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名波さんのおっしゃることは正論なんだけどそれができてれば苦労しない件

名波さんがスポルティーバの連載で、浦和の守備などに言及してくれていましたが、氏のおっしゃっていることは確かに正論ながら、そうは言っても・・・っていう点もあるので触れてみます。

首位争いしていると普段浦和とはあまりつながりのない方からも色々言及してもらえてうれしいですね。

で、名波さんがスポルティーバで連載している「名波浩の視点」でも、前節の川崎戦に触れた上で、浦和が優勝するために改善すべきはここだという話が。

記事の序盤から中盤は川崎戦の話なのでとりあえず置いといて、2ページ目終盤から3ページ目で、名波さんのいう「命題」について触れられていますが、名波さんのおっしゃっていることを簡単にまとめると下記のような感じ。

  1. 3バックの両サイド、右の森脇と左の槙野智章のポジションを取る位置が浦和が優勝するためのひとつのカギ
  2. 槙野と森脇は高い位置取り過ぎだろ。もうちょっとバランスを取れ
  3. 浦和のメンバー構成なら、サイドバックがそんなに攻撃参加しなくても点を取れるだけのタレントが前線にそろってるだろ前だけで点取れ
  4. 広島(森保さん)もミシャさんのサッカーに守備的な修正を加えて連覇したんだから浦和も優勝したかったらやるべきじゃね?
  5. 攻撃面で大事なのは、2点目を奪いにいくこと
  6. 1-0で勝てばいいかっていうムードがチーム内に充満してないか? 1点取ったら落ち着いてしまうのがここ数戦の苦戦につながっている

「1」が名波さんの一番いいたいことで、「2」~「4」は守備のこと。「5」と「6」は攻撃面ですね。その中でも特に守備面から「2」と「3」、攻撃面から「5」に注目してみたいと思います。

名波さんのおっしゃっていることは確かに正論なんですけど、ここ数試合の印象だけで言われている感じがするのと、毎試合浦和の試合を見ている方としては、それはわかってるんだけどね・・・ っていう点もあるので触れてみます。

今年の守備、そんなにバランス悪いかね?

まず、守備面の 「2」 に関してですが、去年は確かに両サイドバックが上がりすぎてバランスが崩れていたことが多々ありましたけど、今年はそんなにバランス悪いですかね? 去年の19節終了時、失点は 25 でした。今年は 14 で現在、J1で鳥栖と並んで最も少ないわけで、守備は相当安定していると思います。J1の連続無失点記録も作ったわけだし。

実際、今年は槙野なんかよく上がるの我慢してるなって思いますよ。本来は攻撃大好きなのにね。

川崎戦での2失点目も、槙野、森脇が高い位置を取っていたのが直接的な原因でやられたわけではなく、相手カウンターに対する初動の守備対応ミスの方が大きい。

  1. 森脇がカウンターの起点になったレナトにタックルしに行ってはじき飛ばされた(これが致命的)
  2. それによってレナトがフリーでサイドのスペースを使えて、関口がレナトを後追いしなければならなくなった
  3. 上記の状況を見て、啓太が中央から関口をフォローに行かざるを得ない状況に
  4. これによって空いた中央のスペースを憲剛に使われた&レナトがそれを見逃さず中央の憲剛に素晴らしいパス(ここでヤバさMax)
  5. あとは小林悠のダイアゴナルランと大久保の外に開く動きのうまさ、シュート精度にやられましたとさ(最後は大久保さんを褒めるしかねぇ)

という話で、確かに川崎のカウンターは、槙野のオーバーラップからのクロスがGKにキャッチされたところからスタートしていますが、カウンターを喰らった状況でも実は数的不利にはなっていなくて、ディフェンスの人数は足りてるんです(森脇も槙野が上がったことで少しポジションを下げてバランス取ってましたし、川崎がレナトを含め4人でのカウンターになったのに対し、最後ゴール前にウチの選手は5人いました)。足りてたんだけど、相手の連動が素晴らしくて、うまくマーク外されてやられましたって話。

また、引き合いに出されている広島に関しても、塩谷選手(ウチでいう森脇のポジション)がチーム内でも3番目に点を取っています(19節時点で5得点 / ちなみにウチは槙野が2点)。

