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2021 Jリーグ 第11節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦

2021 Jリーグ 第11節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦

リーグ戦、前節はセレッソ大阪に悔しい敗戦をして連勝が3でストップ、その後のルヴァンカップでは横浜FCを相手に先制されつつも杉本さんの2発で逆転勝利。相手ゴールに近づいたところでフィニッシュ、およびそのひとつ手前の精度が現状の課題というのはありつつも、ビルドアップの精度は徐々に向上していることが感じられ、ボール支配やチャンス創出部分では相手を上回る状況も作れていますので、ここからのさらなる進化に期待が高まる今日この頃。

そんな中で迎える第11節は、ホーム埼スタに大分トリニータを迎えて。大分は直近のリーグ戦6試合連敗中、先日のルヴァンカップでもFC東京に敗戦してながーいトンネルに入っちゃった模様。とはいえ、そういう低迷している相手、さらに同じボールを保持して試合の主導権を握りたい同士の対戦ということで、ここはしっかり相手を圧倒して、リーグ戦の勝利をホームで飾りたい、大切な一戦となりました。

スターティングラインナップ

2021 Jリーグ 第11節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦 スターティングラインナップ

さて今日のスタメンは、最終ライン、左から山中さん、槙野さん、岩波さん、西さん。2列目セントラルに柴戸さんと小泉さんを配置し、左のSHに明本さん、右に関根さん、2トップに杉本さん、武藤さんという並び。GKは西川さん。

上のスターティングラインナップでは便宜上、4-4-2 にしていますが、実際には柴戸さんがアンカーに配置され、2列目が左から明本さん、小泉さん、関根さんという並びの 4-1-3-2 だったと思います。

サブのメンバーとしてはウガ、達也さん、汰木さん、伊藤(敦)さん、阿部ちゃん、興梠さん、それに彩艶さんが控えます。

対する大分は最終ライン左から三竿 雄斗選手、坂 圭祐選手、小出 悠太選手。ダブルボランチに下田 北斗選手と小林 裕紀選手。ウィングバック左に香川 勇気選手、右に松本 怜選手。2シャドーに小林 成豪選手、町田 也真人選手、ワントップに伊佐 耕平選手を配置した 3-4-2-1 のフォーメーション。GKはポープ・ウィリアム選手。

大分も結果が出てない中、GK含め、メンバーをかなりいじってきた感じ。大分も昨シーズンからかなり主力が他チームに引っこ抜かれて色々と大変(達也さん引っこ抜いたウチが言うのもあれですけども)。片野坂監督の志向するサッカーは明確なものの、やはり主力級を抜かれて新しい選手たちに1から戦術理解をしてもらいつつチームを形にするってのはかなり難しい作業になりますし、現状苦労しているのもその点が関係しているかと思います。

立ち上がり早々に先制するも、前半は大分ペースで逆転を許す苦しい展開に

大分の守備ブロックは基本的に 5-4-1 ですが、前線プレスのスイッチが入った状況では2列目から2シャドーの2枚が積極的に前線まで押し上げてくる 5-2-3 でウチのビルドアップに対して規制をかけてくるやり方。ただし、立ち上がりに関しては相手が前からハメにきたところをうまく2列目の両脇、つまり 5-2-3 の「2」の両脇を起点に相手最終ラインの裏を狙うという形が作れており、開始早々3分の先制点もその形が実ったもの。

明本さんが左サイドで一旦後ろからフォローした柴戸さんに預けつつ、一気に相手最終ライン裏にスプリントして仕掛けますが、柴戸さんからパスを受けた小泉さんがそれを見逃さずに縦に一発、相手の最終ラインを越えるパスを供給します。実際には明本さんが獲りに行ったスペースに、中央からダイアゴナルに入ってきた杉本さんがかぶった形になりましたけども結果オーライ。杉本さんがボールをうまく収めて大外からハーフスペースを獲りにきた山中さんに戻し。

山中さんがフリーで前を向いてボールを保持したため、大分ディフェンスは当然彼のシュートコースを切りに寄せますが、その瞬間、中央レーンを抜群のタイミングでスプリントしてきた西さんがドフリー。山中さんもそれを見逃さず、やさしいふんわりパスを中央に供給→西さんが走り込みながら右足、ハーフボレーで叩き込んで先制。西さんは移籍後初ゴールで、さい先よく先制してくれました。

先制後もうまくウチがボール保持し、大分からボールを取り上げて試合を運んだように見えましたが、大分も序盤の失点で崩れることなく、粘り強い守備でウチもシュートチャンスはなかなか作らせてもらえず。逆にウィングバックに対してウチのサイドバックがプレスに出ていったところを、その裏のスペースに2シャドーの1枚が流れることでサイドの深いところを獲りにくる形から、何度かいい形のクロスを供給するなど、その狙いは明確。SB裏で起点作られるとどうしても槙野さんなり岩波さんなり、2CBがサイドに引っ張られることになるため、そこから中央を使われると非常に厄介です。

