2019 Jリーグ 第15節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦

代表戦ウィークによる中断期間を経て久しぶりのJリーグは、ホーム埼スタにサガン鳥栖を迎えて。

前節は川崎を相手にアウェーでギリギリ勝点1をゲット。大槻監督の初陣(といっても2回目ではありますが)を悪くない形でスタート。中断期間に入ることができましたが、ホーム埼スタでのJリーグは第8節の神戸戦以外勝ちがなく、直近では3連敗中という状況で、今節は降格圏に沈む鳥栖との対戦となれば、勝利はマストとなる試合。梅雨時で鬱陶しい雨の中での試合となりましたが、今季大槻さん体制での初勝利に期待がかかる一戦となりました。

2019 Jリーグ 第15節 埼玉スタジアム2002 サガン鳥栖戦

さて、今日のスタメンは最終ラインに岩波、マウリシオ、槙野。中盤は青木、柴戸、両サイド、ウィングバックにウガ(左)、岩武(右)を配置。武藤、ナバウトをインサイドハーフ、興梠の1トップという並び。GKは西川。

前節の川崎戦からインサイドハーフの1枚(マルティノスさん→ナバウトさん)変更した以外は同じメンツでのスタート。システム的には 3-4-2-1 を継続です。

対する鳥栖は趙・東建選手、金崎夢生選手を2トップとした 4-4-2 スタート。左に小野選手、右に安庸佑選手と、強力なアタッカーを有し、2列目から原川選手といったボール奪取とチャンスメイク能力に優れた選手がそれを支える厄介なチーム。今シーズンは新任のルイス・カレーラス監督の下で前半戦大失敗しましたが、金コーチが監督に昇格後は鳥栖本来のハードワークに、金監督が目指すボールを握っての丁寧なビルドアップが組み合わさって3連勝、前節はセレッソに敗戦して依然下位に低迷しているとはいえ侮れない相手。

試合の主導権を最初に握ったのは鳥栖でした。今節は試合開始前から激しい雨。キックオフのころには雨は弱まっていたものの、それまでの降雨によりピッチはかなり水を含んだ状態。ボールが止まるような水たまりはありませんでしたが、逆にボールが走るピッチにウチの選手は試合開始当初少し戸惑い気味でミスも多く、立ち上がりは比較的シンプルにウチの最終ラインの裏を取りにきた鳥栖がチャンスを作ります。

鳥栖はウチの3バックに対してはそれ程プレスはかけず、ウィングバック、もしくは中盤でボランチにボールが入ったところで一気に寄せてボール奪取→ボランチ脇のスペースから最終ライン裏という狙い方をしてきていて、序盤は特にこの中盤での近い距離でのパス交換でミスから引っかかるケースが多く、やりにくさを感じる展開でしたが、そんな流れの中、18分に鳥栖に先制されます。

左サイドで三丸選手が一旦ドリブルを仕掛けたものの突破は無理と判断して後ろからサポートしてきた福田選手にボールを預けます。この時福田選手に対してウチの守備対応が少しルーズになった瞬間を福田選手が見逃さず、素早く縦にドリブルで仕掛けるとペナルティエリア角から中央へクロス。これを逆サイドからうまくウガの前に走り込んできた安庸佑選手が滑り込みながら足裏で合わせたシュートは、西川さんの手の下をすり抜けてゴールへ。

ゴール前に人数はそろっていた状態ながら、福田選手に縦に持っていかれた際の寄せの遅れ、さらにそのドリブルによってクロスが上がってくる前の段階でウチの最終ラインはボールウォッチャーになってしまったことで槙野さんとウガの間のスペースに入ってきた安選手への対応が遅れたのが要因でしたが、ちょっともったいない失点でした。

とはいえ、ここから徐々にピッチ状態になれたウチの選手達が細かいパス交換で一旦は持っていかれそうになっていたゲームの主導権を奪い返すと、鳥栖の 4-4-2 とウチの 3-4-2-1 システムのギャップをうまく突いてチャンスを作り始めます。相手の4バックに対してウチは1トップ+インサイドハーフにウィングバックが高い位置を取ることで数的優位を作れます(左右どちらかのウィングバックがフリーになりやすい)。また、中盤でも3バックの両翼が交互に積極的に前にでてボランチの両脇を支えることで、相手ボランチのところで数的有利を作って相手を押し込むと、この形から前半のうちに同点に追いつきます。