なので広島のサイドバックが攻撃参加していないわけじゃないんですよね。広島はミキッチ、塩谷の右サイドが攻撃の起点になるので、その分、左は水本が守備的にバランスを取っていますけども、この攻撃力に優れた塩谷と、守備や対人能力に優れた水本という左右のバランスがいいのはあると思います。2連覇したときの失点の少なさはJ1でも1位(29失点 / 2013年)、2位(34失点 / 2012年)でした(2012年は今の塩谷のところ、森脇さんでしたけど)。

しかし、今年はすでに 26失点(19節終了時点)していて、結局失点が少なかったのはなんだかんだ言って西川さんのおかげだったんじゃねーかっていう感じもします(細かくデータ見ていないですけど、セーブ率とか、西川さんが来てからのウチの失点の少なさとかから考えるとあながち間違ってない気が・・・)

前だけで点が取れれば理想ですけどね

また、名波さんがいう、槙野と森脇がもっと自重すればいいと思うってのは、まぁ確かに守備の面だけを考えれば正論なんですが、同時に氏がおっしゃっている、2点目をもっと積極的に奪いにいけよっていう話を考えるとそうも言っていられなくなります。

名波さんは「浦和のメンバー構成なら、サイドバックがそんなに攻撃参加しなくても点を取れるだけのタレントが前線にそろってるだろ」とおっしゃっています。つまり前線だけで点が取れるのに何で槙野や森脇がリスクとって前に行くんだよっていうことですね。

この、前線だけで点を取るっていう件、実は勝てていないここ数試合も前半についてはできてるんですよね。でも試合が進むと前だけの攻撃では相手も慣れてきちゃうし、手詰まりな感じが出てくる。

前線の選手のフィニッシュ精度がイマイチ上がらないこともあって、早い時間に先制はしているのに、追加点が取れずにっていう流れがここ数試合続いています。

そこでまずは人を変えてみる(例えばサイドで関根や関口入れたり、李を入れたり)んだけど、残念ながら交代策ではそれほど大きな変化がつかない場合もある。

となると、あとはサイドバックがオーバーラップして攻撃に厚みと変化を付けるっていう手になります。これはミシャさんのサッカーだからというより、サッカーのセオリーとして一般的に。でもそれをやると当然リスクが伴うわけです。

川崎戦なんかはまさにそのリスクを取ったところでカウンター喰らって失点してしまったわけですが、あくまであれは結果論で、もし同点の状況でサイドが全く攻撃参加せず、守備を重視してリスク取らなければ、失点はしなかったかもしれないけど今度は点を取る気があるのか?って言われるでしょう(実際に名波さんも1-0でいいとか思ってんじゃねーの?もっと積極的に2点目奪いにいけよっておっしゃってるわけで)。

もちろん、前線だけで点が取れればいいんですよ。だから名波さんのおっしゃっていることは正論なんです。でもそれができないから、多少リスクでもサイドバックが高い位置を取る。それが川崎戦は悪い方に転んだのは残念ですが、槙野や森脇が高い位置を取るからやられるんだよっていう話になるのはちょっと違うんじゃないかなと。

私個人的にはやはり課題は攻撃面だと思っています。名波さんのおっしゃる通り、前線だけで追加点を含めて点が取れて、試合を決められれば問題ないんすよ。そのためには前線のコンビネーションや攻撃のバリエーションをもっと増やしていかないといけない。

特にチーム内で興梠に次いで得点を取っていた元気が今夏に移籍した穴は大きいし、柏木やウメ、李が思ってるより点が取れていないことがここ数試合、追加点が奪えずに勝ちきれない原因だと思いますので、ここを解決しないと優勝までの道のりは厳しい感じになるでしょう。

逆に言えば、1トップ、2シャドーのトライアングルに、両サイドアタッカーを含めた前線の5人で試合を決めきれるだけの得点力が出せれば、名波さんの言う守備的にも攻撃的にもバランスの取れたサッカーが実現し、それはミシャサッカーの完成版みたいになるんじゃないですかね。

それは楽しみですが、反復練習によって攻撃パターンを選手達にすり込んでいくアプローチのミシャさんのやり方の場合、そこまで行くにはやはり時間が必要ですし、なるべく同じメンツで長い時間プレーさせる必要がある。だから今はちょっと停滞気味だけど、ここは辛抱するしかないっすね。

今の状況に人を変えろとか、やり方変えろっていうのは逆効果でしかないわけだし。

ということで結論

「槙野と森脇はライン高すぎ、もっと攻撃参加自重して守備しろ」&「2点目を奪いに行く気持ち見せろ(前線だけでもっと点取れ)」を同時に実現できれば素晴らしいけど、それをやるのは現時点の浦和には無理です。