ウチもさい先よく先制できたところで、この同じ形を再現する形で畳みかけられればよかったんですけども、先制後はあまり相手のディフェンスライン裏に仕掛けるような動きが見られず、最終ライン手前で後ろ向きにボールを受ける形が多くなってしまったため、前半の飲水タイム終了後は大分にそこを狙われる形でボールを失うシーンが多くなってしまったのは残念でした。

前半の飲水タイム後に大分は無理に前線を3枚でハメに出てくるのではなく、 5-4-1 でコンパクトにして縦のコースを限定、縦に付けたいウチのビルドアップに対してブロックの外を迂回させつつウチのSBに入った時には5バックの両翼がきっちり迎撃に出てきつつ詰まらせ、バックパスしたらプレスのスイッチを入れて前線から追い込み→蹴らせて回収というやり方に微修正、かつ徹底してきたため、ウチはビルドアップが停滞して徐々に試合は大分のペースに。

前述したとおり、相手最終ラインの裏にもっと駆け引きがあれば、相手の最終ラインを押し下げて2列目との間にスペースが作れますし、相手も前を向いて迎撃に出ていくだけでなく、裏をケアしつつになるので負担を強いることができたと思いますが、結構バカ正直に最終ライン前面に立つ杉本さん辺りを狙って縦に付けにいったところで後ろからガツンと迎撃されてボールロストしたり、ビルドアップを追い込まれてロングボール蹴らされるにしても相手最終ラインの頭を越えるような割り切った蹴り方ではなく、前線に収めてもらうようなボールを蹴ったことでインターセプトされて上がりかけてる前線が一発で裏っ返されるみたいなシーンが増えてしまったのは大分にとっては狙い通りの形に自分たちからハマりに行っちゃった感じですね。

で、前半の24分と41分に失点して一気に試合をひっくり返されるわけですけども、最初の失点は左サイドで、サイドに流れつつ落ちた町田選手に山中さんがプレッシャーかけに行ったところを、大外をオーバーラップした松本選手を使う形で一気に裏を獲られたところから。

一旦は入ってきたクロスを跳ね返すものの、クリアを中途半端に杉本さんに付けようとしたところを狙われて再奪取され、今度は右サイドから押し込まれたところで小林成豪選手にうまく西さんの裏でニアゾーンを獲られ、折り返されたところから中央ミドルシュートが槙野さんに当たってコース変わりっていう形。

最後のシュートの部分はシュート自体はそれ程コース的にも厳しくなかったものの、槙野さんに当たってしまったことで流石の西川さんもノーチャンスになっちゃったのは不運な面もありましたが、そこに至る過程は完全に崩された形でしたし、最初の左サイドからのクロスを防いだところでもう少しはっきりしたプレーを選択していればというのもありましたので、ちょっともったいなかったかなと。

別に杉本さんが悪いとかいうことはないんですが、どうしても杉本さんがいると周りの選手は彼の背の高さからくる印象か、雑に預けてもなんとか収めてくれるって思うんですかね。一方で杉本さんって別にポストプレーが激うまなわけでもないので、結構普通にボールロストするんすよ。特に後ろ向きでボール受ないといけない状況では圧倒的に前向きに出てくる相手ディフェンスの方が有利ですので、余程のことがないとボール収まりません。その意味では今日もそうでしたけど、後ろ向きでクソ難しいボールをディフェンスに身体当てながら収めまくる興梠さんってまじで変態(褒めてる)なんですけども、あれと同じ事を万人ができるわけではないので、もうちょっと選手の特性に合わせたプレーを選択した方がいいんじゃないかなと思います。

2失点目も自陣の深いところでのビルドアップに、左サイドでボールを保持した槙野さんが、恐らく杉本さんを狙ったんだと思いますが前線に向けて蹴ったロングボールがズレたことであっさり回収され、ポッカリ空いた中央のスペースを下田選手にフリーで使われたことで、そこからゴール前に斜めに入ってきた町田選手に対して縦に楔を打ち込まれ(実際にはこの縦パスはズレたんですけどね)、これを町田選手に右足で叩き込まれてという形。ビルドアップにプレッシャーかかる→蹴らされる→相手に回収された瞬間のトランジションが遅れたところで急所を突かれるっていう流れでしたが、ボール失うのは仕方ないにしてもこういう状況でネガティブトランジションの速度と強度は上げていかないといけないんじゃないかなと感じました。

2トップを諦めて修正、気合いの逆転で意地を見せる

リードされた状態で後半に折り返したウチですが、ハーフタイムに健勇さん→伊藤(敦)さんとして武藤さんを1トップに、4-2-3-1 へとシステムを変更。これで武藤さんの役割を明確にし、彼の周辺で明本さん、関根さん、小泉さんが積極的に相手ディフェンスラインの裏を狙いに行く形へと修正したことで後半立ち上がりから徐々にウチがペースを奪い返します。