31分、右サイドで中央の青木さんからのパスを受けた岩武さん。シンプルにクロスを選択せず、一旦持ち直したところで中央、ペナルティエリア内から受ける動きをした武藤さんへパス。これを武藤さんが絶妙な判断(後ろから声がかかったんだとは思いますが)でスルーすると、そこには逆サイドから入ってきたウガが。このボールをウガがダイレクトで放ったシュートは、ここしかないというコースでファーサイドのサイドネットを見事に打ち抜くファインゴール。いい時間帯に追いついてくれました。恐らく武藤さん的にはあのボールをスルーしてからの動き直しで、すぐ後ろにいた興梠さんからのリターン、もしくはウガからのクロスをフィニッシュというイメージっぽかったですが、ウガがきっちり決めてくれたので結果オーライですね。

ちなみに、このゴールもそうなんですが、大槻さんのやりたいんだろうなということはこの試合でも90分ずーっととはいかないものの要所要所で垣間見ることができました。

ボールの動かし方的にはミシャさん時代のそれに近いというか、オリヴェイラさんが志向していた、とにかくまずサイドにボールを持っていってからというやり方とは異なり、センターバックの両翼が左右に広がりつつビルドアップを開始、サイドに広げた位置からインサイドハーフ、もしくはワントップがハーフスペースで縦や斜めの楔を受けるところから攻撃のスイッチが入る形で、まずはそこで起点を作ってからの高い位置を取ったウィングバックをフリーで使うという狙いが明確でした。

さらにセンターバック(特に左の槙野さん)が積極的に高い位置を取って前線を後ろからサポートし、インサイドハーフが受けた楔の落としを受けてさらに縦、もしくは逆サイド、といった崩しのパターンが見てとれましたし、ダイレクトプレーが非常に多かったことからも、これが十分に想定された上で仕込まれた再現性のある形だったことは間違いないと思います。

これは中央集約→サイドアタックというミシャさん時代に狙っていた相手の動かし方と共通している部分が多く、特に前述した前半のゴールシーン、また、後半の立ち上がり直後に中央から左サイド、フリーのウガに出てウガがシュートを放ったシーン(シュートは相手ディフェンスに当たって枠に飛びませんでしたが)なんかは、この形が見事にハマった崩しでした。

鳥栖が後半途中からこれに気がついてウチの最終ラインのビルドアップにプレスをかけてくる修正をされたことでいい形が出た時間帯は短かったですが、このやり方ならほとんどの選手がミシャさん時代に身体にすり込まれた動きで適応できますし、過去の遺産をうまく活かしつつ、戦術浸透までの時間を短縮しようという大槻さんの狙いもあるのかもしれません。守備時は 5-4-1 にしてブロックを素早く作ることを徹底していることからも、うまいこといいとこ取りしたいんでしょうね。

その点では、ひとつインサイドハーフの人選が今後は鍵かなとも思います。興梠さん、武藤さんはもう確定として、インサイドハーフで武藤さんと組ませる人選が難しい。今節スタメンだったナバウトさんは、縦への推進力という意味では非常によい選手ですが、前線トライアングルの一角として機能するには細かいポジショニングや動き出しのタイミングなどでまだまだ課題が多いでしょう。マルティノスさんはカウンター要員として今回のような後半から使うという使い方が本来かと思いますので、あとは長澤さんという選択になりますが、これも後半から試したものの、やはり少し物足りない。あとは杉本さんをここで使うというオプションもあるかもしれませんが、この辺が今後の注目ポイントかもしれませんね(結果論ですが、忠成さんの放出が今となってはもったいなかったなと・・・・・・)。

