すところまではいっていませんし、前述したとおり、守備も積極的に前からハメた結果、いい位置からショートカウンター当てられたみたいな感じでもなく、相手が中盤で規制もかかっていないにもかかわらずハイラインを設定してくれたおかげで、所謂、縦ポンサッカーが形になっちゃったという流れはあります。

以前から何度か書いているとおり、ウチはお題目として掲げる、自分たちで主体的にボールを保持して、という理想とは裏腹に、実際には相手にボール持たせてリアクションした方がチャンス創出ができるというジレンマを抱えているわけですけども、この試合はまさにそれが顕著に出ました。札幌にボール保持されることは戦前から予測はできていましたし、それに対して無理に前線からハメるんではなくある程度ブロック作って中央に入ってきたところを引っかけ、前線2トップへのロングフィード一発で中盤すっ飛ばしてチャンスにしてしまおうという。まぁ縦に速いサッカーみたいのも狙いだったと思いますし、ある意味縦に速いっちゃ速いんですけども。

サイドからジェイ選手、っていうわかりやすい形を2発喰らって混戦へ

で、早々に2得点できたわけですし、このリードした時間帯をなるべく長くキープしたいところだったんですが、前半のうちに2失点喰らって試合は振り出しに。楽勝ムードが一転、打ち合いの混戦へと変貌します。

前半31分、ウチの左サイド、関根さんと札幌、ルーカス・フェルナンデス選手のマッチアップからルーカス・フェルナンデス選手のアーリークロス。これに中央はCB2枚とデンさんもそろっていた状態に対して札幌の攻撃陣はジェイ先取が1枚、ペナルティエリア内にいるだけ。ところがこれをあっさり岩波さんとデンさんの間でジェイ選手に触られて失点。ジェイ選手のヘディングシュートは当たり損ないみたいな感じではありましたが、ふんわりとした放物線を描いて西川さんの頭を越え、そのままゴールへ。

中の人数そろってるんですけどね。関根さんのところで簡単にクロス上げさせてしまったのもあってジェイ選手の強みを発揮させてしまいました。残念。

さらにその4分後の35分、札幌コーナーキックからセカンドボールをウチの左サイドでチャナティップ選手に回収されたところからコーナーキックを蹴って同サイドに残っていた福森選手へとボールが渡りますが、これに対応した岩武さんが1失点目の関根さん同様、簡単にクロスを上げさせてしまったことで中央でジェイ選手のヘディングシュートを合わせられて失点します。

福森選手は左利き、そしてその左の精度は文句なしの代表クラスなわけですけども、その福森選手が(札幌にとっての)右サイドでボールを持てば、縦じゃなくて切り替えして左でクロス上げようとするに決まってんじゃんって思うんですよね...... しかし、それに対して左を切らずに縦を警戒するような寄せ方をしたため、簡単に切り替えされて左で精度の高いクロスを上げられるっていう、基本的な部分での詰めを欠いて試合は振り出しに。

ボール保持では札幌に一日の長あり。しかも札幌のストロングポイントがピッチをワイドに使ったサイド攻撃であることを考えれば、ウチの4バックディフェンスとは相性が最悪なのはわかりきったこと。しかし前からハメような連動した守備組織は構築されておらず、ある程度引いてでもブロックを作ってゴール前を固めることを優先している今のウチのディフェンスでは、札幌を相手に押し込まれるのは必然。実際に前半30分以降はほぼ一方的に押し込まれる展開で、コーナーキックも含め、立て続けにサイドからクロスが上がってくるシチュエーションを作られ続けてはそれを長時間はじき返し続けるのはさすがに難しい。

結局後半も押し込まれ続けた結果、67分にはコーナーキックからオウンゴールで逆転を許し、その後の槙野さんのゴール、さらに終了間際の柴戸さんのゴールでなんとか再逆転して勝ちにはつなげたものの、まさに紙一重での勝利。よい立ち上がりができて、十分試合の主導権を握りつつ時間を進めるチャンスがありながらも打ち合いの混戦にしてしまうあたりが、今のウチの不安定さを示している感じです。勝利という結果はもちろん素晴らしいことですし、結果を出さなければ始まらないんですけども、ちょっと評価の難しい試合になっちゃいましたね。

さて、これで1週間の休養を経て、来週の週末はホームで現在圧倒的首位にいる川崎との対戦。2戦勝ちなしの状況から今節、色々と課題はあったとはいえ勝ててここから、って時にこういう凶悪(直近4試合で16得点とかなんやねん)な相手とはやりたくないんですけども、なんとか川崎を相手に失点を抑えて、相手を焦らせるような戦いをしてほしいものです。

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試合ハイライト

試合データ

観客: 4,449人(入場 5,000人以下の制限付きマッチ)
天候: 屋内 / 気温 23.6℃ / 湿度 56%
試合結果: 札幌 3-4 浦和(前半2-2)
レッズ得点者: 杉本(13分)、杉本(20分)、槙野(75分)、柴戸(90+4分)
警告・退場: -
主審: 荒木 友輔 氏
順位: 6位(8勝5敗3分/勝点27/得失点差-4)

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