元々ここ数試合、武藤さんを1トップに、4-1-4-1 にすることでうまくいっていたこともありますので、この形は今のウチにとってはひとつの正解パターン。リカさんも武藤さんと杉本さんの共存、あるいは今後入ってくるユンカーさん含め、最前線の組み合わせで色々と可能性を探っているところだと思いますが、今日に限っては最初の目論見はうまくいかず、前半だけで諦める形になりました。

60分には山中さん→汰木さんとして、明本さんを左のSBに、汰木さんを左SHに配置するとここから怒濤の逆襲開始。汰木さんがうまくインサイド、ハーフレーンから場合によっては中央レーンを使いつつ、明本さんがアウトサイドに立つ事で相手ディフェンスの立ち位置にズレを生じさせながらそのギャップに立ち位置を獲って押し込みます。前線が積極的に相手ディフェンスラインの裏を狙いに行くことで、相手最終ラインを押し下げ、2列目との間にスペースを創出することでバイタルエリアでパスを引き出すことが可能になると徐々にゴールの匂いが。そしてその匂いを察知してか、後半の飲水タイム時(69分)に武藤さん→興梠さん、関根さん→達也さんとして、圧力を高めると、ついに75分、待望の同点ゴールが生まれます。

相手陣内、フリーキックでのリスタート。キッカーは小泉さんでしたが、槙野さんを狙ったクロスははじき返されるも右サイドで回収した岩波さんが中央へクロス→これを相手GK、ポープ・ウィリアム選手が果敢に飛び出してパンチングするもボールに競っていた西さんと交錯してクリアが中途半端に。バイタルエリアに転がったボールを小泉さんが回収すると、身体をひねりながら逆サイドのゴールエリア脇にクロスを供給、そこにはセットプレーの流れで攻め残っていた槙野さんが。難しいボールでしたがこれを槙野さんがスライディングしながらうまくあわせると、これが同点ゴールに。試合を振り出しに戻します。

さらに82分、今度は達也さんに移籍後初ゴールが生まれます。最終ラインでボールを保持した槙野さんに対して汰木さんがハーフスペースを落ちつつパスを引き出します。前試合、ルヴァンカップの横浜FC戦でも同じ形を汰木さんがやって得点のきっかけを作ってるんですけども、インサイドに絞ってハーフスペースにポジションを獲った汰木さんへの縦の楔と、その外側で汰木さんを追い越していくSBの連動、汰木さんからそこにパスが出ることで一気にサイドをブレイクします。

猛烈な勢いで左サイドをドリブルして持ち上がった明本さんから、中央レーンをスプリントした小泉さんに対してグラウンダーのアーリークロス。小泉さんが体制を崩しながらもなんとか相手より先に触って流したボールに、右サイドからこれまた怒濤の勢いでスプリントしてきた達也さんが必死に手を伸ばす相手GKよりも一瞬だけ先に触ってゴールに押し込み、逆転ゴール。前半の劣勢を跳ね返し、終盤の2得点で試合をひっくり返してくれました。このシーンでは得点した達也さん以外にも興梠さんも紙一重で詰めていて、前述した汰木さんのプレーをスイッチに一気に厚みのある攻撃で仕留めきってくれましたが、非常に迫力があってよいシーンでしたね。

逆転後は前半の立ち上がりに見せたような、しっかりウチがボール保持して大分からボールを取り上げ、押し込んだまま試合をコントロール。このまま何事もなく終われるかなと思っていたら、まさかの残り5分にめちゃくちゃ心臓によくないシーンが連発します。

後半アディショナルタイムは5分、ここから大分がウチの同点ゴール直後に投入した長沢選手のパワープレーが炸裂します。マジで「終わった...」っていうシーンを3回くらい作られましたけども、そこに立ち塞がったのが我らが西川神。もうあれですよ、西川さんいなかったら普通に同点にされてましたっていうシーンを怒濤のビックセーブで守り切り、勝点3をゲットしてくれました。ほんと頼りになるわ西川さん。選手、サポ全員、西川さん家(どこにあるのか知らないけど)に足向けて寝られない、そんくらいスゴイ働きでした。

さて、次は週が明けての水曜日、ホームでのルヴァンカップ、湘南戦ですね。それが終わるとアウェーでの福岡戦で5月に突入です。湘南戦に勝利できれば、4月の公式戦は7戦中6勝となり、これはチームにとって大きな自信になりますし、いい印象で5月に入れますから、しっかり勝って4月を最高の形で締めてもらいたいですね。

2021 Jリーグ 第11節 埼玉スタジアム2002 大分トリニータ戦 試合後

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試合ハイライト

試合データ

観客: 9,270人(上限10,000人)
天候: 曇 / 気温 22.9℃ / 湿度 33%
試合結果:浦和 3-2 大分(前半1-2)
レッズ得点者:西(3分)、槙野(75分)、田中(82分)
警告・退場: -
主審: 中村 太 氏
順位: (暫定)8位(5勝4敗2分/勝点17/得失点差-4)

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