また、守備を前提にウィングバックの人選は「運動量」と「対人での守備力」をキーに人選される気がしますので、その点左サイドのスタメン争いはウガが一歩リード、右は橋岡さんが戻ってくれば、岩武さん、橋岡さん、そして森脇さんが加わっての激しいポジション争いが予想されます。その点、岩武さんは90分走れるスタミナが重要になるかもしれません。

話を試合に戻しましょう。

前述の通り、大槻さんは攻撃面と守備面で、近年ミシャさん→堀さん→オリヴェイラさんという3人の監督の下で積み重ねてきたことのいいとこ取りをしつつチーム戦術を構築しにいっている様子が見られます。しかし、どうしても前線が攻撃に傾けば、課題となるのは守備面、特に中盤で攻撃が引っかかってネガティブトランジションした際の守備対応になります。

この試合でも、自分達のカウンターのチャンスでフィニッシュまで行けずにミスなりで引っかかってネガトラした際、前線5枚が完全に置き去りにされる様なシーンも何度かありました。理想としては失った瞬間の素早い攻守転換とハイプレッシングによる再奪取なんでしょうけども、なかなか90分それを続けるのは難しい。今節は雨のおかげでかなり涼しく、コンディション的には90分運動量を保てる条件だったと思いますが、それでも攻守転換の速度で鳥栖を上回ったとは見えませんでした。

また、守備ブロックを作っている状況で、インサイドハーフが相手ビルドアップにプレスをかけに出て行くタイミングがちょっと早すぎるというのも問題点として感じたところ。それによってボランチの両サイドで相手にフリーで受けられるシーンも何度かあり、この辺のどこから行くのか、前が行った場合の守備ブロック全体のラインコントロールに関してはもう少し精度向上が求められるのかもしれません。

ウチの選手交代策としては51分にナバウトさん→長澤さんとして、そのまま長澤さんをインサイドハーフに。70分には岩武さん→森脇さん。これも同ポジションでの変更。最後の交代は80分に柴戸さん→マルティノスさんとして、武藤さんをインサイドハーフの右に、左にマルティノスさん。長澤さんをボランチの位置に下げる変更で、残り時間での得点を狙いに行く交代。

で、ここのところ「持ってる」のが大槻体制でのウチ。この試合もマルティノスさんの投入っていう交代カードが大正解。そして終盤、アディショナルタイムにドラマが待っていました。

90+3分、相手のチャンスからウチのクリアは中途半端ながら、これを自陣まで戻って左サイドでボールを拾ったマルティノスさん、鳥栖の福田選手(だったと思います)がファール覚悟で身体をぶつけに来ますがこれをうまくかわすとそこからドリブル開始。かなり無茶な仕掛けではありましたが、交代後10分で元気はつらつなマルティノスさんは対応した鳥栖の小林祐三選手を左右に揺さぶりつつ前線に右足アウトサイドでのパス。

これがサポートに入ってきた鳥栖の選手の足に当たりつつもゴール前へ。ボールは戻りながら対応した鳥栖、三丸選手の手前でバウンドすると、三丸選手の頭の上を絶妙に越えつつファーサイドでうまくボールの落下点を予測して入っていた興梠さんの足元へ。これをショートバウンドでうまくあわせた興梠さんのシュートは、ゴール左隅に突き刺さってこれが決勝点。さすが浦和のエース、というゴールで勝利をものにしてくれました。

多分に「運」の要素が大きい勝利ではありましたが、これもサッカー。今はとにかく結果を喜びつつ、課題は課題として今後の改善に期待すればよいかと思います。

ということで、中断明けのホームゲームをなんとか勝利でスタートさせることができました。この勢いと運を味方に、続くACL、蔚山現代戦のホームゲームをしっかり勝って、アウェーに送り出したいですね。

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試合データ

観客: 28,081人
天候: 雨のち曇り
試合結果: 浦和 2-1 鳥栖(前半1-1)
レッズ得点者: ウガ(31分)、興梠(90+3分)
警告・退場: マウリシオ(警告×1/ラフプレー)、柴戸(警告×1/反スポーツ的行為)、マルティノス(警告×1/遅延行為)
主審: 小屋 幸栄 氏
順位: 9位(6勝6敗3分/勝点21/得失点差-6)

試合ハイライト

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